ドルトムントを支える名スカウト…オーバ、デンベレ、レヴァを発掘した魔法使い

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Goal / Imago / Getty
ニュースのヘッドラインを飾ることはないが、44歳のスカウトは最も替えのきかないメンバーの一人だ

シグナル・イドゥナ・パルク周辺では恒例になりつつあるが、毎年夏の移籍市場はボルシア・ドルトムントにとって、自分たちの中心選手たちへの他クラブからの興味・関心を払いのけなければならない緊張感が続く期間である。しかし、ドルトムントのライバルたちから狙われているのはウスマン・デンベレやピエール・エメリク・オーバメヤンに限ったことではなかったようだ。

ピッチからは遠く離れるが、スカウトのスヴェン・ミスリンタートがドルトムントを離れることになるかもしれないといううわさはかねてより流れており、またそれはデンベレのバルセロナ移籍以上に回避することが難しいとも言われていた。

44歳のミスリンタートはドルトムントのスカウト部門を統括し、彼の仕事ぶりは周知の事実である。デンベレ、オーバメヤンやロベルト・レヴァンドフスキといった原石を発掘した彼を多くのブンデスリーガのクラブが自クラブに招き入れようと口説き、中でもバイエルン・ミュンヘンはその筆頭である。

またシュトゥットガルトもミスリンタートの獲得に興味を示しており、それ以外にもフォルトゥナ・デュッセルドルフ、ハノーヴァー、ハンブルガーSVといったクラブも彼を信奉している。しかし、ドルトムントのスポーツディレクター、ミヒャエル・ツォルクによれば、ミスリンタートは絶対に交渉にも応じすことがないメンバーの一人であるようだ。

「彼はドルトムントに残る。それがすべてだ」

ツォルクは報道陣に対してそのように答え、ミスリンタートがドルトムントを離れる可能性を閉ざした。彼らが発掘したタレントが原石であったということは、長年に渡り幾度となく証明されてきた。世界中の至るところにスカウト網を張り巡らせている中でも、ミスリンタートのタレント発掘の目は最も鋭い威光を放つ。ミスリンタートは出場機会がなかなか得られずにもがき苦しんでいた若きバイエルン・ミュンヘンのディフェンダーの獲得をクラブに進言し、それから8年後、当時燻っていたマッツ・フンメルスはワールドカップの優勝メンバーの一員にもなり、バイエルンに復帰し、世界でも有数のセンターバックの評価を受けることになった。

ヤクブ・ブラシュチコフスキ、ネヴェン・スヴォティッチ、スヴェン・ベンダーもミスリンタートに発掘された選手たちであるが、彼が発掘した原石の中でも最も傑出しているのは間違いなくレヴァンドフスキだろう。2010年に22歳のポーランド代表ストライカーを獲得したわずか450万ユーロ(約6億円)の移籍金は、世紀のバーゲン価格のひとつと言える。レヴァンドフスキはドルトムント在籍中、187試合に出場し103ゴールをマーク。クラブにブンデスリーガ連覇をもたらし、そして最大のライバルであるバイエルンへと移籍していった。

Robert Lewandowski, Jurgen Klopp, Dortmund

Pierre-Emerick Aubameyang

Ousmane Dembele Sokratis Borussia Dortmund

同様に香川真司も日本のJリーグから引き抜かれた選手であり、またデンベレとオーバメヤンは二人ともミスリンタートに発掘されてすぐさまインターナショナルなレベルでスターダムにのし上がった選手である。事実、クラブが彼と監督のどちらを取るかの2択を迫られた際に、クラブはスカウトを選んだということは彼の重要性がどれほどのものであるかを示している。

前監督であるトーマス・トゥヘルとミスリンタートの不仲はよく知られていることであり、トレーニンググラウンドでは両者による激しい口論が見られた。その際にはミスリンタートがトレーニングへの参加が禁じられたのだった。両者の不仲は、ミスリンタートが長年に渡り注視し、ドルトムント移籍が近づいていた前アトレティコ・マドリーのフォワード、オリヴェル・トーレスの獲得をトゥヘルが禁止したことが根源となっていると言われている。

理由はなんであれ、ドルトムント首脳陣が見せた対応は断固たるものであった。監督は出入りのある存在であるが、ミスリンタートのようなスターは譲渡不可能な存在である。トゥヘルは今夏新たな職探しをしていたが、ミスリンタートは新たな監督であるピーター・ボスとの仕事を始めている。そして彼のタレント発掘の嗅覚は衰えを知らない。マンチェスター・シティのワンダーキッド、ジェイドン・サンチョを特価で獲得した際にも彼は大きく関与し、記録的な移籍金がヘッドラインを賑わしている最中で、その獲得はクラブの移籍に関するポリシーが将来的にも持続可能な価値のあるものであることの証である。

近年、フンメルス、レヴァンドフスキ、マリオ・ゲッツェはドルトムントからバイエルンへ移籍していったが、ミスリンタートが同じ道をたどることはないだろう。チームがチャンピオンズリーグでこれからも好成績を残し、シグナル・イドゥナ・パルクに栄光をもたらすためにギアを上げているのと同様に、ミスリンタートはすでに今夏の移籍市場での彼の最高の仕事ぶりを頭の隅に追いやり次の仕事に向かっている。

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