ロシア・ワールドカップを終えた今、小国の躍進に注目が集まっている。UEFAネーションズリーグでリーグBながら開幕3連勝を果たし、若手選手の萌芽を感じさせているウクライナ代表もその一つだ。
オレクサンドル・ジンチェンコ(マンチェスター・シティ)やアンドリー・ルニン(レガネス)などタレントたちが国外のビッグクラブへと巣立っている。そんなウクライナを率いるのが同国のレジェンド、アンドリー・シェフチェンコである。2016年7月からチームを率いて以来、メジャー大会の出場はかなっていないが、選手の個々の質を引き上げ、コレクティブなサッカーをする代表チームの評価は高く、自身の価値も高めているところだ。
そんなシェフチェンコに『Goal』では独占インタビューを実施。ウクライナの現状や古巣であるミランやチェルシーについて話を聞いた。
■ウクライナ選手の海外移籍にはポジティブ
――近年多くのウクライナ代表選手が海外へ移籍しています。これは代表チームにとって良いことだと考えていますか?
もちろんだ。私自身それを支援しているからね。だが、ただ海外移籍すればよいわけではない。選手たちにとって重要なことは、良いリーグでプレーすることだよ。
Getty Images――ジンチェンコはマンチェスター・シティというビッグクラブへ移籍しました。ただ、出場機会は多くありません。この現状は、ウクライナ国内でプレーを続けていた場合と比べて良い状況と言えるのでしょうか?
まず言いたいのは、彼はクラブで少しずつプレーできるようになっているということだ。ただ、当然常にプレーできているわけではない。それでもシティという競争力の高いクラブのことを考えれば、そこで優れた選手たちと競争することは良いことだ。ベンチにすら入れないときもあるが、それでも彼は成長を続けている。そしてプレーしたときには、それがリーグ戦であれカップ戦であれ、彼は非常に高いレベルのプレーをしているよ。私は彼が良くなっていると思うね。
――ポーランドやベラルーシ、ハンガリーといった小規模なリーグでプレーするウクライナ人選手についても動向を追っているのですか?
もちろんだ。我々はチェックリストを持っている。私のアシスタントやスカウトが、そうしたリーグの情報も定期的に提供してくれるんだ。今後、どういった選手を招集する選手については話せないけどね。
■「クロアチアが十分に強いことは知っていた」
Getty――クロアチアとはロシア・ワールドカップの欧州予選で同組でした(※2敗)。彼らがワールドカップであそこまで勝ち上がると予想していましたか?
当然だ。我々はクロアチアの強さをよく理解している。素晴らしいタレントに恵まれた世代だ。洗練され、代表チームで戦うにふさわしい選手たちが揃っているね。どの選手も所属クラブで重要な役割を担っている。(ルカ)モドリッチや(マリオ)マンジュキッチ、(イヴァン)ラキティッチをはじめ、他にもトップレベルの強豪クラブでプレーしている選手ばかりだった。我々はクロアチアが十分に強いことは知っていたよ。
――W杯を見て、仮にウクライナがクロアチアを退けて出場していれば、あそこまで勝ち上がれると思いましたか?
W杯以前の話だ、我々は欧州予選で敗退しているからね。私はこのチームは競争力があったと考えている。確かに困難だったが、それでもチャンスはあった。だがそれをものにできなかったんだ。我々はクロアチアに勝つための準備ができていなかったんだ。そうしようとしたが、不十分だった。
――ジョゼ・モウリーニョはマンチェスター・ユナイテッドで、「時代による選手たちの変化によって困難に見舞われている」という話があります。2006年のドイツ・ワールドカップであなたがプレーしていた頃と現在率いているウクライナ代表チームの選手で、何か違いを感じますか?
ああ、確かに違うね。今の世代は当時とは全く異なるものになっている。だがそれも指揮官次第だよ。モウリーニョは適応すべきだね。ロンドンでのFIFAカンファレンスで、ディディエ・デシャンは人々の注目を集めた。彼は「今後も選手たちにTwitterやFacebookの使用を禁ずることはない」と言っていた。今の選手たちは昔とは全く違う世代なんだ。彼らには彼らの欲するものがあり、彼らの生活がある。それはごく普通のことだろう。そうした点で、デシャンは非常に洗練されたアプローチでそれに対応しているね。
■古巣ミラン、チェルシーを語る…
――ACミランは現在セリエAで5位です。最終的にトップ4入りは可能だと思いますか?
私は今のミランのアプローチが好きだ。(パオロ)マルディーニやレオナルドが戻ってくれたことは嬉しいね。明確な方向性を持って、しっかりとした基盤をあり、うまくやれている。ミランは今後もっと順位を上げると私は思うよ。
(C)Getty Images――“グランデ・ミラン“時代の多くの元チームメイトが指導者の道に進んでいます。あなたや(ジェンナーロ)ガットゥーゾだけではなく、(フィリッポ)インザーギ、(ヤープ)スタム、(クリスティアン)ブロッキといった面々もそうです。次に誰がここに加わるでしょう?
アレッサンドロ・ネスタもそのリストに忘れちゃだめだよ。だが、誰が次かはわからない。指導者としてのポストを探すのは選手としてプレーするよりずっと難しい。とても競争的な職場なんだ。そのリストがもっと長くなるといいね。偉大な選手たちの偉大なチームをいくつも知っているが、よりインテリジェントな選手だった者がまず成功をつかんでいると思うよ。
――チェルシーはマウリシオ・サッリの指揮のもと良いスタートを切りました。彼は非常に短期間でチームを把握しましたが、どんな手を使ったと思いますか?
チェルシーは非常に良いチームで、素晴らしい選手たちが揃っている。サッリが求めるプレースタイルは、チェルシーの選手たちに非常によく合っているね。彼らはクリエイティブなプレーを好んでいる。チームは良いスタートを切って、良い結果だけでなく、内容もとてもハイクオリティなフットボールを披露している。

――アルバロ・モラタは昨シーズンこそ良いスタートを切りましたが、冬から長くトラブルを抱えています。元ストライカーであるあなたから、彼に何かアドバイスすることはありますか?
彼の指揮官が最良のアドバイスをしているはずだ。モラタの場合、主な問題はチャンスが転がってきたときだね。彼にはもっとゴール前で客観的になる必要がある。それができれば、もっと点を取れるようになるだろう、すぐにね。
――エデン・アザールは今シーズンすでにプレミアリーグで7ゴールを記録しています。彼はチェルシー在籍中にバロンドールを獲得できるでしょうか?
彼が今後も重要な選手でい続けられれば、いずれ獲得できるだろう。なぜいつもアタッカーが個人賞を取るのか、それは攻撃の最終局面の責任を負っているからだ。人々はゴールが決まるのを観たいのだからね。アザールはとんでもない、ファンタスティックな選手だ。だがシーズンに20~25ゴールを取るタイプじゃなかった。だが今季はすでに7ゴールを決めており、そうなりつつある。バロンドール獲得のチャンスは常にあると思うよ。
――チェルシー時代のチームメイトであるフランク・ランパードが今季からダービーの指揮官に就任しました。ジョン・テリーも最近指導者のキャリアを歩み始めたところです。彼らはこの仕事でも成功できるでしょうか?
ランパードは今シーズンからクラブを率いているが、ほんの少しだけ早すぎたかもしれない。でも2人ともよくやっていると思う。フランクはいつだって全力だ。彼はつい最近ダービーの監督に就いたばかりだが、すぐにリーグ・カップでマンチェスター・ユナイテッドを破ったね。この職業では決断がすべてだ。そしてフランクは決断力のある男だ。彼は自分が何を欲しているかを理解しているし、選手としての豊富な経験も持っている。そして多くの指揮官のもとでプレーしてきた。私はいつだって彼を尊敬しているし、今も連絡を取り合っているんだ。ジョン・テリーについても同じことが言えるね。
インタビュー・文=イェヴヘン・ムジカ/Yevhen Muzyka
構成=Goal編集部
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