移籍コラム:バレンシアの危うい駆け引き

ビジャ移籍騒動の行方は…

David Villa, Valencia-Getafe (MARCA)

カカーとクリスティアーノ・ロナウドがレアル・マドリーに移籍したのは意外だった。少なくとも、バレンシアFWダビド・ビジャがチームを離れる可能性よりは低かったはずだ。しかし、実際に移籍市場が開いてみると、後者の方が遥かに複雑なものとなっている。

バレンシアは深刻な財政難に苦しんでいるところで、それはクラブだけでなく、街全体の問題だそうだ。よって、ビジャの他にもMFダビド・シルバらの放出が確実と言われていた。が、バレンシアは両選手を残す方針を固めたという。

これは本当なのだろうか…、いやおそらく違うはずだ。シーズン中から主力放出は避けられないと公言してきたバレンシア首脳陣が、交渉を進める中で考えを変えたと想像するのは不自然である。そもそも、財政難解消の目途が立ったという話が聞こえてこない。では、バレンシアの狙いは何なのか。移籍金の引き上げを狙っているとみるのが自然だ。

ビジャ本人はレアル・マドリーへの移籍を希望しているようだが、バレンシアはまだレアル・マドリーと合意するわけにはいかない。クラブ内で最も価値の高いビジャを、できるだけ高値で手放したいからである。

レアル・マドリーは、移籍金4200万ユーロでビジャを獲得することが決まりかけていた。しかしバレンシアは、カカーに6800万ユーロ、C・ロナウドに9600万ユーロを投じているレアル・マドリーから、より高い額を引き出せると考えたのか、いったん交渉をストップさせた。バルセロナなどもビジャに関心が示していることを利用し、“競り”を誘発したのではないだろうか。

ただ、24日になって状況が一変。この“誘い”に乗ってくるだろうと踏んでいたレアル・マドリーが、リヨンFWカリム・ベンゼマにターゲットを変更したと報じられた。

レアル・マドリーのホルヘ・バルダーノGM(ゼネラル・マネージャー)が、ベンゼマ獲得の意思を公に語っていることを考えると、移籍金をつり上げるバレンシアに対する警告と捉えられないこともない。ただ、レアル・マドリーが他の選択肢を持っていることをバレンシアは再認識させられているだろう。レアル・マドリーは、「カカーやC・ロナウド獲得のように、ビジャにいくらでも費やすわけではない」というメッセージを送ったのだ。

レアル・マドリーが獲得する選手を市場から選ぶ立場であるのに対し、バレンシアは限られた大物を市場に出すことしかできない。力関係はハッキリしている。過ぎた値をつけることでビジャを獲得するクラブがいなくなれば、バレンシアに残された道は…。クラブ存続のためにも、妥協点を見つけなければいけないことは明白ではないだろうか。

文/伊藤敬佑

 
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