バイエルンを後退させたアンチェロッティ、CL敗退で問題が浮き彫りに/コラム

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敗北を喫したレアル戦に試合後、世間の関心は審判や判定ばかりに集まっている。しかし、バイエルンが敗退したという事実は、見逃すことのできない問題点を浮き彫りにしているのだ。

バイエルン・ミュンヘンは前に進むことなく、ただ一歩後退した。前監督であるジョゼップ・グアルディオラは3シーズンで3度のブンデスリーガ優勝を成し遂げ、チャンピオンズリーグでは3回連続でチームを準決勝に導いた。それを引き継いだカルロ・アンチェロッティは国内リーグ制覇に向けて順調な道のりを歩んでいる。しかし、ヨーロッパの舞台においては準々決勝敗退というあまりに不甲斐ない姿を晒すこととなった。

レアル・マドリーとの大事な初戦を世界有数のストライカーであるロベルト・レヴァンドフスキ抜きで戦わなければいけなかったのは大きな痛手であった。だが、バイエルンの衰退はこの2試合での敗北だけで語られるものではない。選手たちは今シーズン、アンチェロッティの下でテクニックを磨いたわけでも、新たにハングリーさを身につけたわけでもなかった。チームは浮き沈みが激しく、組織としてまとまりに欠ける場面も多く見られる。ヨーロッパの舞台からの早期敗退も決して驚くような出来事ではないのだ。

世界王者との二戦で見られた停滞感は、ドイツ国内ではなかなか明るみにならなかった。なぜならブンデスリーガはバイエルンのようなクオリティを備えたチームにとって決して難しいリーグと言えないからだ。むしろ、バイエルンこそがリーグ全体の質が下げているという見方もある。バイエルンはマヌエル・ノイアーやマッツ・フンメルス、レヴァンドフスキといったスター選手をライバルチームから引き抜き、強化を図っている。当然、強くなったチームで弱体化したライバルを相手にすれば、ドイツサッカー全体の犠牲の元にバイエルンの強大化が行われていると見られても仕方がないだろう。

最近では、ホッフェンハイムがバイエルンのライバルとして名を馳せているものの、彼らの主力選手の2人、ニクラス・ズューレとセバスティアン・ルディは今夏からアリアンツ・アレーナへ活躍の場を移す。

Lahm Alonso GFX

また、バイエルンはスター選手を中心に据え、スカッドを維持することでチームの強化を図っている。フィリップ・ラームやアリエン・ロッベンがクラブ史上最高の選手であることに何の疑いもないが、彼らがメンバーに名を連ね続けていることは、バイエルンがただ自己満足に浸っているだけだということを示唆するものにもなる。

何シーズンにも渡って築き上げられたチームを維持し、さらに構築していくという作業はとても難しい。というのも、モチベーションの問題が浮上してくるからだ。だからこそ、再構築にふさわしいタイミングはチームが弱体化したときではなく、隆盛を誇っているときなのである。バイエルンもまだ間に合う。今とられるべき策は、クラブに到底必要とは思われていなかった、チームの大刷新である。

ラームやロッベンなど、2013年に3冠を獲得し、栄光の時代を築いた中心選手たちをチームから除外するのは難しい選択ではある。しかし、誰にでもそうした時はやってくる。健全なチームマネジメントにおいて重要なのは、その時をしっかりと見極め、然るべき対応を取ることだ。

ラームのケースは特に格好の事例となる。キャプテンであり、10年に渡りワールドクラスの選手として君臨してきたが、今シーズンは彼の代わりとして完璧にフィットするヨシュア・キミヒにポジションを譲るべきであった。22歳ながらドイツ代表に名を連ねる若者は、今季の先発出場数を不満に思っている。それは紛れもなく正しい感情である。出場機会が与えられなければ、クオリティを証明することもできない。

Bayern Munich UCL 18042017

ラーム、バスティアン・シュバインシュタイガー、トーマス・ミュラーは若いうちにチャンスを与えられていなければ、ここまでの選手になることは決してなかっただろう。若い選手にチャンスを与え、育てていくこともチャンピオンを作るためには必要なものだ。だが、現在のバイエルンには保守的な考えが浸透している。実際、同じような状況は他にも起こっている。ロッベンとフランク・リベリが試合に出ていることで、ドウグラス・コスタの出場機会は限られたものとなっているのだ。

アンチェロッティはバイエルンの世代交代に関して、特に何か策を取っている様子をみせていない。彼はバイエルンがトップを維持するために雇われた監督であり、すでに多くの功績を残し、信頼できる年長者たちを起用することでクラブからの要求に応えようとしている。しかしながら、適正なスピード感でベテランを外していくことは、長い意味でバイエルンのためになることである。すでにベテランの集まりとみなされているクラブに対する周囲の認識を変えることにも繋がるはずだ。

事実として、バイエルンはブンデスリーガの中で最も平均年齢の高いチームの一つなのだ。バイエルンの平均年齢(約28歳)を上回っているのは、ダルムシュタットだけである。

33歳のラームとロッベン、34歳のリベリ、そして35歳のシャビ・アロンソといったベテランは、平均年齢を大きく引き上げた。もし31歳のノイアーが万全であれば、28歳のスヴェン・ウルライヒに代わりゴールを守っていたはずであり、そうなっていれば今シーズンのブンデスリーガにおいて最高齢のチームでプレーしていたことになる。

さらに、バイエルンはブンデスリーガの中で最も試合出場選手の少ないチームでもある。わずか21人で11個のポジションを争い、毎週のように同じメンバーに依存しているということを表す。アロンソやラーム、リベリというバイエルンの3人のレギュラープレイヤーは、リーグでも屈指の高齢選手だ。

Robert Lewandowski Bayern Munich

Mats Hummels

Cristiano Ronaldo Real Madrid Bayern Munich UCL 18042017

バイエルンがチャンピオンズリーグ制覇したときの核は強く残っている。しかし、その優勝もすでに4年も前のことだ。まさに今、チームを変えていく必要がある。今回の失敗を教訓に大きな変化を起こすべきなのだ。現在のグループでもまだまだやれるはずだと思っているだろうが、現在のチームにヨーロッパ王者に輝いたときのようなギラギラとした欲望を見ることはできない。

ラーム、リベリ、ミュラー、ロッベン、ノイアー、ダビド・アラバ、ラフィーニャ、そしてジェローム・ボアテング。2013年のチャンピオンズリーグ優勝メンバーは皆バイエルンの中心選手としてもう5シーズン以上プレーしている。彼らは皆ともに歳を重ねたのである。

ラーム、アロンソ、そして第3キーパーのトム・シュタルケはこの夏にチームを去るため、平均年齢はいくらか下がるはずだ。しかし、契約の関係もあってロッベンやリベリは来シーズン以降もチームの核として残る。また、主力選手に数えられるレヴァンドフスキ、ミュラー、ノイアー、ボアテング、アラバ、フンメルス、ハビ・マルティネス、そしてレナト・サンチェスといった面々は2021年までの契約を結んでいるが、彼らの多くはその時までには最盛期を過ぎてしまうことは間違いない。

優れたタレントを度重なる契約延長によってつなぎとめることは、他のクラブに移籍してしまうリスクを減らすことになる。だが一方で、歳を重ねて全盛期を過ぎた選手を長期に渡って高額な年俸で雇用し続けなければいけない、というリスクがあることも忘れてはならない。

アラバとサンチェス以外は2021年が来る頃には皆30代に突入し、それは今起きていることと同じことが起こりうることを意味する。

もちろん、良し悪しではある。

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だが、もしバイエルンがドイツのみならずヨーロッパにおいてもブランド力を高めていきたいのであれば、現状はやや選手に対して寛容すぎるし、高いサラリーを払いすぎている、という側面もあるのだ。

文=ピーター・ストーントン/Peter Staunton

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