167cmの関根貴大は大男集うドイツで輝けるのか?苦悩と飛躍への手応え【現地レポート】

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浦和レッズからドイツへ飛び立って約2カ月。関根貴大は満足な出場機会を得られていない。そんな中、本人は「すべては慣れ」と話し、新たなポジションでの飛躍へ向けて虎視眈々とチャンスを伺っている。現状の苦悩と飛躍への確信を、現地からレポートする。

関根貴大は今、新たな環境への順応にトライしている。

今年の8月初旬にJリーグの浦和レッズからドイツ・ブンデスリーガ2部のFCインゴルシュタット04へ完全移籍してから約2か月。その間、関根の公式戦出場は加入直後の第3節・レーゲンスブルク戦に途中出場したのみだ。

そのレーゲンスブルク戦では関根がピッチに立ってから3失点して逆転負け。リーグ戦3連敗を喫したインゴルシュタットはマイク・バルプルギス監督を解任し、U-21監督を務めていたステファン・ライトル監督を新指揮官に据えたが、その後、関根は一度も出場機会が与えられていない。

2014年に浦和ユースから昇格してトップチーム入りを果たしてから、関根がピッチに立てない境遇に置かれたことはなかった。ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督に評価されてプロ1年目から公式戦に29試合出場して3得点を記録。2年目からは純然たる主力として40試合8得点、3年目は43試合2得点、そして今季は夏に移籍するまでに27試合5得点と、確固たる実績を積み上げてきた。

しかし、新天地のドイツではその潜在能力を内外にアピールしきれていない。加入直後の監督交代、目まぐるしく変わるシステム、戦術、戦略などの外的要因にも晒されているが、ベンチ入りすら叶わない状況は本人にとってじくじたる思いがあるだろう。

■体格の小ささは表面的な問題に過ぎない

関根がブンデスリーガ2部で苦戦する理由としてよく挙げられるのはフィジカルの問題だ。公称167センチ、63キロ。本人に問い質すと「調子が良いときは167センチ」とはぐらかすので、おそらく実際はもう少し低いのだろう。180センチ台の身長、体重も70キロを超えるのが大半なブンデスリーガーの中で、その体躯は別の意味で目立ってしまう。

実際、レーゲンスブルク戦では確かに相手のチャージに飛ばされて体軸を振らす場面も見られた。それは大柄なプレーヤーに抗えないと判断されても仕方がない所作だった。

本人もピッチに立って感じた感覚は「今までと違った」と話す。

「ブンデスリーガの2部は確かに体のぶつかり合いが多いなとは感じます。自分は1部での経験がないから比較はできませんけど、実際の肌感覚としては荒い感じ。ボールホルダーに対してガツンと体ごとぶつけてくるので、そこで踏ん張るか、それとも事前に判断して早くボールを離すかの選択をしなければいけない。とにかくボールへのアプローチが速いので、その点はJリーグとかなり状況が違うなと思いました」

ピッチの外から見ていても、確かに2部は激しい。筆者は先日、ブンデスリーガ2部でフォルトナ・デュッセルドルフと首位争いを展開するキールと、インゴルシュタットと同程度の順位に位置するデュイスブルクのゲームを取材した。

そのゲームではデュイスブルクのMFボリス・タシュキが相手の猛チャージを受けて僅か18分で交代を余儀なくされ、攻撃を司るトップ下を失ったホームのデュイスブルクはキールに3失点して惨敗した。相手のキープレーヤーを封殺する戦法は2部のゲームでは当たり前に用いられていて、昨季2部でプレーしたシュトゥットガルトの浅野拓磨は「2部の選手のタックルは深くて重い」と述懐している。

それでも彼のフィジカルが今の舞台で見劣りすると判断するのは早計だ。関根は自らのプレー傾向を冷静に分析し、対処はできると考えている。

「確かにブンデスリーガの試合は当たりが強いですけど、それに順応する自信はある。相手のチャージをそのまま受け止めず、逆に相手の力を利用して自分のパワーを充填するやり方もありますから」

この自信には裏付けがある。そもそも関根はフィジカルが弱いわけではないからだ。

それは浦和時代のプレーを振り返れば分かる。例えば彼が最大の武器とするドリブルはステップワークよりも、むしろ馬力を生かした縦への突進が特徴だった。一度相手にチャージされてボールを狩られても強引に奪い返して前へ突き進む。俗に言う『球際』の強さが際立っていて、小柄な体の芯に太い骨が貫かれていることを示している。

本人は言う。

「すべては慣れだと思うんです。Jリーグでプレーしたときも最初は相手の力やスピードに戸惑いましたけど、試合を重ねる毎にプレーを体感してアジャストできた。だからこそ今は、何としても試合出場のチャンスを勝ち取ってピッチに立たなきゃいけないと思っています。チーム内の競争に勝たなくては何も始まらないですから」

■新天地で狙うのは「新たなポジションでの飛躍」

浦和時代はそのスピードを生かしてサイドを主戦場とし、チームの勝利に貢献してきた。Jリーグで得た自信と経験は、ドイツでも飛躍への糧となっていくことだろう。

ただし、今の関根がインゴルシュタットで狙うポジションは、実はサイドではない。

浦和ではペトロヴィッチ前監督が志向した3−4−2−1の両サイドアタッカーで出場し、その力を示してきたが、ユース時代までは主にトップ下でプレーしてきた選手だった。その事実は、あまり知られていない。そして本人も、新天地で自らのポテンシャルを発揮できる場所はピッチ中央にあると思っている。

「もちろん、今はどのポジションでも出場できれば一生懸命プレーします。でもトップ下を任されたら、どんなプレーができるかなと、楽しみな部分もある」

国際Aマッチウィークによるリーグ中断中に組まれた3部のウンターハヒングとの練習試合。関根は4−3−3のインサイドハーフで先発出場した。

DFトビアス・レーフェルス、DFマルヴィン・マティップ、MFゾニー・キッテル、MFアルフレード・モラレス、FWダリオ・レズカノらの主力選手が出場する中でミドルエリアでの役割を与えられた彼に期待されたもの。それは積極的な勝負姿勢とゴールへ直結するプレーへの関与だった。同じくインサイドハーフで出場したMFロベルト・ライペルツのゴールでリードして前半を終えた関根は、GKを除くフィールドプレーヤー全選手が交代する中で、その責務を改めて認識したはずだ。

インゴルシュタットのリーグ再開初戦は10月14日、相手はディナモ・ドレスデン。旧東ドイツの古都でのアウェー戦である。

取材・文=島崎英純

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