長い歴史のなかでも屈指の盛り上がりを見せた152回目のマンチェスター・ダービー。まさかの守りのミスあり、鮮やかなフィニッシュあり、そして主役の座をさらったのはスーパーサブ。サッカーの魅力が詰まった熱戦を4-3で制したのは、マンチェスター・ユナイテッドだった。
それまでマンチェスター・ダービーと言えば、1974年のデニス・ローのヒールキックが有名だったが、今回オーウェンが決めた95分の決勝弾は、伝説のスコットランド代表に並ぶインパクトだった。
これからプレミアのほかのチームはこの試合以上に面白い勝負を目指して、今後の戦いに挑むことになる。この10年で一番のゲームになる可能性さえあると言っても過言ではない。
もう1人、素晴らしいプレーでユナイテッドの誇りをアピールしたのがスコットランド代表、フレッチャー。大事なゲームで勝負を決められるワールドクラスのプレーヤーの仲間入りを果たした。ファーディナンドの痛恨のミスでベラミーに同点ゴールを許すまで、勝利の立役者になれるはずだった。
後半は圧巻のプレーでシティを翻弄したフレッチャー。ウェールズの至宝ギグスとの連係で、バリーとの空中戦を制し、まずは2-1とリードを奪うヘッドを決めた。さらに同点に追いつかれたあとにも、再びギグスのフリーキックからヘッドで2点目。今度こそ決勝ゴールかと思われた。
得点力という新たな武器を加えたのはフレッチャーにとって大きな前進だが、それがなくても全般に渡る貢献度は見事だった。
シティがどれだけ資金を持っていようとも、情熱や使命感は金では買えない。10代でユナイテッドに加わったフレッチャーの働きはそれを裏づけた。自分に目をかけてくれたサー・アレックスへの恩返しもできた。
ユナイテッドでの長い経験から、ご近所の成り上がりを締めつけて、絶対に勝ち点3を掴むという強い信念を持っていたフレッチャー。そのプレーは勝利に値するものだった。
そして、ユナイテッド・サポーターを歓喜の渦に巻き込んだのは、大事なときにゴールを決められるあの男。移籍の際には疑いの目さえ向けられたオーウェンだが、自分にできる唯一の方法、つまりゴール、それもロスタイムの一発で批判に応えてみせた。
努力してなれるのではなく、生まれながらに点を取れる、それがストライカーである。昨日の冷静なフィニッシュはまさに天性のもの。あんなに落ち着いて決められるのは、オーウェンだけだ。リヴァプールで歴史に名を刻んだストライカーは、ユナイテッドでも伝説となった。
片やベルバトフはあれだけの力を持っていても、大事なゲームでは真価を発揮できていない。さらに、オーウェンの試合の流れを変えるプレーのおかげで、テベスをシティに放出してもサー・アレックスには代わりの選手がいるとも証明できた。
もちろん、すべてがバラ色というわけではない。またも目立ってしまったキーパーのフォスターは、シュマイケルというよりタイービに見えて来た。サー・アレックスによるファン・デル・サールの後継者探しは続きそうだ。
そして、ファーディナンド。一度目のミスは許せても、二度目はそうはいかない。ベラミーに対するプレーは、イングランド代表として臨んだシーズン序盤のオランダ戦でのミスを彷彿とさせるものだった。
ただし、オーウェンの決勝弾のおかげで、問題はひとまず棚上げ。ヒーローへの新天地からの喝采は、しばらく止みそうにない。
Matt Monaghan,Goal.com UK