コラム:ネスタのアッズーリ復帰を望む
コンディションさえ整っていれば、ネスタこそ理想のDF
2009/10/29 16:17:45
2009年、スポーツ界では多くの復活劇が見られた。ランス・アームストロングは4年のブランクを経て自転車レースに復帰、ツール・ド・フランスで3位入賞。女子テニスのキム・クライステルスは引退表明から2年、母となって全米オープンを制した。40歳のF1ドライバー、ミハエル・シューマッハはコンディションに問題がなければ、負傷したフェリペ・マッサの代わりにフェラーリのドライバーとして復帰する予定だった(注:結局、首の痛みで断念)。
そしてサッカーでは、ミランのアレッサンドロ・ネスタ。慢性的な腰痛に悩まされていた33歳のディフェンダーには5月初めの時点で引退の噂まであった。2008年5月11日のナポリ戦を最後に実戦から遠ざかり、復帰間近とされてから痛みが再発、今年2月に手術を受けていたからだ。
昨シーズンの最終戦、フィオレンティーナとのゲームに途中出場、ほぼ1年のブランクを経てピッチに戻って来たものの、コンディションは万全とは言えず。その試合が現役最後になるかもしれないとの見方もあった。
それだけに5カ月が経った今、コンディションの良さはもちろん、世界ナンバーワンのディフェンダーに返り咲こうとしているとは、誰も想像できなかったはずだ。今シーズンはリーグ戦、カップ戦を含め、全13試合に出場。所属するミランがここ25年で最低のチームと称されている中、最終ラインでひと際、存在感を見せている。
レオナルド監督も25日、「ネスタについては言うことなしだよ。チームにとって一人のディフェンダー以上の大きな存在になっている。後光が差しているね。またプレーできるのか不安な状態でシーズンをスタートしたとは思えない」と絶賛した。
セリエAでは4位タイまで持ち直し、チャンピオンズリーグでも第3節でレアル・マドリーに3-2と競り勝ったことでベスト16入りに近づいてきたミラン。それもひとえにネスタのおかげである。
コンディションさえ整っていれば、スピード、テクニック、高さ、パワー、頭脳とどれを取っても相手フォワードを凌ぐネスタ。理想的なディフェンダーである彼の弱点はピッチでのコミュニケーション不足、ときとして起きる集中力の欠如、そしてケガがちなことである。
特に大きいのがケガの問題。ワールドカップでは3大会連続で満足な貢献ができなかったこともあり、2006年に優勝した後、代表からの引退も表明している。
それでも今シーズンの復活劇によって、ネスタの代表復帰を願う声が高まっている。僕もその一人である。
しかしネスタ本人は頑な姿勢を崩していない。25日のキエーヴォ戦ではまさかの2ゴールでチームを2-1での逆転勝利に導いたが、「(代表に)戻るつもりはない。戻るのが嫌なわけじゃないけど、体への負担が心配なんだ。みんなの声は聞いているけど、リッピ監督も僕の状況は理解してくれていると思う。南アフリカではイタリア代表を応援する側に回るよ」とコメントしている。
代表のセンターバックのレギュラーはカンナヴァーロとキエッリーニだが、ユヴェントスの2人のうちどちらかがケガや出場停止で出られなくなった場合、かなり手薄である。ワールドカップの期間中、ずっと同じ2人で乗り切れる国は珍しい。イタリアが勝ち進めば進むほど、レグロッターリエやマテラッツィ、ガンベリーニといったメンバーを起用せざるを得ない可能性が高まるが、スペインやブラジルといった強豪相手となると不安が募る。
もしネスタがいれば、イタリアの選択肢は広がる。センターバックをネスタとカンナヴァーロにして、キエッリーニを左サイドバックへスイッチすれば、グロッソを中盤へ上げられる。あるいはネスタとキエッリーニが組めば、36歳のカンナヴァーロを休ませることができて、終盤の戦いに備えられる。何より重要なのは相手のフォワードがネスタの存在を脅威に感じるという事実だ。
南アフリカへ乗り込むイタリアに世界最高のディフェンダー(ネスタ)、イタリアナンバーワンの司令塔(トッティ)、そしてセリエAで今一番の選手(カッサーノ)がいれば、アッズーリはどんな相手とも互角に戦える。残念ながら、3人のうち実際に可能性があるのはトッティのみ。しかも、フィットネスには不安がある。
ただ、リッピ監督がワールドカップに臨むメンバーを発表するまであと6カ月ある。それまでにネスタに代表引退を撤回してもらえばいいのだ。ネスタがしばらく代表から遠ざかっていることも、リッピ監督なら問題視しないはずだ。実際、トッティにしてもアマウリにしても同じような状況になるからだ。ネスタの代表引退は、南アフリカで7試合プレーしてからでも遅くはないはずだ。
2009年がスポーツ界にとって復活の年だとしたら、イタリアサポーターは2010年、アッズーリで再びネスタの勇姿を見たいと願っているに違いない。
カルロ・ガルガネーゼ/Goal.com
