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ムバッペの成長に必要なものは?メッシ、マラドーナ、ペレと肩を並べるために

チャンピオンズリーグ(CL)準決勝セカンドレグ、キリアン・ムバッペは精神的にも肉体的にもタフな経験をした。モナコはトリノで行われたナイトゲームで、スペクタクルなプレーを繰り広げたユヴェントスに1-2で敗れ、2戦合計1-4で敗退が決まった。18歳の怪物は、2倍も年齢の離れたアンドレア・バルザーリに翻弄され、打ちひしがれたことだろう。

ユヴェントスはファーストレグを2−0で制したが、世界屈指の戦術家として知られるマッシミリアーノ・アッレグリはムバッペが評判に違わぬプレーをすると思い知らされることになった。だからこそホームで行われるセカンドレグで逆転を許すという最悪のシナリオを避けるため、この恐るべき10代を抑え込む方法をチームに伝授したのだった。

イタリアチャンピオンにして、おそらくはCL史上最高の守備を誇るユヴェントスは、多くの点でこの若きストライカーに最大限の敬意を払っていた。ペレから始まり、ディエゴ・マラドーナ、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシまで続くあらゆる大スターが通ってきた道だ。次世代のスターとしてリスペクトされている証拠なのである。

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ユヴェンティーノがチームの決勝進出を見届けるためにやってきたスタジアムで、ムバッペは躍進の原動力であった素晴らしい足さばきや目まぐるしいほどのスピードを時々しか披露することができなかった。バルザーリがルールの許すかぎり強烈かつシビアな対応を見せたからだ。

それでも、ムバッペはスター選手の片鱗を見せた。ユヴェントスのGKジャンルイジ・ブッフォンがチャンピオンズリーグで続けてきた690分間無失点という信じられないような大記録を途絶えさせることに成功したのだから。その瞬間は、歴史あるチャンピオンズリーグにおいても、これから何年も語り継がれていくことになるだろう。

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ただし、片鱗を見せただけの選手は今までにもたくさんいた。ムバッペには多くの屍が横たわっている「スター候補生」という茨の道を通り抜けることが求められている。

彼が本当の意味で最初に悩まされて試合を振り返ってみると、パリ・サンジェルマンに1-4で敗れたフランスのクープ・ドゥ・ラ・リーグ決勝が思い出される。PSGのセンターバック、チアゴ・シウバはアグレッシブにFWをマークするというよりゲーム全体を読む能力に長けていることで有名だ。しかし、モナコ戦ではいつになくフィジカルコンタクトをムバッペに強いた。18歳のワンダーキッドは為すすべなく90分が終わるホイッスルを聞いたのだった。

GKダニエル・スバシッチは試合後、フォローする必要があったことを『24Sata』のインタビューで明かしている。

「(チアゴ)シウバは試合開始からタイムアップの瞬間まで、ムバッペを離さなかった。実際に激しいタックルもあったしね。シウバがムバッペに終始つきまとって自信を失わせようとしていたことは、誰の目にも明らかだった」

「試合後、更衣室でムバッペは本当につらそうだった。ひどく傷ついていて、泣きそうだったね。可哀想に思ったよ。ムバッペを慰めて『こんなことはよくあることだ。これは君がとてもいい選手だということ、これからも強くなっていくことをみんなが認めている証拠なんだ』と言ってやったよ」

今回もムバッペは苦しんだ。バルザーリの手を煩わせることもあったが、そうなったとしても他の2人の世界的なDFが行く手を阻んできたのだから。モナコの11人全員が苦しんでいたため、ムバッペ一人に責任を押し付けるわけでは全くない。ただし、彼とてまだまだ足りない面があるのだ。それを痛感したことだろう。

しかし、苦しい中で何も残せなかったわけではない。最強の守備陣相手に、一矢を報いて見せたのだ。0−4からの一撃だったとしても、ユヴェントスからゴールを決めたということに価値を見いだせずにはいられない。

タイムアップの瞬間、挫折を知らなかったモナコの若武者たちはユヴェントス・スタジアムで涙に暮れたかもしれない。だが、チームにとっても選手一人ひとりにとっても、価値ある経験だったはずだ。特に、誰よりもキリアン・ムバッペにとっては。

文=ロビン・バイルナー/Robin Bairner

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