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ユーヴェ、悲願のCL制覇へいよいよ“本番”。C・ロナウド真価発揮の期待、アトレティコ戦のポイントは?

18:00 JST 2019/02/20
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昨シーズンにセリエAで7連覇を達成し、今シーズンは開幕前から欧州王座を見据えてきたユヴェントス。20日には、いよいよ“本番”CLラウンド16ファーストレグ、アトレティコ・マドリーの本拠地ワンダ・メトロポリターノに乗り込む。久々のCL戴冠に向けて、現在のユヴェントスの“完成度”は――。

 

■悲願

ユヴェントスにとってチャンピオンズリーグ決勝トーナメントは、文字通り「一年の計」を左右する正念場である。

現在7連覇中、今シーズンもすでに2位ナポリに13ポイント差という独走体制を確立し、前人未到の8連覇がほとんど「既成事実」と化しているセリエAは、もはやシーズンの成否を評価する指標ではあり得ない。スクデット(リーグ優勝)はユヴェントスにとって「義務」「ノルマ」という以上の意味は持っていないとすら言えるからだ。

イタリア国内において圧倒的な覇権を確立し、ヨーロッパでもレアル・マドリー、バルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、バイエルンと肩を並べる名門中の名門クラブでありながら、ことCLという大会に話を限ると、ユヴェントスは上に挙げたメガクラブはもちろん、ミラン、インテルという国内のライバルと比べても、まったく貧弱な実績しか残していない。

優勝はわずかに2回。若きアレッサンドロ・デル・ピエーロを擁して勝ち取った最後のタイトル(1996年)以降、決勝に5回も進出しているにもかかわらず、現在まで5連敗中。近年も、カルロス・テベス、アルバロ・モラタ、アンドレア・ピルロらを擁してバルセロナと戦った2014-15シーズン、ゴンサロ・イグアイン、パオロ・ディバラ、ダニエウ・アウベスらがレアル・マドリーに挑んだ2016-17シーズンと、過去4年間で2度の準優勝を経験している。オーナー家を代表してクラブの経営に当たっているアンドレア・アニエッリ会長にとって、CLタイトル獲得は文字通りの「悲願」となっている。

■このためにC・ロナウドを

今シーズン、総計3億5000万ユーロ(約438億円、※オペレーションや給与を含む)を超える破格の大金を投じて、33歳とキャリアのピークを越えたクリスティアーノ・ロナウドの獲得に踏み切ったのも、あと一歩のところでどうしても手が届かない「ビッグイヤー」を手に入れるために必要な、ジグソーパズルの「最後の1ピース」になることを期待したからだ。

そのロナウドはここまで、セリエAでの24試合で19得点6アシストと、得点王争いでも得点+アシストのランキングでもリーグトップに立つ活躍を見せ、ユヴェントスの絶対的エースとしての地位を完全に確立している。しかし肝心のCLでは、GS初戦でレッドカード、ここまで5試合で1得点2アシストと、今のところ期待ほどの活躍は見せていない。

しかし、それはユヴェントスにとっても彼にとってもそれほど重要なことではない。彼に求められているのは、シーズンの命運を分けるようなCLの勝負どころで決定的な違いを作り出しチームに勝利をもたらすこと、ただそれだけだからだ。その意味ではこのアトレティコとのラウンド16こそが、本当の意味でロナウドの真価が問われる今シーズン最初の舞台だと言える。

その決戦に向けたロナウド、そしてユヴェントスの状況はどうなのか。

マッシミリアーノ・アッレグリ監督は例年、シーズン前半はシステムやメンバーを固定せず、中核を担う選手たちがそれぞれ持ち味を存分に発揮して、しかもチーム全体としてバランス良く効果的に機能するような「組み合わせと配置」を見出すことに注力。それが見つかった後は試合を重ねる中で相互の連携を深めるというやり方で、勝負どころとなる後半戦に向けてチームの完成度を高めてくるのが常だ。

今シーズンは、ロナウドという新たなエースをいかにチームに組み込むか、彼が最も持ち味を発揮できる「組み合わせと配置」はどこにあるのかが、唯一最大の探求テーマだった。4-3-3を中心に複数のシステムを試し、その中でメンバーを様々に入れ替えた結果、とりあえずたどり着いた結論は、「ロナウドとマリオ・マンジュキッチのペアは動かせない」というものだった。

ロナウドとの位置関係を常に意識しながら左サイドとゴール前を行き来し、ポストプレーからスペースを作る/スペースに飛び込む動き、さらには守備時の激しいプレッシングまで、90分を通して献身的に動き回り、攻撃のメカニズムの中で常にロナウドの「影」として機能するマンジュキッチ。彼は、ロナウドが自由に前線を動いて仕掛けとフィニッシュに絡み、決定的な仕事をするために不可欠な存在となっている。

ここが固まった後、次に来るのは、彼らの存在を前提としながらチーム全体が攻守両局面でバランス良く、効果的に機能するよう残りのパートを調整するというステップだ。アッレグリは今もなおこの段階でいくつかのトライ&エラーを続けている。その鍵となっているのが、3人目のアタッカーを誰にし、どのような機能を与えるか。

ここでクローズアップされてくるのが、ロナウドと並ぶ攻撃のリーダーとしての役割を期待されながら、そのロナウドに食われる形で不完全燃焼気味のシーズンを送ってきたパウロ・ディバラである。

■ディバラの生きる道は?

背番号10を背負うディバラが、ユーヴェ攻撃陣の中でもロナウドに次ぐクオリティを備えたトップクラスのタレントであることは疑いのないところ。しかしパレルモからユヴェントスに移籍して4年目の今シーズンに至るまで、重要な試合で決定的な働きを見せチームに勝利をもたらす絶対的なエースへの飛躍という、誰もが期待するワールドクラスへの最後のステップを実現できずにいる。

アッレグリ監督は前半戦、ロナウドと2トップを組ませたり、ウイングとして3トップの一角で起用したりと、ディバラを純粋なアタッカーとしてロナウドと共存させようとしてきた。しかしシーズン半ばからは、形の上では3トップの右ウイングながら、かなり内に絞った、しかも下がり目のポジションでトップ下的にプレーさせることで、中盤と前線をつなぐ「リンクマン」として機能させようと試みている。

ディバラ本人にとってそれが不本意なことなのかどうかを知る術はない。しかし指揮官の狙いが、この起用法を通じてディバラのすぐれたプレービジョン、繊細かつ正確なパスワーク、豊富なアイディアと創造性を、フィニッシュではなくそのひとつ、ふたつ前のプレーに活かし、ロナウドとの共存、チーム全体の攻撃力アップという「一石二鳥」を実現することにあるのは明らかだ。

ローマ時代には攻撃的MFだったミラレム・ピアニッチを、かつてのピルロを彷彿させる偉大なレジスタ(ゲームメーカー)として開花させたように、アッレグリはディバラのプレーゾーンを10m下げることによって、例えば今回の対戦相手であるアトレティコ・マドリーのアントワーヌ・グリーズマンのようなストライカーではなく、むしろクリスティアン・エリクセン(トッテナム)のように中盤と前線をつなぎつつ決定機を演出し、自らもフィニッシュに絡む司令塔として新境地を拓かせたいのかもしれない。

問題は、まだこの「ロナウド&マンジュキッチとディバラの共存」が、完成の域にまで達しているとは言えないところ。実際アッレグリ監督は「3人目のアタッカー」としてディバラだけでなく、フェデリコ・ベルナルデスキ、ドウグラス・コスタもローテーションで起用してきた。そして、このアトレティコ戦を前に、マスコミの議論で最も大きな論点となっているのもここ、すなわち「ディバラはプレーするのか」である。

■アッレグリの選択

ユーヴェの予想スタメンは、11人中8人まではほぼ固まっていると言っていい。GKヴォイチェフ・シュチェズニーに始まり、故障からようやく復帰したレオナルド・ボヌッチとジョルジョ・キエッリーニのCBペア、サミ・ケディラ、ピアニッチ、ブレーズ・マテュイディという中盤の逆三角形、そして前線のロナウドとマンジュキッチは「確定」である。焦点は、3人目のアタッカーに誰が起用されるか。その人選は、指揮官がどのようなゲームプランを選ぶかによって決まってくる。左右のサイドバックは、そこが決まった後に全体のバランスを取るための調整弁的な位置づけになるはずだ。

マスコミやサポーターの期待は、もちろんディバラの起用にある。しかし、この試合は敵地マドリードでのアウェーゲームであり、ホームの観衆を味方につけたアトレティコが、前線から厳しくプレッシャーをかけてビルドアップを妨害、高い位置でボールを奪っての逆襲速攻を狙ってくる可能性が非常に高い。

そうなるとユヴェントスにとっては、みすみすとその罠にはまりに行くよりも、むしろボールにのしを付けてアトレティコに献上し、主導権を相手に委ねて逆にカウンターを狙うというしたたかな戦い方が有効な選択肢になってくる。その場合、「3人目のアタッカー」は、頻繁に中盤に下がってボールに絡むことで中盤でのポゼッション確立に加勢し、そこから前線に質の高いボールを送り込もうとする司令塔としてのディバラよりも、カウンターと1対1突破で威力を発揮するD・コスタ、あるいは守備の局面で最も信頼できる上、攻撃でも一定の貢献が期待できるオールラウンダーのベルナルデスキの方が向いているようにも思われる。

果たしてアッレグリ監督はどんな決断を下すのか。そしてユヴェントスは悲願のCL制覇に向けて、ポジティブな一歩を踏み出すことができるのか。キックオフの笛が待ち遠しい。

文=片野道郎(イタリア在住ジャーナリスト)

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