セレッソ大阪組、W杯メンバー候補の現状…欧州遠征で見えた明確な課題

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日本代表の欧州遠征に臨んだMF山口蛍とFW杉本健勇。マリ戦とウクライナ戦で見えた明確な課題とは?

ロシア・ワールドカップ本大会を2カ月半後に控えた日本代表にとって、3月23、27日にベルギー・リエージュでのマリとウクライナの2連戦はメンバー発表前最後のテストマッチだった。山口蛍と杉本健勇のセレッソ大阪コンビはこの遠征に帯同。生き残りを懸けたアピールの場に臨んだ。

■戦術と自己判断の狭間に揺れ動いた山口蛍

まず山口は大島僚太(川崎フロンターレ)が右ふくらはぎ負傷というアクシデントに見舞われたことで、マリ戦の34分から急きょ出場。長谷部誠(フランクフルト)とボランチを形成したが、アジアレベルと戦う時のようにボールを奪えず苦労した。

さらに後半になってヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「翔哉(中島=ポルティモネンセ)のサイドに蹴れ蹴れ蹴れ」と要求してきたことに困惑。右サイドにいた本田圭佑(パチューカ)らとリズムを作りながら左に展開しようと考えていたために、戦術と自己判断の狭間に揺れ動くことになった。

結果も格下であるはずの相手に1-1で引き分けるのが精一杯。

「もっと1つになってやらないとうまくいかないことが多い。今は1つになれていないという感じを受けるので、根本のそういうところからまとまっていかないといけない」と本人も一体感の重要性を改めて口にした。

それは、2012年ロンドン五輪での成功、2014年ブラジルW杯での失敗を踏まえ、彼なりに導き出した答えなのだろう。「コミュニケーションはピッチ内でやればいい」というポリシーの山口だから、自らハリルホジッチ監督に意見をぶつけに行ったり、ミーティング開催を働きかけるようなことはしなかったようだが、本人なりに近いポジションの選手と話して改善策を模索していったという。

その成果がウクライナ戦で出たのか、序盤の試合内容は明らかによくなった。山口自身のコンディションも上がり、動きにキレが出てきたのも確かだった。しかし、ウクライナの個人能力の高さは想定以上で、長谷部との守備力に長けたダブルボランチでも思うようにボールを奪えなかった。

「相手のツーオフェンシブ、ジンチェンコ(マンチェスター・C)とマリノフスキー(ゲンク)が引いてボールを引き出して、そこに右アウトサイドのボンフィン(シャフタール)も下りてきて中盤の数的優位を作られた。僕と蛍の中盤はかなりしんどく走りまわされていた。とにかく回されて疲れさせられた。それがジャブのように体力的には来ていた」と長谷部が説明したように、鉄人ダイナモの山口でもさすがに連戦でこの状況は堪えたに違いない。

その積み重ねが69分の2失点目のシーンにつながってしまった可能性もある。ウクライナのキーマンであるコノプリャンカ(シャルケ)が得意のドリブル突破を図ると、右サイドバックの酒井高徳(ハンブルガーSV)がかわされ、スライディングに行った山口もはがされてしまった。次の瞬間、マイナスクロスを受けたカラファエフが右足で一閃。致命的な決勝弾を浴びてしまった。

代表経験豊富でハノーファーでもプレーしたことのある山口は一瞬のスキも逃さないのが世界レベルだと十分理解していたはずだが、90分フル出場したウクライナ戦で厳しい現実を改めて突きつけられた。この教訓をどう生かすかが、今後のJリーグやAFCチャンピオンズリーグ(ACL)、そしてロシア本大会の成否に直結するはずだ。

■新たな命題を突き付けられた杉本健勇

一方の杉本は、マリ戦こそ出番なしに終わったが、ウクライナ戦は待望の先発1トップのチャンスを与えられた。大迫勇也(ケルン)が右太ももに違和感を訴えたこともあるが、ハリルホジッチ監督は日本屈指の長身FWを屈強なウクライナDF陣と対峙させ、どこまで仕事ができるか見てみたいという思いもあったのだろう。

尹晶煥監督体制になった2017年から1トップとして攻守両面で目覚ましい進化を続けている杉本はこの日も前からの守備に奮闘していた。ハードワークの意識は高かったものの、思うように高い位置でボールを奪えない。前線でボールを収める動きに関してもアジアよりはるかにレベルの高いDFの守りに苦戦。本人も昨年11月のブラジル、ベルギー2連戦以来の力の差を感じたはずだ。

その部分が如実に出たのが、ウクライナが先制点を奪ったシーン。マリノフスキーからラキツキー(シャフタール)がボールを受けた瞬間、杉本はシュートへのチェックが遅れてしまった。「ケアしないといけないと話していたけど、失点のシーンでやられてしまったのはもったいない」と彼自身も悔やむ。ラキツキーが放ったシュートはコースが変わり、ゴールネットに突き刺さった。失点に絡んだのは悔しいの一言に尽きる。このワンプレーをどう成長の糧にするのか。C大阪のエースは新たな命題を突き付けられた。

結局、この日は56分に小林悠(川崎F)との交代を強いられた。前半終了間際に自身が奪ったファウルから柴崎岳(ヘタフェ)がFKを蹴り、槙野智章(浦和レッズ)が頭で合わせて得点につなげたことは、少なからず前向きな要素と捉えられる。こういった地道な仕事を増やす努力を続けていくしかない。

ただ、山口、杉本ともに日本の勝利に貢献することができなかったのは確か。W杯メンバー23人に滑り込める確証も得られなかった。指揮官は「非常にデリケートな判断を下していかなけれないけない」とコメントしたが、最後の決め手は大会直前のパフォーマンスだろう。

それはここから一気に上げることが可能なはず。ケガで離脱している清武弘嗣にしても同様だ。ハリルホジッチ監督は清武の復帰を待ち望んでいる様子をしばしば垣間見せているだけに、まだまだチャンスは皆無ではない。そこは本人も肝に銘じておいてほしい点だ。

C大阪のロシア行き候補3人に共通して言えるのは、ここからクラブでの一挙手一投足に強くこだわらなければならないということ。目下、C大阪はリーグ戦で未だ勝利がなく15位に沈む。1つ1つのゲームを大事にし、確実に結果を残していくことしか輝かしい未来は開かない。国内外問わず、メンバー発表へ向けた最後のアピール合戦がここから始まる。

取材・文=元川悦子

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