コラム:マテラッツィとカッサーノの教訓
バロテッリに示された2つのお手本
2009/10/27 14:58:31
Mario Balotelli - Chievo-Inter - Serie A (Grazia Neri)
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過激なラフプレーや口汚い挑発など、彼にダーティーなイメージを抱いている人は少なくないだろう。かつて、相手選手に暴力行為を働いた過去まであることを考えれば、そんなレッテルを貼られても仕方がない。少なくとも、近年の彼に「激しさ」と「乱暴」の混同は見られない。しかし悲しいかな、一度人間の脳に焼きつかれたイメージは、そう簡単には消えないものだ。
マテラッツィのイメージ悪化に拍車をかけたのが、あのドイツ・ワールドカップ(W杯)決勝、かの有名な「ジダンの頭突き事件」だ。引退を控えた英雄を挑発したマテラッツィは、イタリア以外の多くの国で批判された。「挑発に乗ったジダンが悪い」との声も多かったが、いずれにしてもマテラッツィは2試合の出場停止処分を下されている。
こうしたレッテルは、一度貼られると長くつきまとうものだ。その結果として、厳しい判定を下されることだってある。マテラッツィにとっては、ドイツW杯オーストラリア戦の一発退場や、短時間で2枚の警告を受けた06-07シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)・リヴァプール戦などがそれに当たるだろう。
客観性を求められるのが審判とはいえ、彼らも人間だ。植えつけられた偏見を完璧に消し去るのは、容易なことではない。特に、イタリアは「ずる賢い」選手が多いと見なされている。そのうえ、さらにダーティーなイメージがついていれば…。誇り高きマテラッツィは、自身の過去をすべて受け入れているだろう。だが同時に、「レッテルがないに越したことはない」。そうも思っているはずだ。
そして今、再び一人のインテル選手にレッテルが貼られつつある。CLルビン・カザン戦で軽率なプレーから退場となった、FWマリオ・バロテッリだ。
退場宣告を受け、肩を落とす“スーパーマリオ”の横を、サミュエル・エトーは冷ややかな顔で通り過ぎた。彼は試合中、バロテッリを繰り返したしなめていたという。ハーフタイムにも、チームメートたちが彼に警告を受けないように注意していたそうだ。だからこそ、チームを苦境に陥れたバロテッリに、仲間たちは怒った。逃れようのない非があることは明らかだ。
バロテッリが軽率な振る舞いを見せるのは、今に始まったことではない。19歳という若さや、その激しい気性(それがインテルらしくてインテリスタ好みではあるが)を差し引いても、そろそろ改善すべき時だ。国内でのイメージに関しては、もはや時すでに遅しという感もある。人種差別に関する受け入れ難い野次は別にして、不遜な態度を見せてきたバロテッリは、どのスタジアムへ行ってもブーイングを浴びている。このままでは、待っているのはマテラッツィと同じ道だ。
だが、今のイタリアには、レッテルをはがしつつある数少ない模範例が存在する。サンプドリアFWアントニオ・カッサーノのことだ。その愚行から、「カッサーノのような振る舞い」を揶揄する“カッサナータ”という造語まで生まれた彼だが、国内外での失敗を経て、ジェノヴァの地で生まれ変わった。今や多くの国民がイタリア代表入りを望むようになったカッサーノは、バロテッリが進むべき方向性を示しているのかもしれない。
豊かな才能を持つバロテッリが、今後も一線で活躍し続けるのは間違いないだろう。だが、だからこそ、大事な場面で余計なレッテルに影響されてほしくない。いつか微妙な判定でピッチを去る場面など、ファンは見たくないはずだ。マテラッツィとカッサーノ。この2つのお手本をどう生かすかは、バロテッリ本人にかかっている。
文/中村大晃
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