「日本代表は世界を驚かすレベルにない」ハリルホジッチ監督が語る現状と勝利へのカギ/インタビュー

シェア閉じる コメント
ロシア・ワールドカップへの切符を手にした日本代表。しかし、ハリルホジッチ監督は「現状ではW杯で勝てない」と危機感を募らせる。世界最高峰の舞台を経験した指揮官が語る課題と、ロシアで勝つための“必須事項”とは?

「ワールドカップで戦うには、大きな何かが足りない」

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の言葉だ。今のままではワールドカップで勝つことはできない。日本中を熱狂させることも叶わない。それが、日本代表を率いる指揮官が下した現時点での“自己分析”だ。

日本代表は8月31日、ロシアW杯への出場を決めた。アジア王者のオーストラリアをホームに迎えた大一番で勝利を収めた。試合終了の瞬間、スタジアムには歓喜と安堵の感情が入り混じり、6大会連続の出場決定をお互いに称え合った。

もっともサッカーファンの関心は、もはや「W杯への出場権獲得」から「W杯でどんな結果を残せるのか」に移っている。2002年の日韓W杯で初めてグループリーグを突破し、2010年の南アフリカW杯では国外で開催される大会では初めてとなる勝利と決勝トーナメント進出を果たした。日本代表に寄せられる期待は、着実に大きくなっている。

過去にアルジェリアを率いてW杯へ臨んだ経験を持つ指揮官は、現状をどう認識し、どうすれば日本代表が世界最高峰の舞台で輝けると考えているのか? 『Goal』(クロアチア編集部)が、その胸中に迫った。

■苦境だからこそ生まれた新たな可能性

「(W杯への出場権を獲得して)日本はとても強い高揚感に包まれています。ファンは興奮し、誰もがロシアに挑む我々に大きな期待を寄せてくれています」

ハリルホジッチ監督はオーストラリア戦と、その後のファンの反応をそう振り返る。

「日本がロシア行きを決めることは予想されていたことでした。過去5回のW杯に出場しているのですから」

そう語る一方、決して順風満帆だったわけではないとも話す。

最終予選は“出場権獲得確率0パーセント”からのスタートだった。初戦のUAE戦にホームで敗れたことで、大きなバッシングを受けた。現行の予選方式となった1998年のフランスW杯予選以降、最終予選の初戦で敗れたチームが本大会への切符を獲得できた例が一つもなかったからだ。

さらに主力選手の状態が必ずしもいいというわけではなかった。所属クラブでポジションを失う選手が続出したケースや、けが人が度重なることもあった。ハリルも「今回の予選はこれまでになく難しいものでした。経験のある選手たち、本田圭佑や岡崎慎司、香川真司といった日本トップクラスのスター選手たちがケガに苦しんでいました」と認める。

2017-09-13-Halilhodzic2.jpg

それでも出場権獲得に至ったのは、訪れた困難に一つ一つ立ち向かい、克服していったからだ。最たる発見の例を挙げるとするなら、オーストラリア戦だろう。リオ・オリンピック世代の浅野拓磨と井手口陽介は、W杯出場決定が懸かる大一番で貴重なゴールを決めてみせた。

「若い選手たちにチャンスを与えました。若者たちには恐れや不安も多かったでしょうし、プレッシャーもあったことでしょう。ですが、彼らはオーストラリア戦で素晴らしいプレーをしてくれました。20代前半の二人の選手(浅野と井手口)がゴールを決めてくれました。プレーさせる上で大きなリスクがありましたが、それでも結果を出してくれた彼らを誇りに思います」

■W杯経験を持つ指揮官が抱く危機感

出場権獲得によって一区切りがついた。

最終予選最終節のサウジアラビア戦を終えた原口元気が「チームとしての課題はもちろんあると思いますけど、僕はそういうのを考えるよりも、個人の課題に向き合うべきだと思います」と語ったように、選手たちにとってはクラブの戦いに集中する時期が続く。

とはいえ、いずれにせよ、クラブで結果を残せるかどうか、成長できるかどうかが、その先のW杯につながっていく。

2017-09-13-Halilhodzic5.jpg

「まだロシアへ向けた準備は整っていません」

ハリル監督も、選手たちの成長に期待している。なぜなら、このままではW杯で勝つことが難しいと考えているからだ。

「選手たちにもそう伝えました。私はW杯で(勝つために)求められるレベルを知っています。我々はまだそのレベルに達していません。世代交代は進めている最中で、5、6人の選手が若い世代にゆっくりとプレッシャーをかけられている状況です。選手たちにも『まだロシアで戦うためには大きな何かが足りていない』と伝えました」

だからこそ、それぞれのクラブで待っている戦いに身を投じ、全力を出して成長していく必要があると訴える。

「(足りていないと話したが)まだ10ヶ月あります。クラブで経験するすべてのトレーニングと試合に全神経を集中させる必要があるのです。彼らはW杯へ行くために、生き残るための競争を勝ち抜いていかなければならないのですから」

そして、いつもの情熱的な力強い口調で、こうも語る。

「ただ旅行するためにロシアへ行くつもりは全くないのです」

■選手の成長なくして、勝利は見えない

ミランでポジションを失った本田圭佑は、メキシコに活躍の場を求めた。岡崎慎司や吉田麻也は世界最高峰のプレミアリーグで切磋琢磨を続けている。香川真司や長谷部誠は故障からの完全復活を目指してブンデスリーガの舞台に挑む。Jリーグでは井手口や昌子源、山口蛍といった若手、中堅(そしてもちろんベテランの選手たち)が、虎視眈々と飛躍の時をうかがっている。

2017-09-13-Halilhodzic7.jpg

それぞれの戦いが、世界各地で繰り広げられている。そして、その一つ一つの成果が、2018年へつながっていく。

「ファンは(グループリーグ敗退に終わった)ブラジルW杯の結果にひどく失望していました。我々は同じ失敗を繰り返してはいけないのです」

ハリルホジッチはそう語り、選手たちの成長を望む。決してサッカーが選手の能力だけで決まるわけではないことや、監督の指導と責任が重大だという大前提の事実を理解しきった上で、それでもこう、エールを送る。

広告

「結局のところ、すべては選手たち次第です。彼らが勝利へのカギなのですから」

インタビュー=Hrvoje Tironi 文=Goal編集部

▶サッカーのライブを観るならDAZNで!1ヶ月間無料のトライアルを今すぐ始めよう

次の記事:
キャロル、クラウチ、ジョレンテ、ジェコに続き…チェルシー、今度はバーンリーFWに興味か
次の記事:
【結果速報・動画ハイライト】レアル・マドリー対デポルティボ結果/ラ・リーガ第20節
次の記事:
ローマSD、ジェコのチェルシー移籍に「なるようになる」…監督も否定せず
次の記事:
【結果速報・動画ハイライト】ベティス対バルセロナ結果/ラ・リーガ第20節
次の記事:
カズと18年ぶり共演なるか…松井大輔がJ復帰!横浜FCへ完全移籍で加入
閉じる