「ENJOY!!!」J2降格の大宮に向けられた最後のメッセージ…J1へ戻ってくるために

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今季は開幕から厳しい戦いでJ2降格を余儀なくされた大宮アルディージャ。ファンが送ったメッセージ、試合後に見せたサポートの形とはどのようなものだったのだろうか。

楽しめているか? それが今大宮アルディージャに問いかけたい命題であり、リスタートをしていく上で合言葉になっていくだろう。

大宮にとって運命の一戦を前に、意外な文字がスタンドに浮かび上がる。

「ENJOY!!!」

2017-11-27-omiya-supporter

26日に行われた明治安田生命J1リーグ第33節ヴァンフォーレ甲府戦は、勝利のみが大宮に残されたエスケープルートであった。仮に勝利したとしても、他会場の結果次第ではJ2降格が決まってしまう。そんな絶望的な状況で、サポーターたちは「楽しめ」とメッセージを送ったのだ。

現実的に残留が難しいことは承知の上。残り2試合で連勝したとしても、得失点の関係で多くのゴールが必要となる。そこでサポーターが求めたのは選手たちの笑顔であり、サッカーを楽しむことだったことは想像に難くない。

■思うようにいかなかったホーム最終戦

しかし、ピッチ上の選手たちの動きはどこかぎこちなかった。奇跡の逆転残留を求めるのは高望みにしろ、笑顔を生むためにはゴールが必要だったはず。それも複数のだ。甲府よりも勝ち点に飢える大宮が、立ち上がりから積極的な姿勢でゴールを狙っていくかと予想されていたが、ミスを恐れて縦パスが入らない場面やシュートではなく、ラストパスを狙う消極的なシーンが散見された。試合終了後のスタッツを見ても、前半のシュート数は3、枠内シュートは90分を通して1本も生まれていない。

サポーターの「打てよ!」という声が聞こえてきたのは一度や二度ではない。前節から指揮を執る石井正忠監督は試合後に「先制点を奪うことによって状況が変わると思っていたので」と前がかりに打って出ることを選択しなかった理由を説明した。

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地団駄を踏むような展開。フラストレーションが溜まっていたのは選手も同じだった。チーム最多の7ゴールを挙げる江坂任は、石井監督就任からポジションをわずかに下げ、最前線にはマルセロ・トスカーノとマテウスのブラジル人コンビが入っている。2人は前線で違いを作り出せる一方で、江坂を含めたコンビネーションとなると、迫力は半減した。

江坂は2人について「個人でいっちゃう部分もあったし、サポートの部分であんまり使ってくれないという部分もありました」と話す。「そこも含めてあいつらの特徴。もっともっと活かしてあげられたらよかった」と自らの反省につなげた若きエースであったが、一点を見つめて話す姿は攻撃が機能していなかったことを物語った。

結局、攻撃陣をけん引する働きが期待されている江坂とマルセロは、それぞれ77分、86分にピッチをあとにした。終盤に猛攻を仕掛け、得点の匂いをにわかに漂わせ始めた大宮だったが、最後までゴールを割ることはできず、スコアレスドローでJ1の舞台に別れを告げている。

試合終了を知らせる笛が鳴った時、スタジアムには一瞬の沈黙が訪れた。それは結果に対する失望以上に、楽しむというエンターテイメント本来の目的さえ見失ったチームへのため息のように受け取れた。アウェイの地まで訪れた甲府サポーターが、最終節での逆転残留を信じ、高らかに歌い上げる姿とは残酷なほどコントラストを描いた。

当然、ホーム最終戦セレモニーでも表情は暗い。石井監督はクラブから託された残留という目標を達成できなかったことを詫び、森正志社長が挨拶した際にはファンから怒号が飛んだ。しかし、未来へ向けて一筋の光はすでに差し込んでいる。

■サポーターが見せた温かみ

セレモニー後、選手たちは1年間声援を送り続けたサポーターに感謝の気持ちを込め、場内を一周すると、そこには驚きとも言える光景が広がった。ファンが大きな声を出し、拍手で健闘を称えながら、選手たちはその“お返し”とばかりに記念品のグッズを投げ込む。試合が終了し、一度は失望の顔を見せた大宮サポーターだったが、すでにその色は消え去り、1年間走り続けた選手たちを労う表情へと変化していた。苦しい表情を浮かべるという選択肢しか残されていなかったはずの選手たちにも思わず笑みがこぼれる。

だからこそ、2012年から大宮に在籍する菊池の口からはまず「どんなときも声を出して後押しをしてくれて感謝しています」というサポーターへの思いが溢れ出たのだろう。キャプテンとして不甲斐なさを語ったディフェンスリーダーの一つひとつの言葉にスタジアム全体は固唾を呑んで耳を傾け、拍手を送っている。

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君たちはまだ笑顔を見せられる。僕らとともに。J2の舞台でも、ともに楽しもうじゃないか。サポーターの思いをそう捉えるのは、少々論理の飛躍が過ぎるだろうか。

取材・文=平松凌(Goal編集部)

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