【J1シーズン総括コラム】“伏兵”の飛躍が目立ったJ1…勢力図が大きく変貌した理由は?

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川崎フロンターレの初優勝、セレッソ大阪やジュビロ磐田の躍進…J1勢力図が大きく変貌した理由とは?今シーズンのJ1を総括する。

今季の明治安田生命J1リーグは、最終節に劇的なフィナーレが待ち受けていた。勝ち点2差で鹿島アントラーズを追う川崎フロンターレが5-0と大宮アルディージャを一蹴。ジュビロ磐田とスコアレスドローに終わった鹿島に勝ち点で並び、得失点差で上回り、悲願の初タイトルを獲得した。

■涙にくれた負の歴史を振り払った川崎F

今季の川崎Fは5年に渡って指揮を執った風間八宏監督が退任し、鬼木達新監督のもとで新たな船出を切った。独特の攻撃哲学を備えた前監督から、監督経験のない新指揮官への変更に加え、大エース大久保嘉人がFC東京に移籍するなど、戦力面での不安も否めなかった。またAFCチャンピオンズリーグ(ACL)参戦によるハードスケジュールも新たなチームを作り上げるうえで障壁となると予想された。

実際にシーズン当初は不安定な戦いが続き、勝ち点を思う通りに積み重ねられない状況に陥った。セレッソ大阪に完敗を喫した第9節終了時点では9位と、苦しい序盤戦を過ごしていた。

ところが阿部浩之ら新戦力が徐々にフィットしてくると、ジュビロ磐田、鹿島、浦和レッズといった難敵を次々に撃破。二度の3連勝を達成するなど勢いに乗り、第18節終了時点で3位と優勝争いに名乗りを上げた。

風間監督の下で築かれた攻撃スタイルに、鬼木監督が求めるハードワークが融合し、攻撃的でありながらも安定感を備えたチームに進化を遂げていく。そして第20節のFC東京戦から最終節の大宮戦まで15戦無敗で快走し、一気に頂点まで上り詰めた。

エースの小林悠がついに覚醒し、車屋紳太郎、谷口彰悟ら中堅が成長を遂げ、大黒柱の中村憲剛も変わらぬ存在感を示した。元日の天皇杯に始まり、JリーグYBCルヴァンカップ、ACLと大事なところで勝ち切れなかった川崎Fだが、涙にくれた負の歴史を振り払い、悲願の初タイトルを獲得した。

■“伏兵”の躍進、“優勝候補”の陥落

一方、最終節で優勝を逃した鹿島にとっては痛恨のシーズンとなった。大型補強を敢行し、連覇を目指したが、開幕から調子が上がらず、5月31日に石井正忠監督を解任。大岩剛新監督のもとで再起を図ったチームは、第14節から9戦負けなしと息を吹き返し、最後まで優勝争いを牽引した。

しかし、勝てば優勝が決まった第33節の柏レイソル戦で引き分けると、最終節でも磐田に勝ち切れず。リーグ屈指の堅守を誇りながらも、シーズン終盤は得点力不足を露呈。結果的に得失点差で優勝を逃す結末となった。

3位のC大阪の躍進も光った。尹晶煥新監督の下で、ハードワークを手に入れたチームは開幕から“負けないサッカー”を実現。夏場にやや失速したものの、ルヴァンカップ優勝で再び勢いづくと、杉本健勇の覚醒もあり、昇格1年目にして、見事にACL出場圏内となる3位フィニッシュを果たした。

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若手の台頭と外国籍選手の活躍が際立った柏、中村俊輔が退団し、新たな力が台頭した横浜F・マリノスも充実のシーズンとなった。

一方で優勝候補と見られていた浦和、ガンバ大阪、FC東京は大きく低迷。ACLを制覇した浦和だが、リーグ戦では失点が目立ち、監督交代後もACLの勢いをリーグの戦いには持ち込めなかった。FC東京は監督交代も奏功せず、G大阪はシーズン終盤の10試合を未勝利で終え、5年に及んだ長谷川健太体制は終焉を迎えている。

同じく長期政権に終止符を打ったのがサンフレッチェ広島。三度の優勝をもたらした森保一監督がシーズン途中で退任。最後まで残留争いを強いられる苦しいシーズンとなった。ヤン・ヨンソン監督の下で、何とかJ1に留まったものの、2年前の王者の思わぬ失速は、群雄割拠のJ1リーグを象徴する出来事だったかもしれない。

残念ながらJ2に降格したのは、アルビレックス新潟、大宮アルディージャ、ヴァンフォーレ甲府の3チームとなった。新潟は三浦文丈新監督の下でスタートを切ったが、開幕10試合でわずか1勝と大きく低迷。呂比須ワグナー監督に代わっても事態は好転せず、第13節から16試合未勝利という苦しい状況に陥った。負ければ降格という状況に陥った第29節以降は最終戦まで6試合無敗と意地を見せたものの、2004年からとどまり続けてきたJ1の舞台からついに陥落した。

昨季は5位と躍進した大宮だったが、開幕6連敗と苦しいスタートを切ると、早々に渋谷洋樹監督を解任。伊藤彰監督が就任して以降も成績は上向かず、残り3試合で鹿島を解任された石井正忠監督を招聘し、残留を狙ったが流れは変わらず、1試合を残してJ2降格となった。

甲府は吉田達磨監督の下で、リーグ6位の39失点という堅守を築いたものの、得点はリーグワーストの23。シーズンを通して得点力不足の課題を解消できず、2012年以来となるJ2降格の憂き目にあっている。

■世間の話題をさらったポドルスキと久保建英

個人に目を向ければ、今季のJ1リーグの話題をさらったのは、ヴィッセル神戸に加入したルーカス・ポドルスキだろう。デビュー戦となった第19節の大宮戦でいきなり2ゴールを奪う活躍を見せた。そのワールドクラスの左足は、日本のファンに大きなインパクトを与えた。もっとも、以降はチャンスメイクに徹する試合が多く、得点量産とはならず。15試合・5得点と満足のいく結果は残せなかった。2年目となる来季はその真価が問われるだろう。

さらに、シーズン終盤には、FC東京の久保建英がJ1デビューを果たし、話題を振りまいた。16歳5カ月22日での初出場は、史上3番目の若さとなった。久保は2試合連続で途中出場を果たしており、今季途中にプロ契約を結んだ新星にさらなる期待がかかる。

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またタイ人で初めてJ1のピッチに立った北海道コンサドーレ札幌のチャナティップも、評判に違わぬプレーで残留に貢献。彼の活躍により、今後はJリーグのアジア戦略にますます拍車がかかるかもしれない。

日本人による得点王争いも、大きな注目を集めた。浦和の興梠慎三がトップを走っていたが、C大阪の杉本健勇が猛追し、最終節を迎える時点で単独トップに立った。しかし、最終節に川崎Fの小林悠がハットトリックを達成。ゴールの数を23に伸ばし、逆転で初の得点王に輝いている。

川崎Fの初優勝をはじめ、昇格組・C大阪の躍進、復活の兆しを見せた磐田、下馬評を覆して残留を果たした札幌など、今季は“伏兵”の活躍が目立ったシーズンとなった。一方で、浦和やG大阪、広島が低迷し、J1リーグの勢力図は大きく塗り替えられた。長期政権によるマンネリや、世代交代の遅れなど、常に新陳代謝を生み出さなければ勝ち続けることは難しい。そんなサッカー界の定石を改めて知らしめた、今季のJ1リーグだった。

文=原山裕平

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