コラム:バルセロナの三冠達成に必要なもの

守備の不安を自慢の攻撃力で補えるか?

2009/05/27 15:19:41

Barcelona-Athletic Bilbao, Copa del Rey (MARCA)
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Barcelona-Athletic Bilbao, Copa del Rey (MARCA)

シーズンの大半、その魅力的な攻撃サッカーで相手チームを粉砕し、リーガ・エスパニョーラとコパ・デル・レイを制して、国内二冠を達成したバルセロナ。しかし、チャンピオンズリーグでも頂点に立ち、三冠を成し遂げるには、シーズン屈指のプレーが求められる。

 

バルセロナは今シーズン、ここまでケガ人をほとんど出さずに戦えて来た。選手をつねにフレッシュな状態に保とうとペップ・グアルディオラ監督がローテーション制を多用したこともあり、リオネル・メッシは大きなケガをせずに初めてフルシーズンを乗り切れたし、それはシャビも同様だ。

 

実際、ガブリエル・ミリートの長期離脱に加え、アンドレス・イニエスタが冬に4週間の欠場を強いられたのを除けば、バルセロナのメンバーは軒並み状態もよく、おかげで複数の大会を戦い抜くことができた。

 

ただ、シーズンも終盤になると、厳しい試合が増え、日程も過密になって来るため、そんなバルセロナでさえ苦戦を強いられ、主力メンバーの離脱も始まった。週に2試合というペースに体がついていかなくなったからだ。

 

スタンフォード・ブリッジでのチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグ。ラファエル・マルケスがひざの負傷でシーズン絶望となり、カルレス・プジョルも出場停止だったため、センターバックの一角には本来守備的ミッドフィルダーのヤヤ・トゥレが入った。また、その前の週、サンティアゴ・ベルナベウでのクラシコでひざを傷めたティエリ・アンリも欠場。アンリのポジションである前線の左には、中盤からイニエスタが上がった。しかし、アンリがいれば、もっと楽な試合展開になったはずだと言う声もあった。

 

バルセロナにとって更なる受難は、その週末に行なわれたホームでのビジャレアル戦。勝ってサポーターの前で優勝を決めるチャンスだったが、土壇場で追いつかれ3対3の引き分け。しかもイニエスタまで負傷してしまい、チャンピオンズリーグ決勝への出場も危ぶまれている。

 

マンチェスター・ユナイテッドとの決戦にアンリとイニエスタが運よく間に合ったとしても、バルセロナはほかにもキープレーヤーを複数欠く状態で、ベストにはほど遠い。

 

とくに不安視されているのがディフェンス・ライン。前述のようにマルケスはいないため、センターバックの一角はジェラール・ピケが務めるとして、問題は両サイドバックだ。右のダニエウ・アウベスも左のエリック・アビダルも、出場停止で使えない。

 

もともと安定していたとは言えないアビダルだが、チェルシー戦でもあまりいいところがなく、レッドカードを受けた。その穴を埋める選手として、一時は守備的ミッドフィルダーに入ることが多いセイドゥ・ケイタの起用も検討されていたが、結局シウビーニョに落ち着きそうだ。しかし35歳と若くはないため、ユナイテッドのクリスティアーノ・ロナウドとのマッチアップになった場合、スピード勝負に対応できるかがポイントとなる。

 

加えてアビダルの不在には戦術的な微調整で対処できるとしても、右サイドバックのアウベスの欠場でグアルディオラ監督は試合へのアプローチを根本的に変えざるを得ない。夏に新戦力として加わってから、守備だけでなく攻撃でもチームにとって欠かせない存在だったアウベス。スピードとテクニックを併せ持っているため、右サイドを駆け上がってクロスを上げ、右サイドのメッシとのワンツーを何度も成功させた。また、守りの面でもスピードのおかげで、相手に競り負けることは滅多になかった。

 

アウベスの位置にはディフェンスならどこでもできるプジョルの起用が濃厚。しかし、より得意としているセンターバックではなく、右サイドバックに入るとなると、誰がピケと組んでウェイン・ルーニー、カルロス・テベス、ディミタル・ベルバトフといった強力メンバーを相手にすることになるのか? 準決勝セカンドレグに続き、トゥレか、それとも新たな選手が抜擢されるのか?

 

このようにディフェンス・ラインには不安を抱えるバルセロナだが、自慢の攻撃で守備の問題を帳消しにすることは可能だ。ボール支配率を高めて、どんどん攻撃をしかければ、急造のディフェンス・ラインへの負担は軽減する。その意味でもアンリとイニエスタが本調子で戻って来られるかがカギとなる。

 

ふたりがベストの状態なら、バルセロナの攻撃は完成形となり、相手にとっては手に余る。実際、アンリにとって、最後にピッチに立ったレアル・マドリー戦はバルセロナに来てからのベストゲームで、個人技でレアル・ディフェンスの息の根を止めた。決勝でも同じようなプレーができれば、ユナイテッドのディフェンス・ラインは下がらざるを得ず、自陣から攻撃を組み立てなければならなくなる。もちろんイニエスタがチェルシー戦で見せた決勝ゴールは説明不要。ロンドンを沈黙させ、バルセロナに歓喜をもたらした。

 

バルセロナが手薄な守りを補うには、アタッキング・サードでの分厚い攻めが必要で、それにはアンリとイニエスタが不可欠だ。果たして4シーズンで2度目の栄冠は叶うのか?

 

Cyrus C. Malek, Goal.com

 
 
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