コラム:スペインに一体何が起きたのか?

どんなにテクニックがあっても、体格やフィジカルの弱さは足かせになるということ

2009/06/29 3:39:13

Ricardo Clark, David Villa, United States, Spain (PA)
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Ricardo Clark, David Villa, United States, Spain (PA)

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まず言っておきたいのは、24日のコンフェデレーションズカップ準決勝で、アメリカは勝利に値するプレーを見せた。それはチャンスや枠内シュートの数、ポゼッションの割合で相手を上回っていたからではなく、意図や執拗さに溢れていたという点からである。万全のスペイン対策が功を奏したのだ。

ユーロ2008準々決勝でのイタリアやコンフェデレーションズカップ第2戦のイラクとは違って、アメリカはスペイン相手にまず失点を防ぐというプレーを選択しなかった。キックオフ直後から、ボールを持つと、中盤でゆっくり回そうとも相手のミスを待とうともせず、一気に急所を突こうとした。そして実際に、少ないチャンスをものにした。

スペインが負けたのは、ボブ・ブラッドリー率いるアメリカが完璧だっただけなのか? それともスペインに油断があったのか? 世界新記録の36戦無敗を成し遂げようと意識しすぎたのか?

ニュージーランドを粉砕したといっても、今大会のスペインは、1年前ユーロを制した無敵艦隊にはほど遠かったし、ケガでキープレーヤーを複数欠いていた。あまりに陳腐で使い古された言い訳かもしれないが、アンドレス・イニエスタやマルコス・セナの起死回生のプレーがあれば、と思わずにはいられなかった。実際シャビも「イニエスタがいてくれれば…」とコメントしていた。

もちろん、例えケガ人がいても、スペインにはそれを補えるメンバーが揃っていると言う人もいるだろう。確かにそうかもしれないが、ふたりの穴を完全に埋めるのは難しい。

例えば、セスク・ファブレガス。アーセナルでどんなに光っていても、代表でレギュラーを張るにはまだまだで、シャビとイニエスタには及ばないことを今大会で露呈した。準決勝の前半、普段より高い位置でプレーしたが、フィジカルで勝るアメリカに競り負けて力を発揮できず。後半はシャビと役割を交換したため、攻撃にまったく絡まなくなった。シャビが深い位置で才能を持て余すより、ゴール近くで決定的な仕事をさせるためだ。

また、攻撃の際にスペインが自信を持って押し上げることができなかったのは、中盤の底でバランスを取ってくれるセナがいなかったせいだ。守備的な役割に関してはシャビ・アロンソがしっかりとその穴を埋めていたが、セナのようにボールを奪い、カウンターの起点として猛烈な攻撃参加を見せるタイプではない。

攻撃的なプレーが身上のスペインには、ディフェンスラインの前にインターセプトが得意な選手が不可欠だ。アメリカの2ゴールはいずれも中央を経由するもの。もしセナがいれば、相手の攻撃を遅らせ、容易に中央突破を許さなかったに違いない。

シャビに関しても、前半は完全に消えていた。疲れもあったのかもしれないが、たった45分であれだけのパスミスとボールロストをしたのはこの1年で初めてだろう。後半になってようやくエンジンがかかり始めた頃には、アメリカのほうがシャビ対策を究めていた。

アルベルト・リエラやセルヒオ・ラモス、途中出場のフアン・マタやサンティ・カソルラも、サイドのプレーヤーとして悪くない。しかし、彼らからのクロスはことごとくアメリカに跳ね返された。コーナーキックの数は17対3だった。

もちろん、ミッドフィルダーだけの責任ではない。直接的にスペインの決勝進出を阻んだのは、2つの守りのミスだった。それ以外にミスはなかったが、命取りとなった。

ブルームフォンテーンでのジェラール・ピケは、素晴らしかった。空中戦でも地上戦でもすべてのボールに競り勝ち、試合の終盤にはベッケンバウアーさながらの攻撃参加。しかし、失点シーンでは前へ出すぎて、クリント・デンプシーにジョジー・アルティドールへのスルーパスを通させてしまった。結果、カバーに入ったホアン・カプデビラがアルティドールにあっさりかわされ、アメリカに先制ゴールが生まれた。

2つ目の失点にも絡んだピケ。ランドン・ドノバンのセンタリングがかかとに当たり、デンプシーへのパスになったのだ。カルレス・プジョルもセルヒオ・ラモスも、ピケをサポートできず。特にラモスは背後からデンプシーが狙っていたのに気づかず、ルーズボールをゴール前で軽率に処理しようとして、足元をすくわれた。

アメリカ戦に限らず、大会を通してスペインの守りのミスはこの2回だけ。それで敗退してしまうのだから、サッカーは不思議だ。

逆にアメリカはどうすればスペインの攻撃を抑えられるか、世界に示した。全員で守りを固めるシーンもあったが、彼らの根気や不屈の精神、そして勇気は称賛に値した。

オグチ・オニェウはあらゆる攻撃を跳ね返して見せたが、それもジェイ・デメリット、ジョナサン・スペクター、カルロス・ボカネグラといった仲間のサポートがあったからだ。全員がゴール前で壁になって、スペインの攻撃を阻んだ。試合の翌朝、手足はあざだらけだったかもしれないが、名誉の負傷だと胸を張れるはずだ。

アメリカ戦で分かったのは、どんなにテクニックがあっても、スペインの体格やフィジカルの弱さは足かせになるということだ。

スペインの無敗記録は35試合でストップ。ブラジルの記録に並んだが、更新は叶わなかった。ちなみにブラジルの無敗を止めたのも、アメリカと同じ北中米カリブ海のメキシコである。
敗戦の影響についてだが、選手たちは当然ガッカリしているが、それほど引きずってはいないようだ。

メディアのほうはどうなのか? 試合直後のウェブサイトの見出しは「記録達成も決勝進出もならず」。翌朝にはそれが「珍しい負け」に変わり、試合の詳細レポートの際には、皮肉を込めて「No, We Can’t」になっていた。

また「エル・ムンド・デポルティーバ」紙は「祭りは終わった」、「マルカ」紙は「アメリカが現実を教えてくれた」との見出しを打った。

大半のメディアが敗戦を冷静に受け止めていたのは、過去15試合に比べて、明らかにスペインの出来が悪かったからだろう。そんななかでも自分たちの戦い方を貫いたが、24日は彼らの日ではなかった。キャプテンのイケル・カシージャスも「10試合中9試合は勝てても、1つくらい負ける。アメリカ戦がそうだった」と認めた。

確かにそれがワールドカップ本番ではなく、コンフェデレーションズカップでよかった。

KS Leng、Goal.com

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