コラム:4ゴールの逆転劇も手放しでは喜べない

ゴールラッシュは収穫も、それ以上に課題が浮き彫りに…

2009/09/11 23:57:26

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チーム

後半の4ゴールでガーナに逆転。事実として、アフリカの新興国に勝利したことは大きい。

失点場面はさておき、日本の得点シーンはいずれもスピード感にあふれ、これまであまり見られなかった形と言えた。オランダに歯が立たず、ガーナにリードを許した中、失うものなくぶつかったゆえの結果とはいえ、ゴールを、それも4つも挙げたのだから称賛されるべきかもしれない。

53分の1点目は、右サイドからのボールにペナルティーエリア内で前田遼一がつぶれ、走り込んだ中村憲剛が左足で決めたもの。78分には長友佑都の粘り強いプレーから玉田圭司が思い切り良く左足を振り切ると、その1分後には稲本潤一のアーリークロスに岡崎慎司がバックヘッドで合わせて3-3。とどめは左サイドをドリブル突破した長友の丁寧なラストパスを稲本が「落ち着いてゴールに流し込むだけだった」(稲本)。

いずれもこれまでの岡田ジャパンにはなかった形、選手が絡んでのゴール。ともに久しぶりの出場となった前田と稲本は、起用に応え、一定の成果を出したと言えるだろう。

岡崎との2トップで先発した前田に対し、岡田監督は「非常に満足している」と高評価を下せば、1ゴール1アシストの稲本についても「オープンな展開になれば、彼の良さであるダイナミックな動きが生きてくる。今後、遠藤や長谷部のポジションを脅かす可能性は十分に持っている」と称賛の言葉を惜しまなかった。

前田は12分にあった決定機こそ逃したものの、ガーナの激しい当たりにも屈することなく、前線で基点になるべくハードワークを無難にこなした。稲本も63分に途中出場してから、幅広い展開力と機を見た攻め上がりで、日本の攻撃に厚みを加えた。

もちろん、オランダ戦で何もできなかった鬱憤(うっぷん)を晴らすべく躍動した、途中出場した玉田、ガーナに先制のPKをプレゼントしてしまった長友の思い切りの良さも光った。

しかし客観的に見れば、この勝利を喜んでばかりもいられない。終盤は足の止まったガーナに、怒涛(どとう)の攻撃を仕掛け逆転こそしたものの、まだ相手が元気だった前半は決して組織的とは言えない、身体能力のみに頼ったディフェンスを前にゴールを奪えなかった。ガーナの緩慢な守備を突き、何度か岡崎や右サイドバックの駒野友一が効果的な仕掛けを見せたが、結局は決定力不足を露呈しただけ。「前半、五分五分の戦いをしているときに点を取りたかった」(岡田監督)というのが本音だろう。

31分のPKを除けば、後半の2失点にも問題はある。「後半は相手(の運動量)が落ちたとはいえ、4点取ったことは大きい。でも、それ以上に3点取られたことは問題。PK以外の2点は個人技というか、やられてはいけない形でやられたので、ああいうのは修正しなければ…」(長谷部)。

強じんな肉体を誇るガーナが相手とはいえ、イージーな1本の縦パスでいとも簡単にゴールを割られた事実は深刻だ。47分の2点目はその典型。ガーナのGKが大きく蹴ったボールにFWギャンが走り込むと、中澤佑二が1対1の競り合いにあっさりと敗れ、ゴールを許してしまった。経験の浅いDFなら驚きはないが、『アジアでは鉄壁』の中澤も、世界相手では通用しないことを痛感させられた場面だった。

ガーナはこの3日前に、ホームでアフリカ最終予選のスーダン戦(2-0とガーナの勝利)を終えて、W杯出場を決めていた。中2日の過密日程に加え、長距離移動もあった。疲労はもちろん、モチベーションの低下があったことは間違いなく、終盤はそれが顕著に表れていたことも無視できない。

前田と稲本がまずまずのプレーを見せたのは収穫ではある。だが、中澤、田中マルクス闘莉王に続く岩政大樹もいた第3のセンターバックのテストはまたも見送られた。オランダでブレイク中の本田圭佑にも満足な出場時間は与えられなかった。追い詰められたガーナ戦の終盤にわずかな可能性は見せたが、それ以上に2試合で6失点という数字が目立った。オランダ遠征で得た成果といえば、依然として横たわる世界と日本との差を確認できたこと。それでも、「今までのやり方を貫く」と宣言している指揮官は、あまりにも楽観的過ぎないだろうか。

文/栗原正夫

 
 
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