「バルサ化」への挑戦。イニエスタを組み込んだ神戸のサッカーはどう変わるか?

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ヴィッセル神戸がアンドレス・イニエスタを完全移籍で獲得した。イニエスタの加入は、神戸をどう変えるのか。今季の戦いぶりを振り返りながら世界的な名手が果たすチームでの役割を考察する。

アンドレス・イニエスタのヴィッセル神戸移籍が決定し、クラブは24日都内で会見を行った。元ドイツ代表ルーカス・ポドルスキに続き、2人目となるW杯優勝メンバーを獲得した神戸が、「アジア制覇」というクラブ目標に強く踏み出した格好だ。ここでは今季の神戸の戦いぶりを振り返りながら、彼を組み込んだ場合にチームがどう変化するかを考察する。

なお、イニエスタはスペイン代表としてロシアワールドカップを戦った後、チームに合流すると見られるが、その時期は未定。今季Jリーグの第2登録期間は7月20日からとなっており、登録が完了すれば同22日の第17節・湘南ベルマーレ戦(ノエビアスタジアム神戸)から出場可能となる。しかし、同15日(日本時間)にW杯の決勝が行われるため、スペイン代表がどこまで勝ち進むかによって、チームへの合流時期も変化する。

■司令塔・ポドルスキとの共存と役割分担がカギ

「バルセロナを目指します」――。今年1月の新体制記者会見で、三浦淳寛スポーツ・ダイレクターが口にした「バルサ化」への挑戦。長く神戸の代名詞だった堅守速攻型からポゼッション・スタイルに大きく舵を切った。J1リーグ戦は第15節終了時点で6位につけ、Jリーグルヴァンカップではプレーオフ進出を決めるなど善戦を続ける。

その戦いの中で、司令塔を担ってきたのが神戸の10番を背負うルーカス・ポドルスキだ。そのポジションはダブルボランチの前、[4-3-3]のシステムのど真ん中。5月2日の第12節・FC東京戦で負傷し、左腓腹筋の肉離れのため現在はチームを離脱しているが、ここにイニエスタが入った場合、どのような役割を担うのかは大きな注目点になる。

【現在の神戸の基本フォーメーション 4-3-3】

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一つは、バルセロナではサイドに入ることもあるイニエスタだけに、左サイドMFも現実的。ポゼッション・スタイルには、サイドのテクニシャン系のドリブラーは相手の守備ブロック攻略のために是が非でも欲しい存在だ。いやらしいパスを量産し、軽快な飛び出しや独特のドリブルで相手を翻ろうする中盤の戦士は、神戸の「バルサ化」への大き過ぎるエンジン。中盤中央のコンダクター役がふさわしいとも言え、となると、すでに司令塔として攻撃をけん引しているポドルスキとの役割分担が課題となる。

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▲司令塔として攻撃の中心を担うポドルスキ

シンプルに考えれば、イニエスタをボランチに入れ、ポドルスキをFWに専念させる[4-4-2]がイメージしやすい。ただ、神戸でのポドルスキはFWというよりも攻撃的MFとしての仕事をこなしている。イニエスタが中盤で配球役を務めることで、ポドルスキ自ら得点に専念する意識変革があれば話は変わるが、ここまでの神戸でのプレーを見る限り、純然なFWタイプのプレーヤーではない。特に、ポドルスキがFC東京戦で負傷し、チームを離脱して以降、渡邉千真とウェリントンが2トップを組み明確な結果を出しているが、この2人のような走力や献身性をポドルスキに長い時間求めるのは非現実的だ。

そうなると[4-2-3-1]が浮上する。今季の神戸が取り組む大きなポイントに「中盤の流動性」というものがある。ポジションに捉われずボールを動かすということだが、[4-2-3-1]であればポドルスキはトップ下だが、時にボランチとなり、イニエスタはボランチでも、時にトップ下やサイドMFとなる。臨機応変な判断と選択でオフェンスを構築するイメージであり、チームが積み上げるスタイルにイニエスタを組み込み、パスサッカーのスケールアップを図る好循環も生まれるだろう。

ただ、イニエスタの魅力はやはり攻撃センスであり、純粋なボランチのポジションで組み立て役やバランサーの役割に比重が置かれるのは決して得策とは思えない。それを考慮すれば、必然的にバルセロナの一般的なイメージとして定着している、アンカー役を置いた[4-3-3]、あるいは[4-1-4-1]が浮上する。

具体的なイメージは、逆三角形の中盤のインサイドハーフをイニエスタとポドルスキが担う形。2人が横並びでダブル「司令塔」となり、攻撃を作り、フィニッシュワークに深く関与。2人の感性がパス交換となって具現化されるオフェンスは、想像するだけで興奮する。サイドからのクロスがアタッキングサードでの第一手だったチームが、むしろ中央突破に強みを置くチームに生まれ変わる可能性も秘める。現在、守備においては中盤のポドルスキが2トップの一角に入り、[4-4-2]でプレッシングや守備ブロックを形成しており、イニエスタ加入後も同様の考え方で実行できそうだ。

【イニエスタ加入時の予想フォーメーション 4-1-4-1】

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これを前提にすると、彼らをサポートするアンカー役のボランチは、安定したリスク管理の能力を発揮している藤田直之や「個」の能力に秀でたチョン・ウヨンが適任だろう。ボランチとして先発出場を続ける三田啓貴は、そのアジリティーの高さからイニエスタのパスを引き出し、フィニッシュワークに絡む仕事への期待感が強い。

■外国籍選手の「枠」の問題

バルセロナの顔、現役スペイン代表がJリーグでプレーするという、史上類を見ない夢が現実になった。だが、神戸の選手事情を振り返れば、難しい問題も抱えている。

Jリーグの外国籍選手の登録枠は「5名以内」。神戸には日本国外に国籍を有する選手が6名いる。今季加入したティーラトンは「Jリーグ提携国」のタイ出身のため外国籍選手としてカウントされないが、イニエスタを選手登録すれば誰か一人を外さなければならない状況だ。

ポドルスキは言うに及ばずだが、チョン・ウヨン、キム・スンギュも欠かせぬレギュラーとして定着し、一昨季の得点王レアンドロは長期離脱から復帰すると、JリーグYBCルヴァンカップ第5節・湘南戦(3-4)で復帰後初ゴールも奪った。さらに、今季アビスパ福岡から加入したウェリントンは、20日のJ1第15節・コンサドーレ札幌戦(4-0)で2得点2アシストと大爆発。第14節・ジュビロ磐田戦(2-0)でも先制ゴールを挙げており、存在感を一気に高めている状況だ。

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▲左からチョン・ウヨン、キム・スンギュ、レアンドロ、ウェリントン

外国籍選手の活躍は今季の神戸にとって大きなポイントになっている。W杯ロシア大会も含め、選手の動向においてリーグ戦中断期間に新たな動きが出る可能性もあるが、どのような判断が下されたとしても、神戸サポーターは苦渋のシチュエーションと向き合うことになりそうだ。

いずれによせ、イニエスタが神戸にやって来ることは決まった。体格的に日本人とは異なる特徴を持つポドルスキとは違い、イニエスタの公式発表されている身長は171㎝。日本人選手には共感しやすい体型とも言え、バルセロナのサッカーを象徴するイニエスタとのプレーは、パスサッカーに挑むチームメートにとっても学ぶ対象になることは必至。

神戸U-18では以前からバルセロナを参考にしたパスサッカーを目標に指導を行っている。20歳の中坂勇哉、19歳の安井拓也、18歳の佐々木大樹らのユース出身選手も大きな刺激を受けることになるだろう。神戸の選手それぞれが次のステージに進む得難い経験を積むことになるのは確実だ。

文=小野 慶太

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