大博打に打って出たバイエルン…最善の解答ではなかったニコ・コバチに待つ茨の道

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ニコ・コバチがバイエルンの新監督に決まった。これは、クラブにとっても監督にとっても大胆かつリスクを負った決断である。その理由とは?

現地時間13日の正午、ニコ・コバチがバイエルン・ミュンヘンの新しい監督になることが決定した。SDを務めるハサン・サリハミジッチがこのことを発表したのは、チャンピオンズリーグ準決勝の抽選が行われるわずか数分前だった。

少なくとも、最近コバチの漏らした発言を記憶に留めていれば、この知らせにそれほど驚きを覚えることはないだろう。コバチはアイントラハト・フランクフルトでの契約が2019年まで残っていることを繰り返し述べながらも、他方では常に逃げ道を確保するような発言をしていたからだ。「明日になれば何が起こるかは誰にもわからない」という彼の言葉は、契約期間の縛りは融通の利くものであり、石に刻まれたような堅牢なものではないことをほのめかしていた。

長年ブンデスリーガの王者として君臨するバイエルンの監督に就任するのは、タイトルの獲得に熟練し、すでに多くの勲章を手にした者と決まっていた。そのことを考えれば、コバチという選択は大胆な決断である。もちろん、クラブOBであるコバチにはバイエルンの流儀が身についてはいるものの、それでも大舞台やビッグクラブでの経験を積むことなく古巣に戻って来ることになる。それが上手く奏功する可能性もあるが、同時にひどい失敗に終わる可能性もある。他とは別格の厳しい掟が支配する――バイエルンとはまさにそういうクラブだからだ。

■最善の解答ではなかったコバチ

ユップ・ハインケスの後を継ぐ者として、コバチはバイエルンにとって決して最善の解決策とは見なされていない。それを思えば、危ぶまれるのは今後だ。バイエルンはまず過去数カ月に渡ってユップ・ハインケスを何とか懐柔し、慰留しようとした。次に失職中のトーマス・トゥヘルを雇い入れようと考え、最後には、『フランクフルター・ルントシャウ』によればユルゲン・クロップをリヴァプールから引き抜こうとさえした。だが、様々な理由からどの誘いも断られてしまった。そういうわけでコバチにはバイエルンが置かれた状況がわかっているし、自分を取り巻くムードがいつ急変するかわからないことも理解しているだろう。

だが、コバチの抜擢はバイエルンにとって大胆な解決策であるばかりでなく、指揮官自身も一定のリスクを引き受けることになる。マインハッタン(フランクフルトのビジネス街)の喧騒を遠くに臨むフランクフルトの森林公園に囲まれて比較的平穏な日々を送るのと引き換えに、ウンターギージング=ハルラヒング(ゼーベナー・シュトラーセのあるミュンヘンの市区)でせわしない戦いに身を投じるのは多大な勇気を必要とする決断だ。しかも、そこには彼の埋めなければならない大きな穴が待っていることが繰り返し話題にされている。そしてこの場合、前任者が残した穴は隕石の落下した跡ほどに巨大なのだ。

■ハインケスとの比較は避けられない

いずれコバチが大きな成功を成し遂げたハインケスと比較されるのは確実であり、コバチはそれを自覚していなければならないし、自覚させられることになるだろう。彼の采配がうまくいかなかった場合、壊滅的な評価が下されるかもしれないことも覚悟しておく必要がある。しかもその場合、メディアはすぐに「もし別の監督が雇われていたらどうなったか?」という議論を始めるに違いない。トゥヘルだったらどういうやり方をしただろう? クロップだったらもっとうまくやれただろうか? コバチの仕事は様々な角度から微に入り細に入り批評され尽くすことだろう。それにもかかわらずコバチは、彼に不信の念を抱く者たちに向かって自分の力を示す大きなチャンスを手にしている。ひょっとすると、バイエルンとコバチ双方の大胆な賭けがうまく実を結ぶことだってあるかもしれないのだから。

文=デニス・メルツァー/Dennis Melzer

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