コラム:今のアッズーリは、この50年で最悪のチーム
4-3-3の悲惨なシステムこそ、最大の問題である
2009/06/24 5:33:43
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チーム
25年間ずっとイタリアを観て来た者として、これだけは自信を持って言える。21日の夜、ブラジルに0-3で敗れたアッズーリは、私がこれまで見たなかで最もひどい出来だった。みんなが言う通り「たかが」コンフェデレーションズカップだ。それでも、波乱のグループリーグ敗退は簡単に払拭できるものではない。
今のイタリアはどこから見ても、この50年で最も情けないチームだ。ただ、50年代のチームにはスペルガの悲劇(『グランデ・トリノ』と称されるほどの強豪だったトリノのメンバー18人が命を落とした49年の航空機墜落事故)の影響という隠れ蓑があった。しかし、今のチームは個人としてもチームとしても、攻撃も守備も、テクニックも戦術も、そしてフィジカルも、何もかもが面汚しだ。
エジプトとブラジルに敗れ、早々と姿を消したことは実はそれほど意外ではない。マルチェロ・リッピが23人のメンバーを発表した瞬間から、この展開を覚悟していた人もいた。代表監督に復帰してから9カ月、内容に乏しく退屈なサッカーに終始していたにも拘わらず、リッピ監督は依然として自らが信頼を寄せる2006年のワールドカップ優勝メンバーが、南アフリカでも勝てると信じている。
ブラジルに完敗したあとでさえ、若手への切り替えを求める声を遮った。会見では「プランを変えるつもりはないし、今まで通りやっていく。若手を使えと言うが、具体的に誰をイメージしているんだ? こういう試合でただ若い選手を使えば、それで満足なのか?」と記者たちの問いに怒りをあらわにした。
ハスラー(相手を騙す人)役でおなじみのポール・ニューマンにそっくりと言われるリッピだが、私たちの目は欺けない。ニューマンは61年に『ハスラー』でオスカー候補になったあと、86年の続編『ハスラー2』で見事オスカーを獲得した。しかし、代表監督に戻ったリッピが、今のメンバーで再びワールドカップを掲げられるとは思えない。
ルカ・トーニもジャンルカ・ザンブロッタもリノ・ガットゥーゾも、もう走れない。だいたいトーニは現時点でイタリア人フォワードのなかで上位20人にも入らないし、ほかの2人は控えがせいぜいだ。彼らだけでなく、南アフリカ入りした選手の多くが、合格ラインにはほど遠い。
例えばニコラ・レグロッターリエ、アレッサンドロ・ガンベリーニ、シモーネ・ペペ、アルベルト・ジラルディーノ、そしてアンドレア・ドッセーナ。彼らを選ぶくらいなら、もっとふさわしいメンバーがいるはずだ。また、アメリカ戦、エジプト戦では可能性を感じさせたリカルド・モントリーボでさえ、ブラジル相手には、明らかに役不足だった。
そもそもコンフェデレーションズカップでは、来年のワールドカップに備えて、若手に経験を積ませるべきだった。グループリーグで敗退したリッピ監督は、何を学んだのか? 本人は認めたがらないが、ベテランがもう動けないのには気づいたはずだ。彼以外の人間は2月のブラジルとのフレンドリーマッチで、すでに分かっていたが…。
私たちがまだ分からず、答えを出せずにいるのは、マルコ・モッタやドメニコ・クリシート、ファビアーノ・サンタグローチェ、サルバトーレ・ボチェッティ、ガエタノ・ダゴスティーノ、グラウディオ・マルキジオ、マリオ・バロテッリ、パスカル・フォッジア、ジャン・パブロ・パッツィーニ、セバスティアン・ジョビンコ。こういった若手がフル代表でもやれるのか、ということだ。
答えはいつ分かるのか? 来年のワールドカップ本番まで待って、一度のチャンスをものにしろと言うのか? 実際、今大会で唯一の好材料はジュゼッペ・ロッシの活躍だった。
また、U-21代表からインテルのワンダーボーイ、ダビデ・サントンを抜擢したリッピ監督だが、3試合で1度も起用しなかった。スウェーデンでのU-21欧州選手権に帯同していたら、優勝への原動力になれていたかもしれないサントン。ところが、その代わりにドッセーナがロビーニョをオンサイドにしてしまい、さらにその5秒後には自らオウンゴールする姿を目にすることに。ずいぶん勉強になっただろう。
今のチームには特に攻撃面で創造性が求められている。リッピが選ぶわけはないのでアントニオ・カッサーノの話をしても無駄だが、せめて4-3-3はやめるべきだ。この悲惨なシステムについて物申すメディアがあまりないのは驚きで、私に言わせれば、最大の問題はこのシステムだ。
繰り返し議論されているように、アッズーリにはこのシステムがしっくり来ない。4-3-3の場合、あらゆるエリアでスピードが求められる。激しい上下動が必要な中盤のプレーヤーに必要なのはスタミナで、両サイドバックも90分間サイドを駆け上がらなければいけない。そしてウィンガーにはリオネル・メッシやアンドレス・イニエスタのように、積極的なしかけで相手に脅威を与える選手が欲しい。そして中央にはワールドクラスのセンターフォワード。残念ながら、各ポジションの条件を満たす選手が、イタリアには1人としていない。監督はどういうわけで、イアクィンタ、トーニ、カモラネージの3人でブラジルの守りを崩せると考えたのか? さらに運動量に乏しいピルロとモントリーボが、フェリペ・メロやラミレス、カカーといった働き者とマッチアップできると思った根拠は? リッピほどの戦術家にしては、驚くべき戦術的失敗だった。
イタリアがグループリーグを4-3-1-2で戦っていたら、観ていて楽しくはなかったかもしれないが、ベテラン揃いのこのメンバーでも準決勝には進めたはずだ。元来イタリアの強みはコンパクトなプレーや狡猾でサッカーをよく知っているところにある。4-3-2-1なら、全体がもっとコンパクトになるし、そのほうがベテランには合っていた。
前任者のロベルト・ドナドーニは在任中ずいぶん批判を浴びたが、少なくともユーロ2008でオランダに0-3と完敗したあと、イタリアに4-3-3は無理だとシステムを変えた。4-3-3のまま準々決勝のスペイン戦に臨んでいたら、延長PK戦の末ではなく、90分のうちに0-5敗れていたかもしれない。
もちろんドナドーニとリッピは違うし、ワールドカップ制覇を始め、61歳の名将の実績は否定できない。しかし、ドナドーニには自ら過ちを正すという姿勢があったが、リッピは傲慢なままだ。まさかイタリアはもうダメだと世界を信じさせ、罠にかけるという作戦なのか? ワールドカップに向け、ある強迫観念を構築しようと誰もがイタリアを本命から外すよう仕向けたのか? イタリアは伝統的に期待薄のときほど、力を発揮して来た。82年と2006年のワールドカップしかり、優勝まであと一歩だったユーロ2000しかり。逆に本命視されているときほど、期待外れに終わった。
いくらリッピのあだ名がポール・ニューマンだからと言って、そこまでの作戦を用意したと考えるのは買いかぶりすぎだ。
ワールドカップ連覇に不可欠なのは若返りである。どんなメンバーが選ばれるにしろ、優勝の可能性は低い。今のイタリアは黄金の2014年に向けた過渡期なのは明らかだからだ。それでも、才能溢れる若手を積極的に起用すれば、ベスト4入りくらいはできる。
ただ、ブラジル戦後のリッピ監督のコメントを聞く限り、方針を変えるつもりはないようだ。このままいくと、2010年のイタリアは86年と同じ運命を辿ることになる。エンツォ・ベアルツォットは82年のスペイン大会を制したベテラン主体のメンバーを変えず。グループリーグこそ何とか突破したが、決勝トーナメント1回戦でミシェル・プラティニ擁するフランスに敗れた。
仮に今、フル代表がU-21代表と対戦したら、どちらか勝つのか? その答えにこそ、リッピ監督のやるべきことが示されている。
Carlo Garganese,Goal.com
