コラム:日本は“化学変化”を起こせるか
10月2戦を踏まえた、トーゴ戦での注目点
2009/10/13 15:25:03
日本代表は8日に香港に対し6-0と大勝した後、中1日でスコットランド戦を迎え、2-0と勝利した。対戦相手とスコアを考えれば、順当で、悪くない結果である。ただし、評価するには難しい試合でもあった。
香港戦は現状で招集可能なベストメンバーで臨み、大量6ゴール。FW岡崎慎司は自身初のハットトリックを達成し、改めてエース候補としての力を示した。ほかにも、課題として挙げられていた、クロスへと複数の選手が飛び込んでいくシーンが何度か見られるなど、90分を通してチームとしてゴールへの強い積極性が感じられたのは収穫だった。
しかし同時に、個人能力が低く、チーム戦術も未熟な相手に、それ以上にあった決定機を生かせなかったのは課題。大勝の中では目立たないが、相手のレベルが上がれば、少ないチャンスでいかに決め切れるかが勝負の分かれ目となるだけに、この点は見逃せない。岡田武史監督も、ゴールよりチャンスを決め切れなかった方が印象に残っていると振り返るほどだった。
一方で、スコットランド戦では、これまで出番の限られていた選手や今回新たに招集された選手の多くがピッチに立ち、終盤の2得点で勝利も手にした。こう語ると、収穫が多かったようにも見える。ただし、事前に報道があったように、スコットランドはメンバーの半数が来日直前に入れ替わるなど、日本と同じく多くの主力は不在だった。すでにワールドカップ予選でも敗退しており、モチベーションがどれほどだったかは想像するにたやすい。
言い換えれば、両者とも拙いゲーム運びの中、最後に疲れの出たチームが2点を失った、2軍同士の試合。欧州の代表チームとはいえ、お世辞にもレベルが高いとは言えなかった。
それでも、ようやくA代表のピッチに立った岩政大樹と、阿部勇樹が組むセンターバックを中心とした守備は評価できる。高さのある相手をわずかシュート1本に抑え、GK川島永嗣も唯一あった危機を好セーブで救い、完封した。
攻めても、ボール回しこそ遠藤保仁、長谷部誠の不在を感じさせたものの、岡田ジャパンでは初出場となった石川直宏が好アピール。2列目からの飛び出しに加え、得意のスピードを生かしたドリブル突破を再三仕掛けていた。オランダ遠征では良いところのなかったMF本田圭佑も、その存在感を高めた。前述の欧州遠征では2試合でシュートゼロに終わったが、今回はチーム最多タイの4本を放ち、ロスタイムには自身代表2点目となる追加点を挙げた。
そして、注目のFW森本貴幸。先発から外れて途中出場となったものの、前線で鋭い動きを披露した。岡田監督も「最後の本田のゴールも、彼がターンシュートしなかったら決まらなかったと思う。ああいう感覚はやはり非凡なものがある。また、ゴール前に向かっていく迫力は、我々の期待以上のものだった」と語った通り、ゴール嗅覚と瞬間的なスピードを感じさせるプレーは、今後に期待感を膨らませるものだった。
そこで、気になるのは10月シリーズ第3戦のトーゴ戦での戦い方だ。
残念ながら、トーゴは10日にカメルーンに敗れたことでワールドカップ予選での敗退が決まり、主力不在での来日となった。もちろん、高いモチベーションなども期待できない。とはいえ、岡田監督がこの2戦を踏まえ、どんなメンバーを送り出すかなど、注目すべき点はある。
できることなら、香港戦に出た主力組に、スコットランド戦に出た“サブ組”で目立った選手を混ぜたメンバーで、トーゴ戦に臨んでほしいものだ。
これまで絶対的な立場にあった中村俊輔も、香港戦での貢献度は低かったと言わざるを得ない。2試合に出場した大久保嘉人、松井大輔ら常連組も、さしたるパフォーマンスを見せることはできなかった。
見てみたいのは、森本と岡崎の相性はどうか、遠藤&長谷部のボランチに石川、本田らが絡んだ場合のバランスはどうなのか、という新たな組み合わせだ。主力とサブがはっきりと分かれるのではなく、融合した場合にどんな“化学反応”が起きるのか。それこそが本当の意味でのテストであり、そこで生じるヒエラルキーの変化こそが、チームのレベルアップにつながるはず。果たして岡田監督はどんな手腕を見せるのか。
文/栗原正夫
