コラム:チェルシーのダイヤモンドは輝くのか?

4-1-2-1-2はアンチェロッティの十八番

2009/08/12 2:23:12

EPL: Nicolas Anelka, Chelsea v Blackburn Rovers (PA)
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EPL: Nicolas Anelka, Chelsea v Blackburn Rovers (PA)

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イングランドの場合、シーズン前にフォーメーションが話題になることはまずない。長い間(中盤をフラットにする)4-4-2と相場が決まっていたからだ。外国人監督が増え、ジョゼ・モウリーニョやスペインサッカーの影響により、4-3-3や4-2-3-1が出て来た程度である。

そういう意味では中盤をダイヤモンド型にする4-4(1-2-1)-2は馴染みがないが、そのシステムこそチェルシーの新監督、カルロ・アンチェロッティの十八番である。

ミランでは世界屈指の輝きを放つようカットされたダイヤモンドを形成していた時代もあった。のちにストライカー不足でクリスマスツリー型(4―3-2―1)へと変わるまで、アンチェロッティはそのフォーメーションを維持した。

ただ、チェルシーのダイヤモンドは当面、ミランよりも荒削りとなりそうだ。

9日のコミュニティーシールドではPK戦の末、マンチェスター・ユナイテッドを下したが、チェルシーのダイヤモンドは前後半でいい面と悪い面の両方を垣間見せた。前半はユナイテッドのピッチを広く使ったプレーにいとも簡単に翻弄され、後半はプレミア王者を押し込んで、試合の主導権を握った。
実戦さながらのテストは、相手のユナイテッドも万全の状態とは言えなかったが、イングランドのクラブにとって、イタリア伝統のシステムに馴染みがないのは確かだった。

チェルシーのディフェンスの強さは疑いようがないし、1トップが多かったディディエ・ドログバがパートナーを得れば、相手チームにとっては辛い。チャンスを与えられれば(移籍が噂された)アグエロは(かつてのエース)ゾラを凌げただろうが、アネルカでも悪くはない。

悲願のチャンピオンズリーグ制覇に向け、カギを握るのは中盤である。表向きはジョン・オビ・ミケルを絶賛しているアンチェロッティだが、アンドレア・ピルロを現在のような司令塔に育て上げた指揮官なら気づいているはずだ。ミケルにはハーフウェイラインからチーム全体を束ねるために求められる、以心伝心、かつ寸分のズレもないパスを送れる天性の能力はない。ミケルは力があるし、まだ若いが、ピルロとは違う。

ユナイテッドのスコールズはそれを持っている。ただ、バルセロナのシャビですらイニエスタがブレイクする前は、今のようにひとりでボールをキープできてはいなかった。ピルロが持っていたのは、それくらい貴重で稀な能力なのだ。だからこそ、歳を取り、スランプに陥って、コンディションに問題があっても、アンチェロッティはピルロの獲得を望んでいたのだ。

目先のことだけを考えれば、ミケルよりミヒャエル・バラックのほうが上かもしれないが、ベテランのバラックがトップレベルで戦える時間は限られているのに対し、ミケルはよくなる一方である。

次にマイケル・エッシェンとガットゥーゾに関しては、よく似ている。ボール・ポゼッションに関しては、ガーナ代表のほうがイタリア代表より多少上回るが、執拗なマークではガットゥーゾに軍配が上がる。つまり、2人の勝負は引き分けだ。

その逆のサイドに入る選手については、またもチェルシーの分が悪い。アンチェロッティは幅の広さを求めたいところだが、バラックでは期待するほど動いてくれそうにないし、ウインガーとしてしかプレーしたことがないフローラン・マルダにそれ以外の役割を求めても無理がある。マルダとクラレンス・セードルフでは格が違うし、新戦力のユーリ・ジルコフもそこまでの選手ではない。

強さとパスセンスと運動量を兼ね備えたセードルフがいてこそ、ミランのダイヤモンドは機能した。現代サッカーでは彼に匹敵するプレーヤーはいない。アルベルト・アクイラーニはその系統だが、ともかくケガが多い。イニエスタやウェスリー・スナイデルもいるが、強さの面を考えると、アンチェロッティがマレク・ハムシク(ナポリ所属のスロバキア人MF)のような若手に賭けてみようと思わない限り、セードルフに対抗できる可能性があるのはスナイデルくらいだ。

最後にダイヤモンドの頂点、チームの花形はフランク・ランパード。本人も認めている通り、ランパードは新しいフォーメーションで必要とされる伝統的な10番タイプのようにひらめきでプレーする選手ではない。しかし、彼がとにかく結果を出せる選手なのは事実である。カカーやルイ・コスタほどの創造性はないが、大事なシーンでゴールさえ決めてくれればそれで充分だ。

こうして検証すると、チェルシーのダイヤモンドはミランよりずっと創造性に欠けていて、そこが弱点なのは一目瞭然。移籍マーケットが閉まる8月末までに修正が必要である。

チェルシーの上層部が新監督にミラン時代と同じ成功を求めていて、アンチェロッティが自分のシステムにこだわるなら、予算を抑えた補強だけでは足りない。シーズン終盤、ダイヤモンドを眩しいほどに輝かせるには、実力者をあと1人は補強すべきである。

Sulmaan Ahmad,Goal.com

 
 
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