ジダン率いるレアル・マドリーはペップ・バルサを超えたのか…“歴代最高チーム”になるとき

シェア閉じる コメント
グアルディオラ元監督が率いていたバルセロナは“歴代最高チーム”であると称されていたが、その功績を今シーズンついにレアルが越えようとしている。

これまでのサッカー界において歴代最高の“選手”を挙げるのであれば、異論なしにリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドである。しかし、歴代最高の“チーム”を挙げるのであれば、ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いた2008年から2012年にかけてのバルセロナであろう。これまでグアルディオラが作り上げた緻密な“ティキ・タカ(ボールをつなぐサッカー戦術)”に、敵うチームなどいなかった。

Pep Guardiola Barcelona

しかし今、ジネディーヌ・ジダン監督率いるレアル・マドリーがそれを上回ろうとしている。マドリーが当時のバルセロナにとって代わり、“歴代最高チーム”になる日はもう間もなくだ。

もちろんジダンのチームが最高であることを真に証明するには、もう2~3年様子を見る必要があるという考えも一理ある。ただ、今のレアルがこれまでで最高のチームになる要素はすでに目に見えてきているのだ。

ジダンが監督になってからのマドリーは、27年間成し遂げられたことのなかった快挙を達成した。これまで欧州カップまたはチャンピオンズリーグを連覇したチームはいなかったが、それをジダンは就任から1年足らずで成し遂げたのである。しかもそのために莫大な金額を使ったわけではない。むしろチームの財政を好決算に変えつつ、ほとんど変わらない顔ぶれで、チャンピオンズリーグを連覇した。

リーガとヨーロッパチャンピオンの2冠達成はマドリーの歴代の多くの監督が挑み、失敗し続け、気が付けば最初の達成からおよそ60年もの歳月が流れていた。そしてクラブの歴史に新たな章をつけ加えるには、ジダンがしたような優しい触れ会いと絆を深め合うことが必要だったとようやく明らかになった。今シーズンもやってくれるだろうと期待しない者はいない。彼らはヨーロッパ全体を見ても、その他のチームより頭一つ分抜け出ているように見える。

Gareth Bale Real Madrid Champions League Final Trophy

プレースタイルに注目をすると、ジダンが選手たちに求めているのは、基本的にはシンプルなサッカーである。それは師であり、現在はバイエルンを指揮するカルロ・アンチェロッティのものと大きく共鳴する。ジダンは選手たちに対して自分の好みに合わせたプレーをしろとは言わない。逆にジダンが、選手たちの長所を引き出すことを重要としているのだ。選手たちに口うるさく言うこともないし、過度な要求をして選手たちを混乱させることもない。間違ってもジダンは狂信者ではないが、選手たちをピッチに解き放ち、それぞれの能力を十二分に発揮させることができる。

マドリーにはセルヒオ・ラモスという世界最高のセンターバックやマルセロのような最高の左サイドバック、それにルカ・モドリッチという最高のミッドフィルダーやクリスティアーノ・ロナウドという最高のストライカーが揃う。最高の若手であるアセンシオだって忘れてはいけない。“最高揃い”の解き放たれたレアル・マドリー。彼らはジダンがやってきた日から完全に生まれ変わったのである。

レアルには自己破壊の伝統のようなものがあり、ラファエル・ベニテス前監督の代わりにトップチームでの経験がないジダンの指揮官就任が発表された時には自爆したとしか考えられなかった。ベニテスは、才能はあっても言うことを聞かない身勝手な選手たちに容赦せず、それがチームを自滅へと追い込んでいった。そしてその後を継いだのは、コーチとしてのキャリアはほとんどないジダンなのだ。もう誰もが「レアルは終わった」と感じただろう。

しかしジダンが監督になってからというもの、レアルはリーガ・エスパニョーラにおいて40試合負けることがなかった。この連続無敗記録「40」は、リーガの新記録である。さらに7つの主要なタイトルも獲得し、ジダンは就任からたった18カ月でクラブ歴代4位のタイトル獲得監督の栄誉にあずかった。

こうして出来上がっていったレアルは、まさに21世紀型クラブとして最大の手本であろう。ジダンは高額の移籍金を積み、選手を獲得することを拒んでいた。それは複数のクラブが望むような選手であっても、多額の移籍金で引き抜くことは選手を舞い上がらせるだけだと思っていたからだ。ジダンは自分がよく知っている選手たち、自分を尊敬している選手たちと仕事をすることに注視し、チーム内での信頼関係を築いた。これは選手としての自身の経歴も役に立っているのかもしれない。

それに選手たちの貢献度も相当なものだ。ジダンの信頼に応えるかのようにモドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロ、イスコは妙技で試合のペースをコントロールし、マルセロやロナウドはスピードあるカウンターでゴールを陥れた。選手たちは現代サッカーはどうプレーすべきかの手本を示しているかのようだ。それは10年近く前、グアルディオラ元監督率いるバルサが、初めて見せたものと同じである。

Luka Modric Ivan Rakitic Real Madrid Barcelona Supercopa 16082017

Marco Asensio Carvajal Modric Real Madrid Barcelona Supercopa 16082017

Cristiano Ronaldo Real Madrid Champions League

ただ、マドリーが世界最高たるグアルディオラのチームのレベルに到達したからといって、バルセロナの栄光が霞むことはない。バルセロナは偉大なチームであり、サッカー史上最高のチームである。

バルセロナは、シャビやアンドレス・イニエスタ、メッシのような体格的には恵まれないが技術や人並み外れた頭脳のある選手たちを起用し、“サッカーセンスに優れ、足が速く、体格のいい者が頂点に立つ”というサッカーの常識を覆した。彼らが示した “一生懸命練習して技術を磨けば、体が大きくなくともレベルの高いプレーができる”という証明は、サッカー界にとっても革命的であっただろう。

それに下部組織から昇格したペドロ・ロドリゲスやセルヒオ・ブスケツ、ジェラール・ピケも、バルセロナの理想的な若手育成の復活を示すものであった。他のどこのトップチームもバルセロナが何をしているのか、どのようにチーム強化を図っているのかに注目した。そしてグアルディオラ監督のプレースタイルである“ティキ・タカ”は、バルセロナの誇りとなったのだ。

Champions League streaks PS

ジダンのマドリーでの成功は当時のバルサに負うべきところが多い。ただ今のマドリーのサッカーは、すべての選手が執着すべき哲学を掲げることではなく、個々の選手が生まれ持った技術や理解力を磨いていくことに重点を置いている。その証拠に、今の彼らはロナウドがいなくても勝てるチームだ。彼の他にも真のチャレンジ精神を持つ選手たちが集まっていることは、チームの財産であり誇りと呼べる。

どこかの大会の決勝でマドリーが敗れるところを見るには、対戦相手のチームにとって「最高に幸運な日」とマドリーにとって「最悪な日」が、まさにその決勝の日にたまたま当たることが必要になる。要するに、白い巨人のチャンピオンズリーグ3連覇を阻むには、途方もない努力が必要ということだ。

今現在、あの時の偉大なバルサとマドリーを比べたところで完璧な考察にはなりえない。しかし、マドリーが3連覇を完璧に成し遂げた時、そのレガシーの正統性に疑問を投げかける者は誰もいないはずだ。今シーズンこそレアルが“歴代最高チーム”を名乗るに相応しい年となるであろう。

文=ピーター・ストーントン/Peter Staunton

次の記事:
モウリーニョ、VARの微妙な判定に苦言「明確かつ明白な状況ではなかった」
次の記事:
セルジオ氏が“開国”迫るDAZN新TVCMが解禁…カズ、内田らがスポーツ観戦の夜明けを宣言
次の記事:
ペドロ「特別なものになる」古巣バルセロナとの一戦に対する思いを告白
次の記事:
本田圭佑は3戦連続不発…パチューカはPK失敗響き手痛いドロー/リーガMX後期第8節
次の記事:
イングランドで混乱続くVAR…マタのゴールを取り消しで物議を醸す
閉じる