スタメン奪取に闘志を燃やす駒井善成…“がむしゃらな”ドリブラーに見えた浦和レッズの強さ/コラム

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©Getty Images
AFCチャンピオンズリーグのウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦で大勝を収めた浦和レッズ。この試合に右ウイングバックとして出場し、MOMに選ばれた駒井善成の心情やプレーを通し、浦和のチームとしての強さに迫った。

「俺も絶対に結果を残したい」

ゴールショーの口火を切り、歓喜の赤い輪に囲まれる関根貴大を傍目に、駒井善成はひとり闘志を燃やしていた。

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)・グループステージ第5節のウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦。駒井はACLで4試合連続のスタメン入りを果たした。両ウイングバックの構成は、“左のレギュラー”を務める宇賀神友弥がターンオーバーでスタンド観戦となり、リーグ戦では右サイドの関根が左へ。そして、駒井が右に入った。

浦和に加入して2年目の駒井は、ACLでこそプレー機会を得ているが、明治安田生命J1リーグでの先発出場は開幕戦のみ。さらに今季は宇賀神と関根の両翼に、湘南ベルマーレから加入した菊池大介も参戦。ベテランの平川忠亮や負傷から復帰した梅崎司も加わり、両ウイングバックのレギュラー争いは一層激しさを増している。

「(お互いに)ライバルですけど、すごくいい友達。でも、すごくいい距離感を保てているし、実際に関根が(ゴールを決めて)活躍したら、俺らは『何クソ!このやろう』みたいな」

冗談交じりの笑顔を見せながらもにじみ出すライバル心。3歳年下のホープが先に結果を残し、「負けられない」という気持ちがより一層高まった直後だった。先制点から4分後の18分、右サイドを持ち味のキレ味鋭いドリブルで切り裂くと、ほんの一瞬現れたコースに針の穴を通すようなスルーパスを送った。「GKとの一対一を落ち着いて決めたズラ(ズラタン)に感謝します」と謙遜したが、半分以上は駒井の得点と言ってもいいだろう。さらに前半終了間際には再三狙っていた飛び出しから、李忠成のゴールをお膳立て。彼自身は得点こそ決めきれなかったが、2アシストという目に見える結果を残した。

それだけでなく数字に表れない部分でもチームを支えた。カウンターを食らった際には自陣逆サイドまで全力疾走で戻りカバーに入るなど、駒井らしさが全面に出た試合だった。こうして“がむしゃら”に90分走りきったことが評価され、この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選出される。ゴールを挙げた選手が選出されることの多い賞であることから、スタジアムはちょっとした“驚き”から一瞬どよめいた後、“納得”の拍手喝采を送った。

この活躍にライバルの関根も「やっぱり刺激は受けますね。ヨシアキくんは縦にグイグイに行くし、一対一に関してはトップクラス。抜き切るようなドリブルをするので、見ていて気持ちいい」と脱帽。指揮官のペトロヴィッチ監督も「京都(サンガF.C.)時代から今出しているものを持っていましたが、どちらかというと頭で考えてプレーするよりも感情を表に出して戦うタイプの選手でした。今は両方を考えながら、非常によく戦っています。将来は日の丸を付ける日も近いかもしれません」と手放しで賛辞を送った。

サポーターから受ける期待も大きい。駒井がボールを持つとスタジアム中が「何かやってくれるんじゃないか」という空気に包まれる。自らもそれを感じているからこそ、「もっともっといいプレーを見せたいと思いますし、しっかりそういう期待に応えられるように努力していくのがサッカー選手で大切なこと。もっともっとサポーターの皆さんを喜ばせたい」と力強く語る。

この日の活躍でペトロヴィッチ監督のうれしい悩みはさらに増えたことだろう。それでも駒井は一切気を緩めない。「出た試合でチャンスをどんどんつかんでいかないと、ここに居場所はないと思う。そういう危機感も持ちながらプレーしている」。選手層の厚い浦和でレギュラーの座を確保することは簡単ではないが、結果を残し続けることができれば、指揮官も無視することはできないはずだ。

「もっともっと結果を残して、スタメンを奪えるように頑張りたい」

今季の浦和は、駒井を始め“レギュラー”以外の選手も「誰が出ても自分の役割を全うする」という高い意識を持っている。圧倒的な攻撃力でリーグ戦のトップを走り、ACLでも中国の強豪・上海上港を抑えてグループFの暫定首位に立つ要因の一つとして、こうしたチーム内の競争意識が考えられる。“切磋琢磨”こそが、今季の浦和の強さなのかもしれない。

「常に全力で勝利を目指す」。期待を胸にサイドを切り裂く“がむしゃらな”ドリブラーが、スタメン奪取に闘志をみなぎらせ、次の試合に向けて走り出した。

取材・文=清水遼

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