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アジア最終予選のUAE戦、タイ戦にに向けた日本代表が発表された。“国力”が反映される舞台で、その衰えを感じさせられた前回のUAE戦。勝利を収めたサウジ戦を経て、日本代表に再浮上する力は残されているのか。サッカーライターの川端暁彦が鋭く迫る。

3月16日の日本代表メンバー発表記者会見で「内容は悪くなかった」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が強調する、2016年9月1日に行われた2018 FIFA ワールドカップ ロシア・アジア最終予選の開幕試合、アラブ首長国連邦(UAE)戦(1-2)から半年余りが経過した。そうやってカレンダーを振り返ってみると、この最終予選がいかに長丁場の戦いなのかを思い知らされる。“瞬間最大風速”を競い合う舞台、短期決戦のW杯と、国としての総合力がじっくり問われる予選は、やはり全く異なる戦いなのだ。

逆に言えば、国としての総合力に秀でてさえいれば、それなりに安心できる戦いである。例えば「アジアカップのベスト4にW杯出場権を与える」となれば、どれほど抜きんでた力のある世代でもドキドキものだが、1年にわたってホーム&アウェイの総当たり戦を行うとなれば、順位はおのずと“国力”を反映したものになる。だからこそ、われわれ日本のサッカーファンは、今回のW杯予選にストレスを感じている。“国力の衰え”を実感させられる舞台になっているからだ。

■1つの結論を導き出したサウジ戦

半年前のUAE戦、ハリルホジッチ監督は“いつものメンバー”に代表初先発の大島僚太を加えるというチョイスだった。そして昨年11月15日、最終予選の折り返しゲームとなるサウジアラビア戦(2-1)で、中盤より前のメンバーを刷新する形に落ち着くこととなる。UAE戦とサウジ戦のどちらが良いゲームだったかを問われれば、ほとんどの人は後者を挙げるだろう。やりたいことをやれた感覚があったのは、間違いなくサウジ戦だった。そのボール支配率がUAE戦で62.8パーセントと非常に高く、サウジ戦で44.7パーセントと非常に低かったのは象徴的だ。ハリルホジッチ監督がやりたいサッカーをやり切るとき、日本のボールは良くも悪くも横方向にとどまらない。選手のセレクションもそちらへ傾いてきた。原口元気が先発に定着した上に久保裕也と大迫勇也が居並び、香川真司と本田圭佑が外れたサウジ戦のラインアップは1つの結論だった。

アウェイのUAE戦も、やりたいのは“ボール支配率の低くなるサッカー”だろうし、その意味でおそらく継続だろう。本田は呼んだが、先発で使うとは言っていないし、今野泰幸というチョイスは意味深だ。常識的に考えれば終盤の守備固めで使う構想だろうが、いきなり大島を使ったように、今野がスターティングメンバーの中にいたとしても別段驚きではない。山口蛍と長谷部誠というコンビに、指揮官があまり満足していない=別の組み合わせを探しているのは、過去の発言を振り返っても明らかだからだ。倉田秋についても、その選出理由は「加速させる力」だった。速く攻めるという狙いに関して、この指揮官の意図は確かに一貫している。髙萩洋次郎も、テクニシャンとしての傾向が強かった昔の髙萩ではない。

後方に関しても基本線は継続だろう。昨年末のFIFAクラブ ワールドカップにおいて傑出した勇戦ぶりを見せた鹿島アントラーズのセンターバックコンビを、どこかで試したいという思いは指揮官にもありそうだが、ここで後ろをいじるのはリスクが大きすぎる。こちらも“継続”と観る。

星勘定で言えば、このUAE戦を制すことができれば、W杯はグッと近づく。とはいえ、次代へのバトンタッチを少しずつ始めている日本の現状“国力”を思えば、引き分けも受け入れるべきだろう。折り返し点を終えて2位とはいえ、中東のアウェイ3試合を残した状況は全く楽観できないが、一度の引き分けで絶望になるような状況でもない。世代の切り替えを図る中で問われる、1年間の“国力勝負”。残す半年間で日本サッカーの底力を見せてもらいたい。

文=川端暁彦

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