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明治安田生命J1リーグ第3節を終えて勝ち点1。リーグ戦初白星が欲しいセレッソ大阪は第4節で、かつて尹晶煥監督が指揮したサガン鳥栖と対戦する。開始早々、DF山下達也の負傷という緊急事態に陥るが、ここからC大阪が底力を見せる。ユン監督が重視する結束力や団結力。それを体現すべく攻守にわたり献身的な活躍を見せたのがMF山村和也だった。

2月25日の2017明治安田生命J1リーグ開幕・ジュビロ磐田戦のスコアレスドロー以降、ここまでリーグ戦3試合で勝利がなかったセレッソ大阪。しかし、3月15日に行われたJリーグYBCルヴァンカップの初戦、横浜F・マリノス戦をMF木本恭生とFWリカルド・サントスの2ゴールで勝ち切ったことで、チーム全体が前向きなムードに包まれた。このいい流れを18日のJ1第4節・サガン鳥栖戦にどうつなげるか。それが尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督にとっての大きなテーマだった。

指揮官が古巣相手に送り出したスタメンは11日に行われた前節・北海道コンサドーレ札幌戦と全く同じ。攻撃陣は最前線に杉本健勇、やや下がり目に山村和也、右サイドに清武弘嗣、左サイドに柿谷曜一朗という前回トライした布陣だった。彼らを後押しするように、木本、リカルド・サントスといったルヴァンカップでいい働きを見せた面々もベンチ入り。これまで以上に厚みのある攻めが期待された。

ところがC大阪は開始早々、予期せぬアクシデントに見舞われる。DFマテイ・ヨニッチとともに最終ラインを統率しているDF山下達也が6分に負傷。指揮官はいち早く木本を送り出した。もともとボランチが本職の彼と、ヨニッチのセンターバックコンビは今季初。多少の不安もあったが、彼らは体を張ったアグレッシブな守備で豊田陽平とビクトル・イバルボの長身FWを封じる。今季のC大阪は何と言っても堅守が最大の武器。山下が外れた状態でも強固な守備を維持できたのは大きな収穫と言える。

その反面、攻めの方は本来のC大阪らしい躍動感がなかなか出せない。前半のチャンスらしいチャンスはDF丸橋祐介の左クロスを山村がファーサイドで合わせた34分の得点機くらい。ボール支配時間は増え、柿谷と清武が絡む回数も多くなってきたが、鳥栖のブロックを崩すには至らない。ただ、かつて指揮した相手の出方をユン監督も熟知していただけに、前半の0-0というのは織り込み済みだったに違いない。

後半に入ると、彼らはギアを上げる。清武が開始早々の2分にゴール前に飛び込んでヘッドを放ち、杉本と柿谷が近い距離感でプレーして好連係を披露し始めるなど、明らかにリズムがよくなってきた。そして迎えた70分、左CKのチャンス。ソウザの蹴ったボールがDFに当たって右サイドでフリーになっていた清武へ。背番号46は自ら打とうと見せかけてファーサイドのギリギリのところにクロスを上げた。これを木本が頭で折り返し、中央で飛び込んだのが山村。ユン監督から攻撃要員として起用されている万能選手が待望の今季初ゴールをゲットし、C大阪が1点をリードした。

ここで追加点を取りに行くか、守りに入るのかは、指揮官によって判断が分かれるところ。過去のC大阪の指揮官であれば前者を選択していたはずだが、ユン監督は手堅く勝ち点3を取りに行く戦い方を迷わず選ぶ。先制後の77分にDF松田陸とDF田中裕介をまずスイッチし、このタイミングで山村を下げて「3-4-2-1」の布陣にシフトしたのが、指揮官からのダイレクトなメッセージだった。さらに残り5分のところでは清武とMF秋山大地を交代。「5-3-2」の超守備的な形にして、虎の子の1点を死守しようとしたのだ。

そういう采配を振るったのも、鳥栖が豊田めがけてロングボールを蹴り込んでくることが分かっていたから。案の定、前に人数を掛けてパワープレーに打って出た。最後の最後、DFキム・ミンヒョクに決定的なシュートを打たれる絶対的ピンチもあったが、この日の勝利の女神はC大阪に味方した。ギリギリの死闘の末、彼らは待望の今季J1初勝利を手中にし、勝ち点を5に伸ばした。

この日最も貢献度が高かったのは、決勝点を挙げた山村だろう。前半は前からの献身的なプレッシングを見せ、攻守両面で貢献。後半にゴールを奪った後は最終ラインに入って相手のハイボールをはね返し続けた。「山村はマルチプレーヤー」とユン監督は高評価しているが、その能力を遺憾なく発揮。喉から手が出るほど欲しかった勝ち点3獲得の原動力となった。

得点場面で冷静な判断から絶妙のクロスを入れた清武も高度なテクニックと戦術眼を披露したし、木本も急きょピッチに立ちながら打点の高いヘッドでアシストを決めた。チーム全体が一丸となっているからこそ、こういう意思統一された、力のこもったプレーが出るのだ。指揮官は結束力や団結力を何よりも重視しているが、今季のC大阪からはいいハーモニーが色濃く感じられる。それを今後も維持したい。

1点を取って守り切るのも立派な勝ちパターンだが、流れの中からの得点が取れていないのは課題と言える。今季の彼らはJ1で3点(ヨニッチが2点、山村が1点)、ルヴァンカップで2点(木本とリカルドが各1点)を奪っているが、その全てがリスタート絡み。清武、柿谷、杉本という日本屈指のタレントを擁しながら、彼らにゴールが生まれないのは先々を考えると厳しい。

この後、インターナショナルブレイクに入るため、清武と山口蛍は日本代表として2018 FIFAワールドカップ ロシアのアジア最終予選、アラブ首長国連邦(UAE)代表&タイ代表の2連戦に参戦するが、それ以外のメンバーは連係面をすり合わせる時間的余裕を得られる。特に、鳥栖戦でもいい距離感を保ちながら何度かチャンスを作っていた柿谷と杉本には、2人で相手を崩してゴールまで持っていくディテールを追求してほしい。彼らに得点が生まれなければ、C大阪の躍進はない。それは紛れもない事実だ。

文=元川悦子

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