コラム:W杯に間に合うか? 遅延する南アのスタジアム建設

遅れは心配だが、それはいつもの話。最後には何とかなるのでは…

2009/07/24 13:18:41

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来年のワールドカップ開催に向け、治安問題はもちろん、インフラ整備の遅れが不安視される南アフリカ。大会まであと1年を切り、スタジアム建設の遅れも心配される。

先に行われたコンフェデレーションズカップで使用された4会場(プレトリア/ツワネ:ロフタス・ヴァースフェルド、ヨハネスブルク:エリスパーク、ラステンバーグ:ロイヤル・バフォケン、ブルームフォンテーン/マンガウン:フリーステート)はすべて改修が完了しているが、残りの多くは度重なる労働者のストライキなども影響し、建設が大幅に遅れている。

僕は運にも恵まれコンフェデ杯取材中に6都市7会場を回ることができた。ここではその際に感じたことを紹介したい。

まずは開幕戦および決勝戦が行われるヨハネスブルクのサッカーシティ。およそ9万5000人収容のアフリカ最大のスタジアムは、ヨハネスブルクの南西、南アフリカ最大のタウンシップ(旧黒人移住区)ソウェトとの間に雄大とそびえ立っている。
前回、ドイツW杯の開幕戦の舞台となったミュンヘンのアリアンツ・アレーナを彷彿とさせるその外観は、当地の伝統的な「カラバッシュ」という“ひょうたん”をモチーフとしており、アフリカの大地を連想させる赤土色のタイルで覆われているのが特徴的だ。
角度によっては完成間近のようにも見えるが、外観はまだ7割程度しかできていない。また中に入ると、すでに椅子席はセットされているものの、ピッチ部分は土が剥き出しのまま。今後は8月にピッチに芝を入れ、9月にも完成する予定とのことだが、FIFAが定める2009年10月の整備期間までの完成は難しそうだ。

ワールドカップに向けて新設された5つのスタジアム(ポロクワネ:ピーター・モカバ、ケープタウン:グリーンポイント、ネルスプロイト:ムボンベラ、ダーバン:ダーバン・スタジアム、ポートエリザベス:ネルソン・マンデラ・ベイ)のうち、唯一完成しているのがポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイ。コンフェデ杯開催期間中の6月16日にもブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド代表からなるラグビーの連合チーム)の遠征試合で使用された。しかし、その後も周辺工事が忙しなく続いている。それでも、すでに試合が開催されたとなれば、ワールドカップへの影響はないだろう。
ちなみに、このネルソン・マンデラ・ベイの白いふんわりとした屋根部分を見て、東京ドームを思い浮かべたが、聞けば日本企業が製造する“ビッグエッグ”同様の膜製品が使用されているという。

工事の遅れが最も心配されているのがケープタウンのグリーンポイント。大勢の観光客で賑わうウォーターフロントから程近く、テーブルマウンテンと大西洋に挟まれるように新設されたスタジアムは、おそらく全10会場のなかで最も美しいローケーションだろう。
ただし、出稼ぎ労働者が多いこの地域では、スタジアム建設にかかわる人々もほとんどが外国人労働者。賃上げを求めるストも多発し、それが大幅な工期の遅れにつながっている。

コンフェデ杯終了後、7月はじめに訪れた際にも、ようやく屋根の工事に取り掛かっていたが、まだ3分の1程度が完成しているのみ。スタンドもコンクリートの下地ができているだけで、ピッチ部分はぬかるんだ土の上にクレーン車などの工事車両が何台も置かれている始末で、ゴルフ場の一部を潰して作ったというスタジアムの周囲も、まだフェアウェイの形が残っているほどだった。
完成予定を尋ねても、人によってマチマチの答えが返ってきたのが気にかかった。スタジアム取材の際に案内を担当してくれたセーフティー・マネージャーのラッセル・ニコルソンさんによれば2009年12月、現場作業員たちは来年2月と言っている。いったいどちらの言い分が正しいのか。

コンフェデ杯で使用された4会場に加え、ポートエリザベスのネルソン・マンデラ・ベイが完成したことで、未だ工事が続いているのは新設の4会場に、サッカーシティを加えた5会場。ちなみに、最近地元紙で発表された現在の工事状況は、ネルスプロイト:ムボンベラ84%、ポロクワネ:ピーター・モカバ85%、ダーバン・スタジアム80%、ケープタウン:グリーンポイント75%、サッカーシティ90%とのことである。

果たして、来年6月の開幕までにすべてのスタジアムが完成するのか? 不安の声が挙がるも当然かもしれない。
先日、7月8日から15日未明にかけても、ワールドカップのスタジアム建設などに従事する作業員7万人が賃上げを求めてストを実施。約1週間に渡り、工事がストップする事態となっただけに、予断は許さない。
それでも、スタジアム建設の遅延はこの大会に限ったことではない。アテネ五輪や北京五輪開幕前にも話題になったが、結局は間に合った(すべてが予定通りに完成したかは別にして)。
楽観的にいえば、きっとワールドカップまでには何とかなる。おそらくFIFAにしても、これくらいの遅れは想定の範囲内ではないだろうか。

取材・文/栗原正夫

 
 
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