コラム:デル・ピエーロはユーヴェを救えるか?
全盛期は過ぎているが…
2009/10/24 2:54:21
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選手
開幕前の気持ちを思い出すのは、正直難しいのかもしれない。
明るいムードだったユヴェントスのキャンプ。ブレーメンから2450万ユーロでジエゴが加わり、フェリペ・メロもそれに迫る額でフィオレンティーナから加入。若きチロ・フェラーラ監督の新たな戦術も期待を集めていた。昨シーズン、ヨーロッパを席巻したバルセロナのように、ショートパスを多用したスピード感のあるゲームを目指すとしていたからだ。ジエゴとデル・ピエーロを併用しつつ、ジョヴィンコがウィングに入り、攻撃的な3人が共存する魅力的な形になるとの噂さえあった。
新しいユヴェントスを誰もが楽しみにしていた。
ところが10月が始まる頃までには、開幕前の期待は崩壊。アウェーでパレルモに0-2で敗れ、ジエゴは途中でベンチに下げられた。今シーズンの柱となるはずだったパスサッカーを捨て、トレゼゲとイアクインタの頭めがけて、ロングボールを放り込む始末。このサッカーのどこが魅力的なのか? ユヴェントスはバルセロナというよりむしろボルトンに見えた。
パレルモ戦以上に気になるのは、リーグ8試合で12ゴールしか挙げていないこと。絶好のスタートを切った司令塔のジエゴは調子を落とし、フェリペ・メロも第2節のローマ戦でダメ押しとなるゴールを挙げたときの勢いはまったくない。
こうなると、専門家がユヴェントスの救世主を探し始めるのは当然だ。そして、多くの人がキャプテンのデル・ピエーロに白羽の矢を立てるのも無理はない。
ただ、救世主は左足のケガで11月半ばまで戻って来られない。筋肉系の問題で、回復にも長い時間がかかっている。34歳になったスーパースターにクラブを立て直せるだけのやる気、スタミナ、能力は残っているのか?
可能性はゼロではないが、難しいだろう。
8月初めのピースカップ決勝でPKを失敗、準優勝に終わって以来、ピッチには立っていないデル・ピエーロ。休養は十分で、やる気もあるはずだ。昨シーズンの後半戦で並の出来だったのは、ピークが過ぎたのではなく、疲れのせいだと信じることにしよう。
コンディションが整ったデル・ピエーロには、たとえ全盛期は過ぎていてもユヴェントスを蘇らせる力が残っているかもしれない。ジエゴの代わりにピッチに立てば、ゴール前でそのテクニックやシュート力、ショートパスのセンスを発揮して、試合の流れを変えられる。しかも、フリーキックも得意だ。彼以上のキッカーは世界でも限られている。フェラーラ監督がこのままジョヴィンコを軸にするつもりがないなら、クラブの歴代最多得点者をベンチに入れておくのは悪くない。さらに、ジエゴの調子がなかなか戻らない場合、先発で起用される可能性もある。
実際にデル・ピエーロは開幕前、「セリエAとワールドカップは並列の目標だ。ユヴェントスで活躍すれば、代表にも手が届く」と語っていた。
南アフリカ行きを叶えたいなら、ここ2、3年、部分的にしか見せていなかった好調さをコンスタントにアピールする必要があるが、無理だと決めつける前に、デル・ピエーロがこれまで何度も私たちを驚かせてきたという事実に目を向けたほうがいい。
1998年にひざのじん帯を傷めたあと、ディフェンダーを難なくかわしていたかつてのスピードこそ失ったものの、別の形でストライカーをサポートする選手へと変貌を遂げたデル・ピエーロ。ユーロ2000での屈辱からも立ち直った。周囲がイメージする以上に打たれ強いタイプなのだ。
しかし、ユヴェントスがデル・ピエーロを救世主と仰ぐこと自体、監督選びや移籍方針の失敗を露呈している。仮にキャプテンの力で28度目のスクデットを獲得できたとしても、フェラーラ監督もスポーツディフェクターのアレッシオ・セッコもクビになる可能性はある。
監督としてのフェラーラの経験不足を指摘する声も高まっている。ロベルト・ドナドーニ、レオナルド、ピエルイジ・カシラギと同様、監督就任は時期尚早だったというわけだ。デル・ピエーロ不在でも、ヨーロッパ屈指のタレントが揃っているのに、セカンド・ギアの状態から抜け出せていないユヴェントス。今の彼らは何かがおかしい。
デル・ピエーロが救世主になれたとしても、トロフィー獲得以外にフェラーラ監督が生き残る道はないだろう。
ジル・ギレスピー/Goal.com
