興行から強化へ。JFAに求められる明確な強化プラン【日本代表、未来への提言/第2回】

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2018年ロシア・ワールドカップ。日本代表はべスト8の壁を破れなかった。今大会は、日本サッカーの現在地を明らかにすると同時に、多くの課題をもたらした。

ワールドカップ・ロシア大会で日本代表が経験した4試合は、2014年ブラジル大会以降の準備期間含めて日本サッカー界が抱える課題を明らかにしたと言える。世界と伍していくために大事なことは、過去から学び、何を考え、どういう手法を取り、前へ進んでいくか。シリーズコラム「日本代表、未来への提言」。第2回はJFAに求められる明確な強化プランについて。

■新チームを作っていく際に必要なこと

これまで積み上げてきた歴史と経験を糧にロシアの地で結果を出した日本代表。だが、その一方でラウンド16のベルギー戦後に2010年の南アフリカ大会から主力を張ってきた本田圭佑や長谷部誠ら30代の選手たちが代表チームからの引退を明言した。

今大会は過去に悔しい思いをしてきたベテラン選手のリベンジに向けた思いや覚悟が躍進の原動力となっただけに、日本代表はここから大きくメンバーが入れ替わり、新しいチームを作っていくことが求められる。では、その上で我々は何を考えていかなければならないのだろうか。

代表チームとして一定の継続性は必要になるとはいえ、基本的には“寄せ集め”の集団。大きな大会を除いてチームとしての練習はままならず、パッと集まって形にしなければならない。選手たちには個の能力と個人戦術の高さが求められるわけだ。裏を返せば、どんなメンバー、どんな戦術でも戦える“個の力”を持った選手が求められるとも言える。

ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督はかねてから「ワールドカップに向けたチームは3週間で作るもの」と話してきた。そして今回は大会直前で西野朗監督が就任。その危機感がプラスに働き、西野監督が急ピッチで仕上げて決勝トーナメント進出に成功している。

つまり、本大会で結果を出すためには、選手個々の経験積み上げと、指揮官による最後の仕上げがポイントになるということ。その上で指揮官と選手、そして選手間でしっかりとコミュニケーションを取ることができれば、常に同じメンバーで強化していく必要はないとも言える。

今回、積み上げという部分では惨敗に終わったブラジル大会の悔しさから選手個々が努力を重ね、それが経験となって結果に結びついた。そしてこれから日本代表は新しい積み上げの上に、新チームを作っていかなければならない。

今大会で見えた二つ目の課題。それこそが、日本代表が未来へ夢をつなぐためのロードマップである。

■“目玉商品”である海外組に課してきた負担

ベルギーに敗れてベスト8進出の夢が潰えた後、ここに関して香川真司が極めて重要な意見を残している。

「未来を見据えていく上で、日本代表はワールドカップに向けた明確なプランを持たなければいけない」

日本代表の強化プラン――。

多くの選手が海外でプレーするようになった昨今、彼らは日本代表としてプレーするために毎月のようにヨーロッパから舞い戻り、時差やコンディションを調整しながらの戦いが求められてきた。

日本代表戦が大きなビジネスとなり、日本全国での“興行”となっていることを考えると、海外組が“目玉商品”であり、必要不可欠なコンテンツになっていることは間違いない。だが、その一方で彼らに大きな負担を課してきたのも事実。香川は日本代表の未来を案じ、「自分が得た経験は話していきたい」と提言を続ける。

「海外でプレーする上で、(日本代表戦に伴う)移動でコンディションを崩したり、チームでメンバーを外されてしまうかもしれない難しさもある。常に日本に帰ってきて試合することに対して、モチベーションを含めて精神的な難しさを感じていたのは事実。そこは本当に考えていかなければならない」

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所属クラブで確固たる地位を築いている選手ならば、チームを離れても再合流後に起用してもらえる可能性は高い。それでも指揮官に長距離移動の影響で「コンディション不良」と見られて休養を取らされるケースも少なくない。自分に代わって出場した選手が活躍すれば、当然ながら定位置は脅かされることになる。

さらにスタメンの当落線上にいる選手にとって、日本代表でチームを離れることは死活問題になりかねない。監督にアピールできないだけでなく、ポジション争いから取り残されてしまうことにもなる。過去の傾向を見ても、これまで多くの選手が代表戦後にメンバーを外されたり、ポジションを失うことは少なからずあった。

海外でプレーする選手には、高いレベルのサッカーを肌で感じながら“世界を知る”ことができるメリットがある。それが日本代表戦の影響でプレー機会を失いかねないとなれば、まさに本末転倒である。

ワールドカップのアジア最終予選となれば話は別だが、海外組を4年間すべての試合に招集し続ける必要性はない。どのタイミングで、誰を呼んで、どう融合させるか。海外組の置かれたチーム内での状況も鑑みていく必要も出てくるが、アジアカップや最終予選など、重要な国際大会に向けた強化プランの構築は絶対に必要だ。

■国内の親善試合と欧州でのテストマッチに区別を

昨秋から日本代表チームは本大会に向けてヨーロッパ遠征を増やしてきた。そこにはハリルホジッチ前監督の意向もあったが、ブラジルやベルギーとの親善試合が実のある“テスト”になったのも事実。こう考えていくと、日本代表として国内で行われる国際親善試合とヨーロッパでのテストマッチに、それぞれ意味と意義を持たせる段階に入ったように思われる。

ここに関しては、代表引退を明らかにした長谷部誠も持論を展開する。

「日本サッカーは本当に段階を踏んできていると思うし、前にそれを推し進めてほしい。ヨーロッパで試合をたくさんできる機会があればと思っていましたし、日本での試合とヨーロッパでの試合のバランスを保ちながらやることも大事になる」

ヨーロッパで行われるゲームでは、海外組を中心とした編成で強豪国相手に日本代表チームとしての現在地を確認する。国内での親善試合では、必要に応じて海外組を招集しながら、Jリーグで意識高くプレーする選手たちに海外チームとの対戦経験を積ませてレベルアップを図らせる。

かつて、ジーコジャパンが国内組と海外組で分かれてしまい、チームとして一つになりきれない難しさを抱えたことがあったが、日本サッカー協会が明確なビジョンとプランを打ち出すことで、その問題は解決できるはず。スポンサー、メディア、ファンにも事前説明することで一貫した強化ビジョンを理解してもらうことにもつながる。新しい扉に手を掛けたことで見えた問題点を有効活用するべきである。

どのタイミングで、誰を招集するのかは、チーム状況に応じて考えていけばいい。国内組、海外組の双方が“個の力”を向上させることが日本代表の強化、ひいては大きな未来へとつながっていく。

本当に世界で結果を出したいのであれば、これからの日本代表戦をこれまでのような“興行”ではなく、明らかな“強化”とするべきである。日本サッカー協会には、そのための明確なプランが求められる。

覚悟を持って戦い続けた香川や長谷部が最後に発した言葉が持つ重み――。日本代表の未来を考えた金言を、しっかりと受け止めなければならない。

文=青山知雄

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