デンマークのレジェンド、B・ラウドルップの見方…W杯で番狂わせは起こりえない?/独占インタビュー

シェア閉じる コメント
デンマーク代表の2戦目を前に『Goal』が独占でデンマーク代表のレジェンド、ブライアン・ラウドルップにインタビューを実施。デンマーク代表としての素晴らしき思い出、そして現在の代表について語る。

4年に一度の祭典がついに開幕した。

『Goal』では、ロシア・ワールドカップ開幕に際して現役の選手や指揮官に独占インタビューを実施。今回は大会屈指の選手層を誇るデンマーク代表のレジェンド、ブライアン・ラウドルップだ。

ラウドルップ兄弟の弟としても知られるブライアンは選手時代、デンマーク代表としてユーロ1992を制した他、1998年フランス・ワールドカップにも出場。クラブレベルでもレンジャース、バイエルン・ミュンヘンといった名門クラブで活躍し、デンマーク年間最優秀選手賞を4度手にしている。そんなレジェンドは母国にどのような思いを抱えているのだろうか。『Goal』だけに語ってもらった。

■現在、そして監督業への興味は?

――今は何をされているのでしょうか?日々の生活について教えてください。

今はデンマークのテレビ局で働いているよ。デンマーク代表チーム、ヨーロッパの試合、ワールドカップの試合やプレミアリーグも取り上げているね。代表戦があれば出向いていくし、大体はスタジオでプレミアリーグの試合分析を担当していることが多いね。フットボールやメディアとは今も深いつながりがあるよ。

――仕事は楽しんでいますか?

楽しんでいるよ。もちろんプレーするのが最高だけど、年齢を重ねた今でもこのような形でフットボールの仕事が出来ることに感謝している。ここ数年は代表チームを追いかけてたくさん出張したね。カザフスタン、モンテネグロ、ポーランド、他にもとても興味深い土地を訪れたよ。代表チームがワールドカップの予選を突破したのはファンタスティックだった。

――今から18年前にフットボールから引退しましたが、今でもフィジカルを保っていますね。友人とプレーすることはあるのでしょうか?また、時々若手選手の指導をしていますね?

そうだね、この18年間はストリートサッカーの大会で子供や若手選手の指導をしている。でもここ2年間はテレビ関係の仕事が忙しくてできていないのが現状だよ。週末はほとんどテレビの仕事をしているからね。それにもう50歳目前で身体は少しくたびれてきたかな(笑)。だから今はもうできないよ。でももちろん子供に教えるのは楽しんでいたよ。余生をそのように過ごすのはいつも誇りを感じていられるよね。

――お兄さんのミカエルとは違って、あなたはハイレベルの監督を務めたことがありません。魅力を感じたことがないのでしょうか?

ない、ないよ。ほとんどのフットボール選手は32歳か33歳で引退してから1、2年の休息を取って、そして指導者の道を考えるのだと思う。でも自分自身には正直にならなければいけないよ。10年、15年、さらに20年も先を考えると自分が望むライフスタイルではないと思った。だから、その道には進まないことに決めたよ。あまりに過酷だと思う。四六時中激しいプレッシャーにさらされるし、フットボールについて考えているようで、実はフットボールに取り憑かれているのさ。僕や家族にとってそれは厳しすぎる。だから、フットボールの世界に残ったままテレビの仕事をするのが自分の道だと決めたよ。

■W杯の思い出は…

World Cup Denmark

――ロシア・ワールドカップが開幕しましたが、あなたの心にはこの大会について非常に良い思い出が残っているのではないでしょうか?

そうだね、確かに1998年大会は自分のキャリアにとって重要な出来事の一つだよ。もちろん1992年のユーロで優勝したのは素晴らしかった。でもワールドカップへの出場はすべての選手が夢見ることだと思うし、それが叶ったね。7~9歳くらいの子供はワールドカップを夢見るもの。僕の最初のワールドカップの記憶はアルゼンチンが優勝した1978年大会さ。(ディエゴ)マラドーナが信じられない活躍をした1986年大会のことももちろん覚えている。僕のワールドカップに出場するという夢はかなえることができたよ。

――90年代のデンマーク代表は良いプレーをしていましたね。データ上は相手に劣っていてもサプライズを起こすことができていました。その秘訣は何だったのでしょうか?

僕らは良いチームだったと思うよ。ワールドカップ1998年大会の前、僕らは親善試合で良い結果を手にできなかった。すべて負けたんじゃないかな。だから僕らには誰も期待していなかったのさ。でもメンバーにはピーター・シュマイケルや兄のミカエルを始めとして何人か優れた才能を持つ選手がいたよ。あと、大会は同時にちょっとした運も必要になるよね。初戦のサウジアラビア戦は1-0で勝利したけど、良いスタートを切ったとは言えなかった。あの試合はとても苦しんだよ。でもね、デンマークは誰からも期待されないチームだけど、あの時みたいに大会を通じて成長出来るチームでもある。その後、南アフリカに引き分けて、グループ最終戦のフランスには敗戦、運の助けもあってやっとのことで次のステージに進出できた。でもその後は長年の中でも本当に最高のフットボールができたよ。デンマークがあのような素晴らしいフットボールをしたのは、セーレン・レアビーやエルケーア・ラルセン、兄のミカエルを擁してウルグアイを6-1で破った1986年大会以来のことだった。1998年大会の僕らはあのレベルに匹敵していたし、とても良いフットボールをしたね。ナイジェリアに勝利した後、ブラジルに2-3で敗戦してしまったけど、勝利まであと一歩だった。あの試合、僕らはとてもよくやった。覚えている人もいるだろうね。勝利はできなかったけど、あの試合は1998年大会でもベストゲームの一つだから多くの人の記憶に残ったと思うよ。

――確かに1998年大会のブラジル戦は印象に残っています。敗戦しましたが、あなたの世代にとっては最大の成功、そして完成形と言えるのではないでしょうか?

そうだね。あらゆるフットボール選手にとって、特に僕らのような人間にとっては、ブラジルとの試合は唯一無二のことだ。フットボールが生まれた国でもないのに、ワールドカップでどこと試合をしたいかと問われればすべての選手はブラジルと答えるよね。フットボール史においてブラジルは名高い選手を輩出してきたし、有名な試合をいくつも演じてきた。だから準々決勝でブラジルと戦ったのは本当に特別だったよ。最後の笛が鳴るまで激しいプレッシャーにさらされたけど、それはモチベーションや興奮も然りだ。本当に素晴らしい体験だった。試合前、多くの人はデンマークが簡単に負けるだろうと言っていた。でも本当に良いプレーをしたと思うよ。僕らのプレースタイルから、デンマークはスカンジナビアのブラジルと形容されることがあるね。それが本当かどうか僕にはわからない。でも本物のブラジルを相手にした僕らのプレーは正真正銘信じられないものだった。あれほどのハイレベルなプレーができたブラジル戦は記憶に残る試合の一つだ。それに疑いの余地はないよ。

――ブラジルとの試合はあなたのゴールセレブレーションを抜きには語れませんね。皆の記憶に残っていますよ。あのポーズは何からインスピレーションを受けたのでしょうか? 元々準備していたのか、それとも本能的なものだったのでしょうか?

Brian Laudrup

まさか、準備なんてしていないよ(笑)。でも試合前に息子にこう言われたよ。「お父さんのゴールの祝い方は面白くない、何かやってよ」ってね。あと、ロベルト・ディ・マッテオの影響は多少あったね。チェルシーの試合を観ていた時、ディ・マッテオが似たような感じで寝そべったのを見たのさ。他の選手もやってきて一緒になって楽しんでいたよ。だからこう思った、「オーケー、ブラジルから点を取ったら同じことをしてやろう」とね。これは他の誰にも言わなかったよ。自分の中だけに留めていた。実際に点を決めて、なかなか良いゴールだったと思う。で、あのような変なことをした(笑)。いまだに人に言われるということは皆覚えているようだね。あれはなかなかよかっただろう?

■W杯でダークホースの優勝は「絶対にない」

――フランスでのワールドカップ以降、デンマークはあの時のような高いレベルにまで達していません。その理由は何だと思いますか?

その通りだね。たとえ1992年のユーロ大会で優勝したとはいえ、ワールドカップ1998年大会で準々決勝に進出したというのはデンマークのような小さな国にとっては優勝したにも近いことだよ。世界には本当に偉大なチームが複数あるし、優勝するのは本当に難しいこと。でもワールドカップの1ページに残る価値があることが認められるような、証明できるようなプレーをしたことを僕らは誇っていい。それに4-1で勝利したナイジェリア戦や、もちろんブラジル戦のことを皆が覚えていることは実際に誇りだよ。あのような試合に関わったことは僕らにとっては偉大なことだ。そして、人口たった500万人の国が現在も高いレベルで争うことができていることを本当に誇りに思うよ。信じられないことさ。

Denmark World Cup

――今のデンマーク代表をどのように評価していますか?

新時代に突入していると思う。モアテン・オルセン監督に16年間率いられていたからね。デンマークにとっては偉大な選手で、そして素晴らしい監督だった。でも最後の数年はとても苦しんだね。ポゼッションは高かったけどチームはもがいていたし、ファンも楽しむことができていなかったから、オルセンとの契約は更新されなかった。今はオーゲ・ハレイデを新監督に迎えてそれまでとは違ったアイデアを持っているね。よりダイレクトなプレーが採用されて、ボールにも強いプレッシャーを掛けている。デンマークはアイルランドとの2試合を制して予選を突破した。非常に良い印象を残してね。僕はワールドカップについても落ち着いているよ。僕らの持つ強さを発揮してケガ人が出なければ、次のステージに進むことができると思う。でも皆わかっているように、運やどのような状態で試合を迎えるか次第でもある。うまくいけば本命のフランスが1位、そしてデンマークが2位で突破するだろう。デンマークにとってはその時点で良い成績を残したといえるだろうね。

――1992年、あなたはデンマークでミラクルを起こしました。あのようなミラクルは今でも起こると思いますか? 思いもよらない国がワールドカップで優勝したり、そこまではいかないまでも、準決勝に進出したりといったことは?

思わないな。不可能だと思うよ(笑)。正直にならなければいけない。1992年のユーロ大会では4チームのグループが2つあっただけだった。もちろん偉大なチームが揃っていたよ。オランダ、ドイツ、フランスも出場していた。両グループともとてもタフだったよ。でも今はより多くのチームが出場しているし、そもそもワールドカップは非常に難しい大会だ。世界中の異なる地域から多くのチームが参加して、様々なプレースタイルに対応しなくてはいけない。だからそのような奇跡は起こりえない。絶対にね。タイトルを争うのは3、4チームに絞られるだろう。でもその中でもどの国が期待に応えるのか、それは興味深いね。中南米のチームはヨーロッパの地では苦しむことが多いし、逆もまた然りだ。今回がどうなるか関心を持って観たい。スペイン、ドイツ、それにもちろんブラジルとアルゼンチン。もしかしたらフランスも入ってくるね。優勝するのはこの4、もしくは5カ国のいずれかになると思う。

インタビュー・文=ナイーム・ベネドラ/Naim Beneddra

Goal_worldcup_article_banner

▶サッカー観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【DAZN関連記事】
DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)に登録・視聴する方法とは?加入・契約の仕方をまとめてみた
DAZNの番組表は?サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは?
野球、F1、バスケも楽しみたい!DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ

次の記事:
ムバッペ、W杯優勝など数々の快挙達成も見据えるのはさらに先「もっと良くなるために…」
次の記事:
フランス対クロアチア、スペイン紙の採点は…ユムティティ&ポグバが満点評価!
次の記事:
準優勝クロアチアに惜しみない賛辞…「英雄として母国へ」「顔を上げて大会を去る」
次の記事:
W杯決勝フランス対クロアチアの採点は?英メディア選出MOMは強烈ミドルのポグバ!
次の記事:
カシージャス、フランスの1&2点目に異議…「VARの用途が分からない」
閉じる