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不可能に思えたミッションを達成したバルサ。その中心には、ネイマールの姿があった。

「1%でも可能性が残されているなら、残り99%を自分たちの信念で埋めて立ち向かってみせるよ」

ネイマールは達成不可能と考えられた運命の一戦を前に、自身のインスタグラムにそう決意の言葉を残した。ポジティブシンキングの意識付けを自分に行っているようなものだった。少なくとも試合前は誰もがそう思ったものだ。今週の初めには「ネイマールがパリ・サンジェルマン戦で2ゴールを決めるとチームメートと約束した」という報道があった。だが、本気でその約束が果たされると考えた者は少なかったはずだ。

しかし、決意の言葉が単なる気休めでなかったことを、彼は証明してみせた。“ミッション・インポッシブル”に思えた約束を、やってのけたのだ。

Neymar Barcelona PSG UEFA Champions League 08032016

■ネイマールが示した未来を変えるためのスキル

こういった類の試合に、分析やスタッツは無意味である。試合を見直して「なぜこんなことが起こったのか」などと探るべきではない。

もし見直したいというなら、88分からで十分だ。

2017年3月8日、舞台はバルセロナ、カンプ・ノウ。残り時間は2分とアディショナルタイムのみ。ベスト8行きの切符をつかむために必要なゴールは3つ。バルサをこよなく愛するファンでさえ、奇跡が起きると信じることは難しい時間帯であった。

だが、少なくともネイマールは信じていた。自分たちが何かを起こせる、ということを。

天命を待っていたわけではない。幸運を祈っていたわけでもない。彼が信じたのは自分自身と、バルセロナというチームだった。

ゴール左隅に決まるFKは、彼がいつも練習で決めているものだ。当たり前に、何の造作もなく、まるで呼吸するかのように。後がない状況で求められたのは偶然ではない。普段通りの……、未来を変えることのできるスキルを持った男の、いつもと変わらないプレーだった。

そして彼は、未来を変えてみせた。

数分後にはより重要な場面が訪れた。スアレスがマルキーニョスのコンタクトにより倒され、PKを得たのだ。この場面でも、キッカーはネイマールだった。リオネル・メッシでも、ルイス・スアレスでもなく、ボールをセットしたのは若きブラジル代表のクラッキだった。これまでに何度か、彼はPKを失敗してきた。だが、時計の針が90分を越えた頃、ボールはゴールネットへ吸い込まれていった。

Neymar Barcelona PSG UEFA Champions League 08032016 Neymar Barcelona PSG UEFA Champions League 08032016

■忘れるべきではない献身性

フィナーレはセルジ・ロベルトに譲ったが、試合を通して最も輝きを放ったのはネイマールだった。メッシが決めた3点目のPKを誘発したのも、カンプ・ノウが歓喜に湧く瞬間を演出したのも、ネイマールだった。

今シーズン、ネイマールは順風満帆な日々を過ごしてきたわけではなかった。3カ月以上、リーグ戦でゴールから見放される悪夢のような時期もあった。何度も評論家たちから疑問の眼差しを向けられてきたし、実際にボールを奪われることも多かった。

だが、この試合でネイマールの評価は覆ったはずだ。たった1試合の出来で手のひらを返すべきではないが、それほどまでに人々はネイマールに酔心させられた。一切、悪癖を出すことなく、誰よりも仲間のために、チームのために、そして勝利のために走り続けた。

今シーズン、CLで記録したアシストは「8」となり、2003-04シーズン以降のチャンピオンズリーグで最多となった。メッシやスアレスが強烈な個性を発揮してチームを救うことの多いバルセロナだが、この試合でチームを救ったのが他の誰でもないネイマールだったということは、忘れるべきではない。

ネイマールだったからこそ、歴史に名を刻む“カムバック”を果たすことができたのだ。

文=ピーター・ストーントン/Peter Staunton

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