気迫と悔恨の右拳に込めた覚悟…進化を誓うセレッソ大阪FW杉本健勇の決意とは

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チームを勝たせる選手になりたい。代表での悔しい経験がセレッソ大阪FW杉本健勇に強烈な決意をもたらしている。

二度目の歓喜の直後に小さく、力強く三度振り下ろした。そして終了直前には決めきれなかった悔しさで思いっ切り地面を叩きつけた。固く握りしめた右拳が、彼の気迫を如実に表していたように思う。

アウェイのサウジアラビア戦で日本代表デビューを飾ったセレッソ大阪FW杉本健勇が9日、味の素スタジアムで行われたFC東京との明治安田生命J1リーグ第25節で先発出場。2-1で迎えた79分にPKで追加点を決めると、85分には左CKから得意のヘディングを豪快に叩き込んでダメ押し。終盤の連続ゴールでチームを勝利に導いた。

■代表での悔しさをJリーグでぶつける

ロシアに向けた再スタートにふさわしい二発だった。まずは78分、相手DFとの一対一で果敢に仕掛けたところを倒されてPKを獲得。前半のチャンスでシュートを選ばなかった経緯もあって、「パスの選択肢はなかった。相手をかわすことしか考えてなかった」と積極性を披露した。柿谷曜一朗に譲ってもらったという今シーズン初のPKは「緊張はなかったけど、最後まで右に蹴ろうと思っていたので危なかった」と苦笑いしながら振り返ったが、これをキッチリと左スミに蹴り込んだ。

圧巻だったのは、「ソウザとのコンビネーションが完璧だった」と振り返った85分の2ゴール目だ。ニアサイドが開いていることに気づいた杉本は、CKキッカーのソウザに狙いどころを合図。ここにソウザがピンポイントで蹴ると、走り込んだ杉本が頭で豪快に叩き込んだ。

この2得点で今シーズン16ゴール目。浦和レッズFW興梠慎三が終了間際に決めたことで一度は試合中に逆転した得点ランキングで再び並ばれてしまい、「興梠選手も最後に決めたんですよね? 取るな―。なかなか単独トップにならん(笑)」と報道陣を笑わせたが、サウジアラビアで誓った「チームでの圧倒的な結果」への足がかりになったのは間違いない。「ルヴァンカップも勝ってくれたし、タイトルを取るチャンスは3つある。リーグ戦はあと9試合なので、力を出し切ってチームも個人も続けて結果を出していきたい」と前を向いた。

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念願の代表初キャップを記録したサウジアラビアでは途中出場で結果を出せず、試合後に「Jリーグで圧倒的な結果と、圧倒的なプレーを見せたい」と誓っていた。

2ゴール目を決めた後、チームメートからの祝福を受けてセンターサークル付近へ戻ると、右拳を固く握りしめて小さく三度、下へ突き下ろした。やはりサウジでの経験を受けて、“結果”への意欲は大きく高まっていたのだろう。取材エリアの端でその瞬間の思いについて聞いてみると、「無意識ですけど、うれしかったですね」と振り返りながら、「でも、もう1点取りたかった」と続けた。

今シーズンのリーグ戦では、これが5度目の複数得点。だが、あと一歩のところでハットトリックは達成できていない。この日も終了間際に右サイドで起点となってゴール前まで攻め込むと、関口訓充からボールを受け直して右足を振り抜く。だが、これがゴールネットを揺らすことはなく、そのまま試合終了のホイッスルを聞いた。地面にしゃがみこんだ彼は、悔しさを隠すことなく右拳を思いっきり地面に叩きつけた。

「ファーサイドに決めるイメージは持っていたけど、身体がついてこなかった。疲れやフィジカル的な部分は言い訳になるので……最後は自分の技術の問題。もう腰をちょっとひねっていたら……自分ではひねっていたつもりだったけど、ひねりきれていなかった」

彼がサウジアラビアで見据えた「圧倒的な結果」という言葉には、自分自身の結果と同時にチームの成績も含まれている。だからこそ最後のチャンスを決められなかったことに自戒の念を強くする。なかなか届かない3点目について、彼はどう感じているのだろうか。

「今シーズンは何度か2点決めることがあったけど、今日も最後の最後で腰が回らなかったりする。そこが自分の課題だと思うし、日々のトレーニングでつけていかないといくしかない。今日は勝ったからいいですけど、同点の場面でああいうチャンスが来た時に決められるかどうかで、チームが上に行けるかが決まってしまう。それが今の課題だといつも思うんです。でも、それは決して消極的ではなくて、こうやって結果を継続して出していくことが大事かなと思いますね」

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自身1ゴール目のPKを決めた後、ゴール裏へ向かって走りながら腕組みパフォーマンスを見せると、左胸のエンブレムをつかんでサポーターにアピールした。いつも「チームが勝つのが一番」と口にする。ストライカーがそのためにできる最大の貢献は、やはりゴールネットを揺らすことだろう。だからこそ個人としてもチームのことを考えても、最後のチャンスを逃してしまったことが本当に悔やまれる。

サウジでは悔しさを味わうと同時に、自分の大きな可能性を見た。だから帰国直後でも試合に出たくて、そしてチームで勝ちたくて仕方がなかった。「ここでやるしかない。自分のレベルを上げるしかない」と誓った彼が求めているのは、圧倒的なプレーと圧倒的な結果。持ち味を発揮しての2ゴールも決して満足はできない。

セレッソ大阪にはまだ三つのタイトルを狙える可能性が残っている。ここでしっかりと結果を出し続ければ、9カ月後のワールドカップを目指す彼自身にも、そしてクラブ初タイトルを狙うチームにも、自ずと明るい未来は開けるはずだ。そのためには決して背伸びせず、足下を見つめて、毎日の練習からコツコツと続けるしかない。

チームを勝たせる選手になりたい――。この日、味スタで二度強く握りしめた右拳には、彼の強烈な決意が込められていたように感じた。

文=青山知雄

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