バルセロナとカタルーニャ混乱の背景…「クラブ以上のクラブ」が持つ意味

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10月1日の日曜日、バルセロナはカタルーニャの独立騒動に巻き込まれた。無観客試合、ピケの涙など多くの話題が生まれたが、一体クラブ内外で何が起こっていたのだろうか。

「政治とスポーツは別物」

スペインでは、よく聞かれる言葉だ。しかし、バルセロナの場合、この2つを切り離すことは不可能である。日曜に起きた事件は、カタルーニャ州のクラブであるFCバルセロナが、常にサッカー以上の存在であり続けることを示すものだった。

カタルーニャ州で起きたスペイン警察の暴力行為により、800人を超える住民が負傷した。スペイン政府が違法とみなす、カタルーニャ州の独立の是非を問う住民投票を阻止しようと、当局が極端な制圧を行なったのである。

さらに、この事件の中心にサッカーの話題もついて回る。バルサで緊急の理事会が開催され、その日の午後にホームのカンプ・ノウで行われる、ラ・リーガのUDラス・パルマス戦を行うかどうかが話し合われたためだ。

バルサは試合の延期を決定したが、スペインプロリーグ機構(LFP)より、試合を行わなければ、不戦敗および試合中止を決定したことに関して勝ち点3ずつ、合計勝ち点6を剥奪するとの通達を受けた。

選手の多くはそのような事態を避けることを希望し、バルサはやむを得ず無観客試合の開催を決定。安全面を考慮したとの理由だが、実際には、カタルーニャ州のクラブとしての政治姿勢を示したものであり、一部メディアからは批判を受け、ファンはスタジアム周囲の通りで待ちぼうけを食うこととなった。

無観客のカンプ・ノウで、リオネル・メッシをはじめとする選手たちがプレーする姿は、世界中に映像配信され、178カ国で視聴された。これも、カタルーニャ州で起きていることを、より多くの人に伝えるべく、バルサが決定したことである。

バルセロナはカタルーニャ州の独立に賛成を表明しているわけではない。しかし、「バルセロナは政治的意識の高いクラブ」である。アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は語ったとおり、「クラブ以上のクラブ(Mes que un club)」というモットーが、それを物語っている。

カタルーニャ州の人々は、昔から自分たちは他のスペイン人とは違うと自認しており、何世紀も前から、スペイン社会からの独立を望んできた。事実、カタルーニャが公国としての地位と政治的権力を失ったのは、バルセロナ包囲戦でスペイン軍に敗れた1714年のことだった。

その後、フランシスコ・フランコの独裁政権下では、カタルーニャ語が禁止された。カタルーニャ語で旗を意味する「サニェーラ」も禁止された。カタルーニャ人が唯一、逮捕される恐れなしに自身の感情を表現できたのは、カンプ・ノウでバルサの試合を観戦する時だけだったのである。

1975年にフランコが亡くなると、カタルーニャ人は、民主政権への移行期間中、街中で警察からの暴力を受けることとなる。40年以上も経った今、その恐怖が、1日に再来したのだ。

「フランコ時代、僕らは、自分たちの意志を守ることができなかった」

バルセロナDFジェラール・ピケが語った言葉だ。3-0でラス・パルマスを下した後、ミックスゾーンで、ピケは涙をぬぐったのだった。

「僕はカタルーニャ人だし、カタルーニャの心をもっている。カタルーニャの人々とその行動を誇りに思う。(カタルーニャの人々は)暴力をふるっていない。なのに、警察とグアルディア・シビル(治安警備隊)がやってきて、あんなことになった」

「彼ら(スペインの国民党政権)は、スペインの人々に、カタルーニャ人は悪者だと思わせようとしてきた。でも、そんなのは嘘だ。僕らはただ、投票がしたかっただけだ」

そして、「カタルーニャ人は投票したんだ」と、ピケは最後に言った。投票結果は1日深夜、カタルーニャ州政府によって、独立賛成が90%を越えたと発表された。今や、カタルーニャ独立に向けての手続きが続けられようとしている。バルサのことも、その一部であることは間違いない。

バルサは、長らくカタルーニャの人々にとって、実質的なナショナルチームとみなされてきた。クラブが政治の範疇から遠ざかることは不可能だ。

カンプ・ノウは、ただのサッカースタジアムではない。ここ数年、独立派のファンがスペインとの決別を支持する声を上げていた場所である。ホームでの試合では、キックオフから17分が経つと必ず、1714年の戦闘を想起させる「インデペンデンシア(独立)」のチャントが歌われるという事実が言葉以上にそれを物語る。

もちろん、サッカーは、第一にスポーツである。だが、バルサの理事会の真意が何であれ、また、その時々の会長次第で変わるものであれ、カンプ・ノウでは、スポーツと政治は永遠に密接に結びつくことになる。だからこそ、バルサは「クラブ以上のクラブ」なのだ。今までずっとそうであり、これからもずっとそうだろう。

文=ベン・ヘイワード/Ben Hayward

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