ガイジン’s アイ:「あと一歩」を脱したい清水、決戦へ

3日に鹿島とのナビスコカップ決勝

Jリーグの創設以来、2つの国内カップ戦で特に強さを見せてきた2つのチームがある。ナビスコカップと天皇杯を合わせて、清水エスパルスは9度の決勝に進出。今週末の試合を加えればちょうど10度となる。その静岡のチームを唯一上回っているのが茨城の鹿島アントラーズだ。土曜日のナビスコカップ清水戦は、鹿島にとって国立競技場での14度目のカップ戦決勝となる。

決勝進出の回数では国内トップの2チームだが、ひとつの決定的なデータが両チームを隔てている。鹿島は13回の決勝戦で8回の優勝。対照的に、清水は過去9回の東京訪問のうち7回は手ぶらで帰宅しなければならなかった。

私が完全に清水ファンに染まったのは2004年4月、リーグ戦で4-3の劇的勝利を収めた試合の後だった。観戦2試合目は豪雨の中でホームでの陰鬱な敗戦だったが、そんなことももう問題にならないほどだった。その年は、地元のレジェンドである長谷川健太が監督として指揮を執り始めたシーズンでもあった。清水OBの彼はチョ・ジェジン、伊東輝悦、青山直晃、市川大祐、岡崎慎司といったファンの人気の高い選手たちを中心にチーム作りを進めていった。ダイナミックな攻撃的サッカーが展開される日本平には観客も大勢集まり、90年代後半の栄光への回帰はもうすぐそこに迫っているかに見えた。

だが、長谷川健太がチームを率いた6年間の中でよく目にしたのは、丁寧に構築されたチームがシーズンの半分を王者のように戦い、その後の最も重要な時期に息を切らして失速していく姿だった。カップ戦もその例外ではない。2004年から10年にかけて、清水は準決勝で3回、決勝で3回の敗戦を喫した。08年のナビスコカップ決勝はこの時代を象徴するものだ。J1での経験が比較的浅い大分トリニータが初の決勝進出を果たしたが、下馬評では清水に対して不利が予想されていた。だが実際には清水は消極的な戦いを見せ、どう見ても格上のチームだとは思えなかった。結局、翌年にはJ2に降格することになる大分に0-2の敗戦という結果に終わった。

地元人気の高い長谷川監督には一般的なケースより長い時間が与えられたが、結局は我慢の緒が擦り切れてしまう。チームが2010年の優勝争いから力なく脱落すると、彼は辞意を表明。イラン代表監督のアフシン・ゴトビを新監督に迎えて新たな改革がスタートした。団結力が強く、明確な序列の出来上がっていたチームは、一旦解体させられた。地元重視の内向きなイデオロギーはたちまち消し去られ、国際経験豊富なゴトビのグローバルな視点が導入された。

「あと一歩」の文化は根っこの部分から取り払う必要があった。選手の放出によってクラブはいくらかの戦力を失ったとしても、それは新たな仕事を開始するために何らかの形で古いものを拭い去る動きでもあった。林彰洋、イ・キジェ、カルフィン・ヨン・ア・ピン、村松大輔、河合陽介らを加えた賢明な補強で新たなチームの核が形作られ、大前元紀のように以前は主力でなかった選手たちもレギュラーの座を獲得した。前政権のその他のメンバーたちは、ポジションの確保に苦戦した末、残念な思いを胸にレンタルへと出されていった。

決して痛みを伴わない過程ではなかった。長年のお気に入りだった選手たちを奪われ、険悪な雰囲気になった観客席を目にすることもあった。新生チームがまとまるには時間が必要で、必ずしも順調に前進できる時ばかりではなかった。だが、2012年が佳境を迎えようとする今、チーム全体の必死の頑張りが初めて目に見える形での結果を生もうとしている。

だからこそ、土曜日の試合には特別な意味がある。あと一歩届かなかった10年間を経て、アフシンの率いる若者たちが、近年のような「惜しい」チームではないことを証明する時がやってきた。決勝への道のりの中でも、チームは質の高い戦いを見せてきた。準々決勝の第2戦では、87分の時点で合計スコア2-4のリードを許し、普通であればゲームオーバーを覚悟するところだった。諦めを知らない選手たちは88分と93分にゴールを奪い、アウェーゴールでまさかの勝ち抜きを果たした。準決勝もまた別の形での追い上げを見せた。FC東京の馬鹿馬鹿しいダイブでPKを取られ、第1戦を1-2で落としたが、第2戦では3-0の快勝でひっくり返した。不当な形でのビハインドは若い選手たちの気持ちを沈ませかねないものだったが、逆に彼らにリベンジ精神を引き起こした。

10年ぶりのタイトルが静岡市にもたらされればもちろん素晴らしいことだが、単なるトロフィー獲得以上のものになるだろう。くすぶっている疑問も、過去への後ろ向きな視点も解消される。勝利が作り出す勢いに乗って、この新しいチームはさらに大きな成功へと進んでいくことができるかもしれない。

リーグカップの大会としての価値には疑問が呈されることもあるが、清水はここまでの大会を最大限に活用してきた。瀬沼優司、白崎凌兵、犬飼智也、石毛秀樹といった若い選手たちはここで貴重な試合経験を積んできたし、プロデビューを飾った者もいる。彼らにとってはその後のリーグ戦で役割を果たすための準備にも繋がる。決勝のスターティングイレブンがどうなろうとも、ここまで来たのは真の意味でチーム全体の力によるものであり、決勝の舞台は戦ってきた全ての選手たちのものだ。勝利は新たな時代の到来を告げることになり、ゴトビのチームは勝者としてエスパルスの歴史の中で堂々たる位置を占めることになるだろう。


文/バリー・ヴァルダー
長年清水に在住し、「エスパルスUK Ultras」ブログライターを務める
ツイッターアカウントは @spulseukultras