経験の差で明暗くっきり…トッテナムの未熟さと百戦錬磨ユヴェントスの強さ【CL現地レポート】

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ファーストレグでは互角以上に渡り合ったトッテナムだが、セカンドレグでは老獪なユヴェントスを相手に経験のなさを露呈。差はどこに表れたのだろうか。

「経験の差が、あまりに大きかった。ユヴェントスは勝利への道が見えていた。一方、トッテナムは敗戦への道を進んでいった」

そう語ったのは、7日に行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦・第2戦でダイジェスト番組の解説を務めたロイ・キーンである。マンチェスター・Uの主将として幾多のタイトルを勝ち取ってきた元アイルランド代表MFの目には、ユヴェントスとトッテナムの経験の差がはっきりと見えたという。

その差とは、いったいどこにあったのか。

■戦術面で明暗

1-0でトッテナムのリードで迎えた60分、ユヴェントスの智将マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、インサイドMFのブレーズ・マテュイディに代え、左SBにクワドォー・アサモアを投入。さらに、システムを4-3-3から4-4-2へ変更した。

その1分後には、抜群の運動量で上下動を繰り返す右SBのステファン・リヒトシュタイナーを入れ、2つの交代策によりサイドアタックを強化した。同時に、2トップへの変更で、トッテナムの最終ライン中央部を積極的に突いていく狙いも見せた。

アッレグリ監督の狙いは見事に的中する。右サイドを駆け上がったリヒトシュタイナーのクロスボールからゴンサロ・イグアインが同点弾を叩き込むと(64分)、最終ライン中央部の背後に飛び出したパウロ・ディバラが追加点を決め(67分)、1点目からわずか2分49秒で鮮やかに逆転した。

リードした後のユヴェントスは、自陣深くで守備を固めてコントロール。手堅い試合運びを見せ、2戦合計スコアで4-3の逆転勝利をおさめた。勝負のかけどころといい、逆転後の試合運びといい、百戦錬磨の名に相応しいユヴェントスの強さが凝縮していた。

対するトッテナムは、第1戦を2-2で引き分けながら、ホームで迎えた第2戦を落とした。CLの決勝トーナメントで、アウェーの第1戦を2-2で引き分けたチームは、83%の確率で次ラウンドに勝ち進んでいるが、データ上のアドバンテージを活かせなかった。

4-2-3-1でスタートしたトッテナムは、立ち上がりから積極的に攻めた。前線からアグレッシブにプレスをかけ、39分にソン・フンミンが先制弾。ほぼ満員に膨れ上がった聖地ウェンブリー・スタジアムの観衆の声援も後押しし、理想的な試合運びで前半を終えた。

ところが、体力が落ちてきた後半に入っても、ディフェンス重視に切り替えなかった姿勢が仇となった。ユヴェントスの先制時は、サイドからやられたうえ、最終ラインのマークのズレを突かれた。2失点目のシーンも、コロンビア代表DFのダビンソン・サンチェスが前方に釣られたスペースを、ディバラにダイアゴナルランで侵入され失点した。ユヴェントスの術中に見事にハメられた格好だ。

先述のロイ・キーンは「後半の試合の進め方はまったく理解しがたい。リードを奪った後のユヴェントスのように、守備を固めるべきだった。2つのゴールを許した3分間の混乱が勝負を分けた」とトッテナムの試合運びを酷評した。

2つのゴールを許した後、トッテナムは対応策として最終ライン中央部を固める3バックに変更したが、時すでに遅し──。3-4-2-1から3-4-3へと攻撃のギアをひとつ上げ、同点ゴールを狙いにいったが、ユヴェントスの堅牢な守備をこじ開けることはできなかった。

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■MOMのユーヴェDFからも手厳しい言葉

この試合で最多タックル数を記録し、英『BBC』や英紙『サン』でMOMに選ばれたユヴェントスのDFジョルジョ・キエッリーニは胸を張って言う。

「トッテナムの守備に穴があるのは分かっていた。精神的に脆さがあることもね。常に試合終盤に足りない部分が出てしまう。彼らはたくさんのゴールチャンスを作るが、試合終盤に入ると何かが欠けてしまうんだ。その歴史を信じていた。経験の差は重要。我われはスキルを使って勝利にたどり着いた」

プレミアリーグで4位につけるトッテナムは、複数のシステムを自在に使い分ける器用さを兼ね備えている。中盤の低い位置で効果的なパスを供給したクリスティアン・エリクセン、積極果敢なアタックで左サイドを突いたソン・フンミンの動きも効果的だった。

しかし、CLの舞台で新参者のトッテナムは、勝負のポイントや危険な時間帯の対処法までは身についていなかった。実際、地元紙『ロンドン・イブニングスタンダード』は「トッテナムは戦術バトルに敗れた」と指摘。一方のユヴェントスは、欧州最高峰の舞台で7度の決勝進出を誇る。ロイ・キーンが指摘する経験の差──。その言葉の重みを強く実感した一戦であった。

取材・文=田嶋コウスケ

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