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コウチーニョの去就は関係ない?リヴァプールの緊急課題は守備の改善

開幕戦というものはシーズン最初の試合なのだから、選手たちも興奮し盛り上がる試合になるのが普通だ。しかしリヴァプールにとってはそうはならなかった。ワトフォード相手に3-3という結果に終わり、新シーズンのキックオフにもかかわらず、去年いやそのずっと前から長らく叫ばれてきた問題がまたしても持ち上がってしまったのだ。

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攻撃陣がスカッとするような好プレーで得点を重ねても、守備陣の思考停止なプレーによって無に帰す。そんないつものレッズの光景がそこにはあった。相手GKを完膚なきまでに叩きのめしたとしても、勝ち点3を持ち帰ることができない試合がリヴァプールには存在する。

バルセロナ移籍が噂されるフィリペ・コウチーニョを取り巻く状況は絶えず動き続けている。トランスファー・リクエストを提出したことに加え背中の痛みを訴えたコウチーニョは、土曜の試合を招集外となった。だがこれがヴィカレージ・ロード(ワトフォードのホームスタジアム)に赴いたレッズにとって大きな痛手だったのは間違いない。チームは中盤の創造性を欠き、明らかに彼の不在が響いていた。また太ももに痛みを訴えたララーナの不在も、同様にレッズのサイドに大きな穴をあけた。

ホームチームのサポーターたちは「コウチーニョはどこだ?」のチャントをレッズに浴びせた。これは言うまでもなくコウチーニョ抜きのリヴァプールは恐れるに足らないことを意味しており、またコウチーニョがレッズにとってあまりに重要な選手であることを十分すぎるほどに示唆しているのであった。

だが実際は、きらめく中盤のスター選手の去就がどうなろうとも、リヴァプールが抱える問題はそこではない。今シーズンもピリっとしないままの守備陣に欠陥があるのは明白だ。ワトフォードサポーターはブラジル代表MFについて合唱していたが、リヴァプールサポーターの大半がTwitterなどSNSに嘆きの声を投稿していたのはサウサンプトンのDFビルヒル・ファン・ダイクについてだった。

HD Watford Liverpool

ファン・ダイクをめぐる話は、選手への不適切な接触の騒動の末に表面上は終わったものとされていた。だが彼自身が正式に移籍希望を明らかにしていること、そして改めて証明されてしまった守備の脆さから、レッズファンのファン・ダイク獲得を待望する声は強まるばかりだ。

移籍市場が閉じる8月以降もコウチーニョはアンフィールドに残ると、彼らは「断固たる立場」を声明で強調しているが、中盤のみならずディフェンスラインもレッズは補強しなければならない。

ユルゲン・クロップはプレシーズンでシーズンに向けて十分準備ができたと言っていたが、開幕戦の前半はそんな主張とは対照的にあまりにも受け身で、予測可能なプレーばかりで動きも重々しいものだった。

ステファニ・オカカに前半早々に先制点を決められたが、サディオ・マネが指揮官の標榜する「シンプルに素早く」を実践し、同点弾を沈めた。だがその後、前半終了までのレッズのプレーは平凡で、ワトフォードに弱点を露呈してしまった。

マルコ・シウバ率いるワトフォードの選手たちは最初のセットプレーのチャンスで相手選手たちが何もしてこなかったことに感謝しているだろう。ホレバスが放った右からのコーナーキックに、ノープレッシャーだったオカカが反応。ヘディングシュートはGKシモン・ミニョレを破りゴールネットを揺らした。

「最初の得点だが、みんながあのセットプレーはクリアできたはずだと言うだろうね。だが良いクロスだったし、素晴らしい走り込みだったよ。ウチの誰かがあのギャップを埋めるべきだったけど動かなかった。対処すべきだったのは間違いないね」

試合後クロップが失点シーンをこう振り返った。

試合開始30分が近づくころ、マネがリヴァプールのスタイルを思い出させる見事なプレーを見せた。ボールキープからアルベルト・モレノとパス交換、エムレ・カンをおとりにした動きでエリア内に侵入し決定機を作り出したのだ。

カンから出されたパスを受けたセネガル人スピードスターはうまくコントロールし、ゴール右上にボールを叩きこんだ。

HD Sadio ManeGetty

マネを中心としたレッズの美しいプレーだったが、守備陣の軽率なプレーですぐに帳消しにされてしまった。ノルディン・アムラバトがモレノにルーズボールの競り合いで勝つと、ワトフォードは右サイドに攻め込んだ。ドゥクレはスペースにクレヴァリーがいることを見つけるとパスを出し前に駆け上がり、混戦となったゴール前からこぼれ落ちたボールをゴールに流し込んだ。これでワトフォードが再びリードを奪った。

「2失点目はアンラッキーだったし、フォーメーションの問題があったね。アルベルト(・モレノ)は競り合いに敗れたことでうまれたものだ。あれがファールだったかどうかは私にはわからない。いずれにせよあれでギャップが生まれて、彼らはパスを通したわけだ。オフサイドだったようにも思うが、どうだったか実際はわからないね」

クロップは語る。

待望のプレミアリーグデビューのはずが前半まるで機能していなかったモハメド・サラーに、ハーフタイム後ようやく息が吹き込まれた。

HD Mohamed Salah Roberto Firmino LiverpoolGetty

54分、サラ―が快足を活かしてエリア内に侵入すると、GKエウレリョ・ゴメスのファウルを誘いPKを獲得した。これをロベルト・フィルミーノが正確に決めてみせ、再び同点に追いついた。

この同点でようやく勢いづいたレッズはわずか2分後、デヤン・ロブレンのパスからフィルミーノが素晴らしいタッチでキーパーの頭上を越えるボールを放つと、最後はサラ―がつま先で触れる形でゴールに流し込んだ。

エジプト代表FWは自身の競争力の高さを示すことができたが、もっと前半から頭を働かせてプレーしていればハットトリックだって達成できていたはずだ。とはいえ彼だけがリヴァプールでダメだったわけではない。守備陣の問題を解消しない限り、彼らは今シーズンもチャンスをつかむことはできないだろう。

試合終了間際、混み合ったエリア内でミゲル・ブリートスがミニョレの背後をとりボールを押し込んだ。オフサイドの主張はあったものの、結局ワトフォードは勝ち点1を掴むことに成功したのだ。

「我々は後半に2つの素晴らしいゴールがあったね。それについてはとても良いことだ。我々の時間を作ることができたが、最後オフサイドによるゴールでそれが奪われてしまったんだ」

クロップはそう不運を嘆いた。

「こんなのは面白くないね。受け入れがたいことだ。まったく良い気分じゃないよ。だけどもっと良くなれる、良くならないといけないのはわかっているよ」

もちろん、指揮官は改善点に気づいているだろうし、その問題に取り込むはずだ。しかし、その兆しがシーズン中に見られるかどうかは定かではない。プレシーズンの仕上がりを披露する開幕戦で、弱点を露呈してしまったのだから。

文=メリッサ・レディ/Melissa Reddy

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