コラム:南アでW杯を生観戦するために…

何より「宿泊と交通の確保」が大事

2009/07/31 13:35:53

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コンフェデ杯の取材から帰国後、いったい何人の人に「南アフリカどうだった?」と聞かれたことだろうか。みな一様に「何か事件は起きなかった?」と、現地の治安が気になる様子。もちろん、中にはすでにW杯のチケットを手にしている人もいるから、当然その気持ちは分かる。だが、もしW杯のチケットを確保済みで、来年南アフリカへ行くことを考えているなら、治安情勢を気に病むより、すぐにでも旅の準備に取り掛かることをお勧めする。

世界でも有数の凶悪犯罪の多い国として知られる南アフリカといえども、大会期間中は厳重な警備体制が敷かれ、犯罪に遭うリスクは、事前の準備次第でかなり抑えられるはず。だが、その準備をしていなければ、何も始まらない。チケットはあるのに最悪は南アフリカ行きを断念せざるを得ないだろう。

では、事前の準備で何をすればいいのか? まずは「宿泊と交通の確保」。つまりはどこに泊まって、スタジアムまでどうやって行って帰るのか、を確定させる必要がある。基本的に南アフリカでは宿泊施設の絶対数が不足しており、2010年には約50万人の観光客が訪れると見込まれているが、受け入れ体制が整うかは疑問である。

南アフリカ・スカウクフェイク観光大臣の最新の声明によれば、一般のサポーター向けに「W杯開催都市の市内に計15万5000室、郊外に10万室を確保している」とのことだが、先のコンフェデ杯でも、地方都市のブルームフォンテーン(マンガウン)やラステンバーグでは部屋が足りなくなるという事態が発生している。このままでは会場によっては試合のチケットは手にしているものの、宿泊先がないというホテル難民が大量に出てしまう危険性がある。ちなみに、観光大臣が発表した宿泊施設数は、ホテルだけでなく、ロッジやゲストハウス、B&B(ベッド&ブレックファースト)を含めての数字である。

前回のドイツ大会は夏に行われ、テントに泊まるキャンプ村も趣があった。しかし、冬の南アフリカでそれは無理だし(北半球のドイツに対し、南アフリカは南半球。寒い時には、2度から3度まで気温が下がる)、ただでさえ危険と隣り合わせの状況下で、泊まる場所を持たないというのは自殺行為である。確かにスタジアム近郊のエリア、ヨハネスブルクでいえば高級なサントン地区には、多くの大型ホテルが並んでいる。だが、それらはすでに関係者や大手旅行代理店に抑えられているため、予約不可能なのだ。

交通の問題も深刻だ。もちろん、南アフリカにも電車やバスはある。しかし、それらは基本的に低所得者向けのもので、そこで起きる犯罪事件は数知れず。勝手知らずの外国人が使うことは極めて困難である。となれば、移動手段はおのずと飛行機と車(タクシーおよびレンタカー、ハイヤー)に限られるが、それにも当然数の限りがある。南アフリカは元々、国内線の本数が少ないうえに、機体自体が小さいため(定員50人ほどのプロペラ機も多い)、仮に増便されたとしても、試合後にどれだけのファンを運べるかは不明である。車にしても、いわゆる運転手付きのハイヤーの需要が高いが、それには当然高いコストがかかってくる。

一応の成功に終わったコンフェデ杯でも、課題に挙がったのは「宿泊面と交通面」だった。来年の本大会に向け、不安視されるのもやむを得ない。だからこそ、早くからの準備が求められるのだ。

前回のドイツ大会で、往復の航空券と試合のチケットだけを持って、現地へ行ったというサッカーファンも多いだろう。だが、南アフリカで同じ方法を取るのは、あまりに無謀と言える。

大手旅行代理店などではチケット付きの観戦パックのほか、チケットホルダー(すでにチケットを手にした人)に対しても、宿泊と移動を一緒にしたパックツアーを販売する予定だというから、それもひとつの選択肢だろう。いずれにしろ、アフリカ発のW杯を思い切り堪能するには、早くからの準備と多少の出費は覚悟しなければならない。

取材・文/栗原正夫

 
 
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