移籍コラム:WAGSは批判すべき?
ポウルセン夫人に対する非難は正しいのか?
2009/07/03 0:01:39
サッカー選手の妻や恋人、いわゆる「WAGS(Wives and Girlfriends)」の存在が脚光を浴びた際、サンダーランドの監督だったロイ・キーンは、パートナーの「言いなり」になる選手たちを「軟弱者」と批判した。軟弱かどうかは別にして、イングランド代表MFデイビッド・ベッカム夫妻を筆頭に、確かにパートナーの存在が選手本人のキャリアに影響を及ぼす例は少なくない。だが一方で、所帯を持つ選手たちが家族のことを考えるのは、ひとりの人間として当然のこととも言えるだろう。
イタリアでの報道によると、ユヴェントスMFクリスティアン・ポウルセンが、夫人の反対でフェルネルバフチェへの移籍を拒否したという。トルコへ行けば年俸400万ユーロだったというから、金銭面が理由ではないことは明らかだ。ポウルセン本人も「自分がプレーする場所で家族が居心地よくいられることは大事」と話している。
外国で暮らすのは決して容易なことではない。サッカー選手の妻ならその覚悟が必要と言うのは簡単だが、世界中どこへでも適応しろというのはやや酷だろう。また、2人の子供がいることも大きい。夫人の“移籍拒否”を一概に批判することはできないはずだ。
ただ厄介なのは、イタリア代表MFガエターノ・ダゴスティーノの獲得を巡り、ユヴェントスがウディネーゼとの交渉に苦労していることだ。代替選手の選定は難航しているようだが、一部メディアは、ポウルセンの移籍金をダゴスティーノ獲得資金の調達に充てる予定だったと伝えた。これを受け、ポウルセン夫人を非難するユーヴェファンが出てきている。
もちろんポウルセンが売却対象となったのは、彼が満足のいく結果を残せなかったからであり、残留させるべきとは言えない。だが、「家族の意見を大事にしたい」という気持ちそのものには、一定の理解を示す必要があるはずだ。天文学的な数字が飛び交う移籍マーケットだが、あくまでも主役は人間なのだから。
そもそも、ユーヴェがダゴスティーノを獲得したら、ファンはポウルセン夫人の話など一瞬で忘れるだろう。ユーヴェが司令塔を欲しがっているのも、新システムにおいてポウルセンの居場所がないことも事実。果たして、ユーヴェはどう折り合いをつけるのだろうか。
文/中村大晃
