ジダン監督率いるレアル・マドリーは“究極のリアクションサッカー”…戦術眼の高さに注目/コラム

いよいよFIFAクラブワールドカップにレアル・マドリーが登場する。選手としても頂点を極めた実績を持つジダンが指揮官となり、白い巨人はどのようなチームになったのか? 改めて振り返り、欧州王者の登場を待つことにしよう。

欧州王者としていよいよ15日の準決勝から登場するレアル・マドリーの注目は何と言っても選手個々のクオリティの高さにある。6億ユーロ(約738億円)超えの年間予算、潤沢な強化費を投じて世界中からスター選手をかき集めるチームの象徴がクリスティアーノ・ロナウドで、チームが来日した12日には4度目となるバロンドール受賞が発表された。

「BBC」と呼ばれるベンゼマ、ベイル、ロナウドの前線3トップはベイルの負傷離脱で今大会実現することはないが、ピッチに立つ11名の顔ぶれとピッチ上でのパフォーマンスは「世界最高レベル」であることを保証する。チームとしても現在クラブ新記録となる公式戦35戦無敗で「クラブ世界一」に向け不安材料はない。

レアル・マドリーのような圧倒的な個の力を誇るチームにとって常につきまとうのがグループ、チームとしての機能性で、単純にスター選手をスタメンに11名並べたところで勝利やタイトルが約束されないところがサッカーの奥深さだろう。その意味でジネディーヌ・ジダン監督の「個と組織の調和」をはかるマネージメント力には特筆すべきところがある。

昨シーズンの途中でレアル・マドリーのサテライトからトップチームの監督へと昇格した当初は「戦術的な引き出しはあまりない」という低評価も出ていたジダン監督だが、攻守のバランスを整えるためにアンカーにボール奪取力と予測力に優れたカゼミーロを据え、サッカーと結果を安定させることに成功。今季カゼミーロが怪我で離脱した時期には不用意な失点や引き分けが増えたが、そこも守備時にクロース(コバチッチ)、モドリッチのダブルボランチにすることで解決してみせた。年齢的な衰えまでは見えないものの、ロナウドをよりゴール前に専念させるべく守備局面に入った時にはロナウドとベンゼマのポジションを入れ替え、左サイドの守備をベンゼマが担当してロナウドの守備を軽減する戦術も今季はより鮮明になっている。

このようにジダン監督は選手の特徴と組み合わせによってシステムや戦術を柔軟に変えている。

当然ながらそれは対戦相手やスコア、時間帯に応じても変わる。レアル・マドリーの強さの真髄というのはまさにこの柔軟性の高さにある。世界最高レベルの選手たちを抱えながら、個でもチームでも相手を圧倒できるだけの力を持ちながら、選手、ジダン監督からは「自分たちのサッカー」といった常套句は出てこない。内的に個と組織の調和をはかり、外的に戦術的柔軟性を高く保つ究極のリアクションサッカーこそがレアル・マドリーのサッカーと定義できよう。だからこそ、ジダン監督もプレーする選手も対戦相手の特徴やサッカーをよく分析・観察している。日本で2試合を戦うレアル・マドリーのサッカーにおいては是非とも、目に見えるテクニックや強靭かつしなやかなフィジカルのみならず、目の前の相手に「勝つ」ために柔軟かつスピーディーに自らのサッカーを変えていく戦術眼の高さにも注目してもらいたい。

文=小澤一郎(サッカージャーナリスト)

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