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EAFF E-1 サッカー選手権2017を控えた日本代表、指揮官が選んだニューフェイスのポテンシャルに迫る

12月8日に日本で開幕するEAFF E-1サッカー選手権2017(以下、E-1)の頂点を目指す日本代表。先日発表された今大会の招集メンバーの中には、5名の”新顔”の名前が記されていた。彼らのポテンシャルを今季のJリーグでのプレーと、ハリルホジッチ監督の言葉から探った。

初瀬亮(ガンバ大阪)

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「右足も左足も使えて良いキックを持っている。守備より攻撃で面白い選手。サイドバックだけでなく中盤でもプレーできる」。そう代表監督が評価する通り、初瀬はサッカー選手でも珍しい“両利き”の選手だ。「左足も使える」ではなく、ボールタッチ、パス、クロス、シュートにいたるまで両足を同等に扱うことができる。

もちろん持って生まれたものではなく、幼少時からのトレーニングの賜物だ。東京五輪に出場資格のある97年生まれの選手で、今年のU-20ワールドカップに出場し、同世代ながら世界を肌で感じてきた。両サイドからのスピードに乗った攻め上がりと正確なクロスは大きな魅力だが、両利きは高めのポジションで起用されるケースでも活きてくる。

何より面白いのはFKだ。自身も最大の武器としてあげるほどで、特に直接FKはハリルホジッチ監督も「日本代表が直接FKでゴールを決めたのが最後はいつだかお分かりだろうか?もう数年は経っている」と語るほど気がかりな点。新たなキッカーの可能性についても「例えば初瀬は右足でも左足でも蹴ることができる」と最初に名前を出すほど期待をかけられているだけに、E-1の舞台で直接FKを決め日本を勝利に導けば、経験豊富な選手が揃うサイドバックの序列を覆すための最大のアピールになる。

山本脩斗(鹿島アントラーズ)

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「長い間チェックしている。彼の場合は守備も攻撃も良いパフォーマンスを見せているが、どちらかというと守備(を評価している)。ヘディングも強い。特にDPRコリア(北朝鮮)と中国は空中戦が強いので、こういった特徴も必要になる」とハリルホジッチ監督。

32歳での初選出だが、2013年まで在籍していたジュビロ磐田のときにも予備登録メンバーに入るなど、実力が全く評価されていなかったわけではない。ただ、鹿島に移籍したことがターニングポイントとなった。持ち前の運動量に加え、1対1の強さや空中戦など守備の強化に取り組み、左サイドバックから最終ラインの安定をもたらした。ロングボールの多い北朝鮮との初戦では彼の守備面での強みがより出しやすいかもしれない。激しいアップダウンに耐えられる持久力は攻撃面でも活かされ、後方で守備をした直後でも、短い時間でゴール前まで攻め込んでフィニッシュに絡むことができる。ヘディングの強さはセットプレーでも発揮されそうだ。

今回は西大伍、昌子源、植田直通、そして山本と鹿島の4バックが揃って選ばれていることもあり、そうした連係面の強みもE-1でいきなり活躍するための好材料になるはずだ。

三竿健斗(鹿島アントラーズ)

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「2、3ヶ月前からチェックしているのが三竿だ。彼はボールを奪える選手。ボールを奪った後のファーストパスも面白い。パワーも(他の候補より)強いかもしれない」。ハリルホジッチ監督は21歳のMFをこう評価した。181センチの長身もさることながら、ボール保持者に恐れることなく“デュエル(1対1の勝負)を挑むことができる。

ただ強いだけでなく、ファウルせずボールを奪い取るスキルを身に付けていることが指揮官の興味を強めたのだろう。さらにパスが正確なだけでなく、前方遠くの状況を視野に入れてプレーできることは攻撃で縦に速く、相手の裏を狙う”ハリルジャパン“の志向にも一致する。おそらく”アンカー“と呼ばれる4-3-3の中盤のセンターがメインのポジションになるはずだ。普段は長谷部誠や今回怪我で招集を見送られた山口蛍が担うポジション。

周囲とのコミュニケーションも求められるが、J2の東京ヴェルディに在籍していた当時にはセレッソ大阪戦で元ウルグアイ代表のディエゴ・フォルランが「何歳?」と尋ねたというエピソードもあるほど、明るく物怖じしない性格で知られる。日本代表に溶け込むことも難しくないはずだが、”チームの心臓“とも呼ばれるポジションでいきなり存在感を示すことができるか注目だ。

伊東純也(柏レイソル)

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「仕掛けて、違いを生むことができる選手」。ハリルホジッチ監督がそう評価する様に、スピードをフルに活かした右サイドからのドリブルはJリーグで猛威を振るっており、代表を待望する声も多かった選手だ。昨年の開幕当初は右サイドバックでプレーしていたが、下平隆宏監督に交代するとサイドハーフがメインポジションとなり、さらに3トップの採用で右ウィングとしてゴールを狙う機会が増えた。

ドリブルはスピーディだが柔らかさもあり、時に左足のタッチも織り交ぜながら縦に、横にボールを運ぶことができる。純然たる右サイドのドリブラーという意味では日本代表にいなかったタイプで、本大会に向けて強力なオプションになりうる。伊東について指揮官が言及するのはドリブルだけではない。「90分繰り返しアップダウンができ、規律を守るタイプでもある」とハリルホジッチ監督。

つまり組織の一部として代表で要求される仕事をこなすベースをすでに備えているという評価であり、途中から流れを変えられる選手としてだけでなく、活躍次第では主力候補としてアピールすることも不可能ではないだろう。そうした資質をまずは東アジアのライバル相手に発揮し、ロシアへの生き残りをかけた競争に食い込んでいきたい。

阿部浩之(川崎フロンターレ)

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「サイドでもトップ下でもプレーできる。リズムチェンジ、スピードアップができる」とハリルホジッチ監督。これまで裏を狙う意識を強調することが多かった指揮官が“リズムチェンジ”という言葉を口にしたことからも、状況に応じて攻撃のリズムに変化を付けられる能力に期待してのことだろう。機動力が高く、ボール扱いがうまいだけでなく、豊富な攻撃ビジョンを持つアタッカーであることが、残り半年間で多くの海外組が揃う攻撃陣にも割って入りうる彼の強みだ。

今季はG大阪から川崎にやってきて1年目ですんなりフィットするどころか、前半戦のMVPと言える活躍を見せた。その当時から代表を待望するファンの声も徐々に高まっていたが、シーズン半ばで右膝の軟骨損傷という大怪我を負い、1ヶ月間の離脱を強いられた。11月4日にルヴァンカップの決勝で途中出場してからリーグ戦は2試合しか消化していないが、攻守に渡るハードワークで勝利に貢献しており、国内組で臨むE-1のメンバーに選ばれるには十分と評価されたのだろう。

個で打開を狙えるだけでなく、周囲とのコンビネーションも得意とする選手。元チームメイトの倉田秋や似た崩しのイメージを持つ清武弘嗣とどういった調和をかなでるか注目したい。

文=河治良幸

【EAFF E-1 サッカー選手権2017 大会スケジュール】

12月9日(土) 味の素スタジアム
16:30 キックオフ(予定) 韓国代表 vs 中国代表
19:15 キックオフ(予定) 日本代表 vs 朝鮮民主主義人民共和国代表

12月12日(火) 味の素スタジアム
16:30 キックオフ(予定) 朝鮮民主主義人民共和国代表 vs 韓国代表
19:15 キックオフ(予定) 日本代表 vs 中国代表

12月16日(土) 味の素スタジアム
16:30 キックオフ(予定) 中国代表 vs 朝鮮民主主義人民共和国代表
19:15 キックオフ(予定) 日本代表 vs 韓国代表

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