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ムヒタリアンは大きな期待を背負ってオールド・トラッフォードへやってきた。今ではレギュラーとして活躍しているが、シーズン序盤はベンチ外になることすらあった。なぜ、モウリーニョはチャンスを与えなかったのか?

何のためにヘンリク・ムヒタリアンはマンチェスター・ユナイテッドに来たのか?

シーズン当初、スタメンどころかベンチから外れることすらあったムヒタリアンに対し、疑問を投げかけたファンは少なくなかったはずだ。

ユナイテッドはドルトムントに3000万ポンド(約42億円)を支払い、ムヒタリアンをイングランドへ連れてきた。ブンデスリーガにおけるパフォーマンスがずば抜けていたこと、移籍金が巨額だったことで即戦力としての活躍が期待された。

しかし、いざシーズンが始まってみると、ジョゼ・モウリーニョ監督は起用に慎重だった。

特にイングランドに来て間もない9月、マンチェスター・シティとのダービーで「準備ができていないことを露呈」して以降、起用される機会が極端に減った。一時は「戦力外なのでは?」といった類の憶測が流れたほどだ。

事実、シティ戦の出来は控えめに言ってひどいものだった。安易なミスが多く、ボールロストを挽回するような働きも見られなかった。何よりピッチ上で戦う姿勢が見られなかった。モウリーニョ監督の逆鱗に触れてもおかしくないパフォーマンスだっただけに「ムヒタリアンはチームの外に追いやられた」といううわさが立ち上ったわけだ。

■モウリーニョが明かしたベンチ外のワケ

だが、結果としてムヒタリアンはユナイテッドに欠かせない選手へ変貌を遂げていく。そのきっかけとなったのが、11月下旬に行われたウェスト・ハムとの2連戦だった。ムヒタリアンはその前に行われたヨーロッパリーグのフェイエノールト戦で4−0の勝利に貢献していた。だが、週末のウェスト・ハム戦ではスタメンから外れた。

その理由は連戦の2戦目に4−1で勝利した後、モウリーニョ監督が放った言葉を聞けば、誰でも察しがつく。

「今日はプレミアリーグのクオリティが求められる試合だった。相手はプレミアリーグらしい試合をするプレミアリーグのチームだった。だから勝てて幸せだ」

要するに、それまでのムヒタリアンは「プレミアリーグのクオリティが求められる試合」で「プレミアリーグらしい試合をするプレミアリーグのチーム」と対戦する場合、持っている力を発揮しきれていなかったのだ。

しかし、この2連戦でモウリーニョは手応えをつかんだようだった。

「今日の試合ではっきりと分かった。今日はプレミアリーグの典型的なチームとの試合だったが、ミッキィもそういうプレーができたのだ」

「彼を獲得した理由と、イングランドに適応できるまで待っていた理由が示せてよかった。とうとう、彼を起用できる時が来たんだよ」

こうしてムヒタリアンはプレミアリーグでも出場機会を得られるようになった。以降、負傷離脱を強いられた時期を除き、ユナイテッドの主力選手として活躍している。彼がピッチから遠ざかっていた頃、ユナイテッドはいい試合をしながら勝ち点を落とすことが多かった。しかし、彼がグラウンドに戻ると、チームは停滞ムードを打破し、勝利を重ねていった。ムヒタリアンはイングランドで戦うことの意味を知り、正確なパス、創造性、得点力、そしてスコーピオンキックをユナイテッドにもたらしたのだ。

フットボールの才能を示すやり方はいくつかある。シュートを決めること、決定的なパスを通すこと、ドリブルで何人も抜くこと……。もっとも、一番な簡単な方法は一つしかない。チームを勝利に導くことだ。そういう意味でムヒタリアンは、これ以上ないアピールをチームメートやスタッフ、何よりファンにすることができた。本人の努力と、モウリーニョ監督の我慢強さが実を結んだ結果だといえる。

ムヒタリアンは、どちらの足でも強いパスを繰りだすことができ、相手ディフェンダーを簡単に置き去りにすることができる。世界最高峰のプレミアリーグでも、こんなプレーのできる選手はそうそういない。

3月に入り、いよいよタイトルレースは佳境を迎えている。ユナイテッドにとってヨーロッパリーグを勝ち取ること、そしてチャンピオンズリーグへの出場権を獲得できる4位以内でシーズンを終えることは“至上命題”と言っていいだろう。

すでにレギュラーと化しているムヒタリアンが自らの価値を証明し続け、3000万ポンドの投資が決して高価でなかったと示す結果を残せば、ユナイテッドの目標達成に結びついていくはずだ。

文=クリス・ヴォークス/Kris Voakes

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