“モノが違った”清武弘嗣、右サイドからC大阪の中心へ…日本で再び綺羅星のように輝く日

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C大阪に復帰してから、それほど時間が経過していない清武弘嗣だが、真の輝くときは近い。そう感じさせた大宮アルディージャ戦であった。

■大宮で光り輝いた清武という星

セレッソ大阪という多くの日本人スター選手を揃える人気クラブの中でさえ、清武弘嗣の輝きは別格だった。敵地での戦いだったため、いつものようなピンクのユニフォームを身にまとっていたわけではないが、まるで他の9人のフィールドプレイヤーとは異なる華やかな何かを身につけていたかのようだ。

公式戦2連勝と好調をキープし、大宮のホームへと乗り込んだC大阪。3-0という結果を見れば、順位表で上回るC大阪が順当に大宮を撃破したと思うかもしれない。しかし、実際はそんな楽なものではなく、だからこそスペイン帰りのテクニシャンが生み出す違いが勝敗を分けた。

序盤から、右サイドに開く清武にボールが渡れば、にわかにアウェースタンドが沸き立った。一見何でもないと思えるようなシーンでさえ、彼の右足にかかれば、チャンスへとすり替わる。7分、19分とオフサイドになってしまったものの、高精度のボールを中に送り込み、ミドルレンジからは自らのシュートを持ってゴールを脅かした。

■素晴らしいサポーターが大宮の支えに

それでも、前半の45分間で大宮アルディージャがゴールを割らせなかったのはサポーターの存在も一因となったことだろう。開幕からリーグ戦11試合で2勝、そしてこの日は30℃を超える暑さと、大宮をサポートする人々にとって楽ではない状況が続いていた。しかし、スタジアムのゲートに張られていた「ため息より声援を!」という横断幕の通り、ファンはキックオフ前から声を張り上げ、壮観というほかない雰囲気を作り出した。

大宮は声援に背中を押されるように、アグレッシブな戦いを披露。攻撃こそなかなか良い形を作れず、得点を求めるファンの期待に応えることはできなかったが、守備では体を張り続けて、自陣のゴールにカギをかけた。

そんな状況で大宮の守備陣に風穴を開け、スタジアムに空白の時間を生み出すように一瞬の静寂を生んだのは清武である。

63分、普段は自身が蹴っている左コーナーキックの場面で、清武はニアサイドに飛び込んでいた。キーパーが弾いたボールが頭に当たり、ネットを揺らすラッキーな得点であったが、「あの一本しか中に入らなかった」ということが、何を示すのか。残りの30分足らずで知ることになる。

■試合終盤で増した存在感

“らしくない”ヘディングシュートから、清武は右サイドにいながらにして、みるみる存在感を増していった。73分には糸を引くようなボレーパスでスタジアムから歓声を引き出すと、ボールも自然と彼に集まっていく。右サイドの低い位置で受けることを好んでいた清武は、常に意表を突く縦パスで好機を作り出す。この試合唯一流れの中から生まれた3点目も、清武が相手の虚を突くアウトサイドパスで柿谷曜一朗につけてから、生まれたものだ。

全選手にハードワークを強いるユン・ジョンファン監督は記者会見で「『今日は足がダメだったから頭だったの?』という話をしました」と、清武との会話を明かしたが、その笑顔からは司令塔への小さくない信頼をうかがうことができた。

試合後には、清武はインタビューのため、チームメイトから少し遅れて、一人で場内を回りながら、ファンと喜びを分かち合った。サポーターとともに自らのリズミカルなチャントを楽しむ清武の表情からは、充実以外の感情を読み取るのは難しい。それは両腕を上下させる親しみやすい振りの付いたチャントで声援を送り続けたファンも同じだろう。

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右サイドという本来のポジションではない場所から、チームの中心に立ちつつある清武。1点目で示した類まれな得点感覚、3点目で見せた非凡なパスセンス、そして残りの時間で発揮した、一挙一動に視線を集めるスター性、全てが特筆すべきものであった。Jリーグ復帰から間もなく、連携も最高レベルには到達していないはずだが、「モノが違う」ことを改めて日本のサッカーファンに思い知らせている。清武が“綺羅星”のように輝くのも時間の問題だ。

取材・文=平松凌(Goal編集部)

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