エル・クラシコのカギはサイドバック…スペイン名物記者が戦術を徹底解説【直前プレビュー】

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(C)Getty Images
エル・クラシコを前にスペイン『マルカ』のエース記者エンリケ・オルテゴが戦術を徹底プレビュー。両チームカギとなるのは、サイドバックだという。

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すべての試合に個別の戦いが内包されているが、クラシコも例外ではない。この一戦で強調されるのは、マルセロとジョルディ・アルバを主役とする両サイドの争いである。

レアル・マドリー、バルセロナは守備から攻撃へのトランジションにおいて、マルセロ、J・アルバが位置する左サイドを多用する。その二つの攻守における争いが、試合全体に多大な影響を及ぼすと言っても大袈裟ではない。

マルセロが守備よりも攻撃に秀でていることは周知の通り。彼の基本的なポジションは、ハーフウェーラインの前後数メートルで、相手陣地にいることの方が多い。攻撃参加は自由意思で行われ、大外のほか、左サイドハーフのためのレーンを使用。その冒険の終わりとなるプレーは、クリスティアーノ・ロナウドを目標にしたクロスが多いが、ペナルティーエリア手前で個人技を見せたり自らフィニッシュに持ち込んだりすることもある。

C・ロナウドとマルセロの連係は抜群だ。これまで、C・ロナウドはマルセロのアシストから19得点(リーガ13得点、チャンピオンズリーグ6得点)を記録し、マルセロはC・ロナウドのアシストから5得点(リーガ4得点、CL1得点)を記録。しかし今季に限っては、CLでC・ロナウドがマルセロのパスから1点を決めているだけにとどまり、成果を挙げていない。

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一方、最近のジョルディ・アルバは過去に中盤の選手であったことを思い出しているようで、マルセロのような高い位置取りでプレーしている。抜群のスピードを生かして、マークする選手よりも先にクロス、シュートのポジションまでたどり着く。

彼の使命は、遅かれ早かれ届くことになるメッシの左サイド深くへのパスを最高の状態で受けること。そして、シュートポジションについたメッシにボールを返すタイミングを探す。J・アルバとメッシの連係は今季に入ってからさらに鋭くなり、特にリーガでその威力を発揮。メッシがJ・アルバのアシストから4点、J・アルバがメッシのアシストから1ゴールを決めている。

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ただし、彼らの攻撃での貢献は、守備においてはリスクにもなる。二人の背後にはスペースが空き、相手チームはそこを突くことで優位に攻撃を仕掛けられる。レアル・マドリーはクロース、カセミロ、セルヒオ・ラモスがマルセロが空けた相手の侵入経路に気を配り、バルセロナは左センターバック(現在はヴェルメーレン)、中盤の左サイド(主にイニエスタ)がカバーしている。

■両チームの守備の機能性

レアル・マドリー、バルセロナの両方とも、基本的にはボールを保持して攻撃を仕掛ける。テクニックで相手チームよりも優れている限りは、ボールを保持することこそが相手を封じる最大の手段となるわけだ。けれども、そのために守備面で問題を抱えることも間々ある。ジネディーヌ・ジダン、ルイス・エンリケが施した両チームの守備の機能性には、それぞれ特徴がある。

Zinedine Zidane Real Madrid Sevilla LaLiga 09122017

レアル・マドリーやバルセロナのようなチームであれば、基本的にはミドルゾーンまで後退するのが定石だろう。相手に最終ラインを上げることを促し、後方のスペースを利用するために。ただジダンのレアル・マドリーはときにその定石を破り、ボールを我が物とした相手チームに対してもGKにまで詰め寄るプレッシングを仕掛ける。センターバック(セルヒオ・ラモス&ヴァラン)はハーフウェーラインに位置し、サイドバック(カルバハル&マルセロ)がサイドハーフかサイドバック、インサイドハーフ(モドリッチ&クロース)が攻撃をスタートさせる中盤の底の選手にプレス。そしてC・ロナウドとベンゼマの2トップはサイドに開きながらセンターバックを追う。高いインテンシティーを伴いながら相手陣地で展開されるこのプレッシングは、コンスタントに行われるわけではなく、試合の流れを変えようとするときに見られる。

Ernesto Valverde Barcelona Deportivo LaLiga 17122017

対してバルベルデは今夏にバルセロナ監督に就任したばかりでなく、その後のネイマール退団、クラブの補強失敗、デンベレの負傷など不慮の出来事が相次ぎ、不利な状況からチームづくりに着手した。だが逆風にも落ち着きを保ち、ピッチで浮かび上がる問題を一つひとつ解決している。

バルベルデ率いるバルセロナは、不変であり続けた4-3-3を4-4-2に変えることが最善と考えれば実際に行動に移す。ボールの前よりも後ろに選手たちを集中する必要があれば集中させ、ルイス・スアレスのポジショニングを変える必要があれば変える。彼らが妥協しないのはボールポゼッションと、それを失った直後に仕掛けられるプレッシングのみだ。そしてこの変化は、すぐ結果に反映されている。3トップを止め、中盤の選手を一人増やしたことによって、スペースをより良い形で埋められるようになり、守備はより堅固となった。

ボールを奪われた直後に仕掛けられるプレッシングは、グアルディオラ時代のチームのように非の打ち所がない。先のデポルティボ戦でもアタッキングサードでコンスタントにボールを奪い返していたが、それこそが攻撃し続けるための最良の形である。

4選手を使用する中盤で、新たに加わったのはパウリーニョ。とりわけアグレッシブな選手である。彼はメッシを自由にプレーさせ、イニエスタの走行距離を短くし、これまでブスケッツが担当していたミドルゾーンでの“潰し”を請け負う。ブスケッツはオープンスペースに出る必要がなくなり、両センターバックの前で構え続けていられる。ただパウリーニョの長所であるゴール前への積極的な飛び出しは、前線に残ることで守備の役割を担えなくなるという短所にもなる。

■C・ロナウド、メッシ対策

試合の均衡を崩せる最たる存在であるC・ロナウドとメッシ。ここまでバルセロナはC・ロナウドを封じるための特別なプランを用意することがなかった。一方のジダンは8月のスペイン・スーパーカップで守備方法に変更を加え、コバチッチにメッシをマークさせた。

レアル・マドリーはこの試合でも4-4-2を使用するとみられるが、中盤がフラット、それともダイヤモンドになるのかは、イスコのポジション次第となる。イスコのポジションは試合中、状況に応じて変わっていくが、バルセロナにセルジ・ロベルト、そして相手陣地でプレーすることを常とするJ・アルバという両サイドバックがいることに鑑みれば、今回の中盤はよりフラットになるのではないか。

レアル・マドリーの2トップの一角となるC・ロナウドは、前線で動き回りながらゴールを狙うが、マルセロと連係を取るために左サイドに流れることが多い。これまでのクラシコでは、ゾーンディフェンスの範疇ではあるがピケとマッチアップすることが多かった。しかし今回はヴェルメーレンとのマッチアップにも臨み、彼のフィジカルとメンタルの状態を試すはずだ。

ジダンがスペイン・スーパーカップのファーストレグで試したコバチッチによるメッシのマンマークは見事に機能していたし、それをもう一度試すことも考えられる。ただし考慮に入れなければならないのは、その試合ではモドリッチを出場停止で欠いてたことである。モドリッチがいなかったために同胞のコバチッチが出場してマンマークでメッシに付き、その後方でカセミロがカバーするという二重の対策を取っていた。

そしてスペイン・スーパーカップのセカンドレグ、モドリッチを取り戻したジダンはカセミロに休みを与え、コバチッチを今度はアンカーとして起用してメッシに付かせた。コバチッチが自分のゾーンから離れるときには、モドリッチ、特にクロースが代わりにスペースを埋めていた。

だが三度コバチッチを起用するのは、ジダンにとって簡単ではない。カセミロ、モドリッチ、クロース、イスコの誰かをベンチに置けば、プラン全体に大きな影響を与えることになるからだ。現在のメッシはセカンドストライカーの役割を務め、内側のレーンをプレーゾーンとするが、このクラシコではカセミロが彼に注意を払うことになるだろう。

レアル・マドリーにとって重要であるのは、カセミロがメッシの近くに位置し、彼が自分のポジションを離れる場合にはクロースとモドリッチがすぐカバーに入ること。ただし、メッシに付く選手が早い段階でイエローをもらい、球際の争いや先んじたタックルで激しくいくことが制限されれば厳しくなる。まあそうは言つつも、いつものことながら、事の成り行きはメッシのプレー次第である。

文/エンリケ・オルテゴ(Enrique Ortego)
翻訳・構成/江間慎一郎

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