“サバイバル”で難しくなったハイチ戦…ハリルは課題と収穫を見つけられたのか

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不甲斐ない試合に終わり、ハリルホジッチ監督も怒りを見せたキリンチャレンジカップ・ハイチ戦。日本代表が得た課題、そしてハリルは収穫を見つけられたのだろうか。

キリンチャレンジカップ2017のハイチ戦が終わった瞬間に思い出したのは、2010年4月に0-3で敗れた岡田ジャパンのセルビア戦、そして2014年3月に4-2で勝利したザックジャパンのニュージーランド戦だった。

とりわけ3年前のニュージーランド戦は、ハイチ戦と似た展開となった。試合開始から17分間で4点を奪ったものの、勢いがピタリと止まり、ニュージーランドに2点を奪い返された。

この3試合に共通するのは、テストの色が濃く、ワールドカップメンバー23人を懸けたサバイバルのゲームという点だ。

ワールドカップ出場権獲得後のゲームは難しい――。ハイチ戦は改めて、そのことを強く感じさせるゲームだった。

■課題は?

長谷部誠、本田圭佑、岡崎慎司の招集を控え、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「たくさんの選手を見たい」と語っていた今回のキリンチャレンジカップ。その一方で、10月6日のニュージーランド戦を前に「チームのバランスは崩さない」、「いい加減なことはしない」とも語っていた。

6日のスタメンは最終予選のメンバーに槙野智章、武藤嘉紀の二人を加えただけ。焦点の一つは、従来のオーガナイズの中で両選手がどのようなパフォーマンスを見せるかであり、狙いはハッキリとしていた。そして、彼らはともに及第点のプレーを見せたように感じられた。

一方、10日のハイチ戦は4日前からスタメンを9人も入れ替え、代表キャップがひとケタの選手は6人もいた。試合の入り方は素晴らしく、倉田秋と代表初スタメンの杉本健勇のゴールで2点を先行したが、そこからオーガナイズを失い、3連続ゴールを許して逆転された。後半アディショナルタイムに香川真司のゴールで同点に追いついたものの、「負けに等しいゲーム」という槙野の言葉にはうなずけた。

ハリルホジッチ監督は試合後「いろいろなディスカッションをして、『ワールドカップマインド』という話もして、『ここから始まるんだぞ』という話もしたにもかかわらず、こういう内容だった」と嘆いたが、サバイバルを強調したことが、まさにオーガナイズを失った一つの大きな理由だろう。

浅野拓磨はこれまでのどの試合よりもドリブルで仕掛けるシーンが多く(縦の仕掛けならまだしも、中に入っていくドリブルは効果的ではなかった)、遠藤航は持ち味である縦パスに固執しすぎた感があった(指揮官の指示もあったのだろうが)。彼らがアピールのためにエゴに走ったとは思わないが、浅野はシンプルに預け、裏を狙うシーンを増やすべきだったし、遠藤は縦パスよりも横パスでチームを落ち着かせ、ゲームをコントロールしたかった。

サバイバルが強調された上に、メンバーを9人も入れ替えたのだから、連係や意思の共有はなおさら難しかったはずだ。昌子源と槙野がセンターバックでコンビを組んだことはなく、遠藤、小林祐希、倉田秋の3人で中盤を構成するのも初めてなのだ。

こうした点において、指揮官が何度も口にしたように「私の責任」だったのは間違いない。

もちろん、指揮官が「たくさんのデュエルで負けていた」、「守備に戻らない選手がいた」と指摘したように、個人における問題もたくさん見られた。例えば、1失点目のシーン。センターサークル付近でハイチの20番、デュカン・ナゾンとのデュエルに昌子が敗れ、遠藤も奪えなかった。さらにゴール前では小林の戻りがやや遅く、ケビン・ラフランスのマークに付き切れていない。これらは指揮官に叱責されても仕方のない問題だろう。

■可能性を感じさせた3選手

一方で、ベストメンバーの中でプレーするところを見たい選手もいた。

その一人が、センターフォワードとして先発した杉本だ。中盤に何度も顔を出した大迫勇也とは異なる形で前線のポストワーカーとなり、倉田や乾貴士と効果的に絡んでいた。加えて、代表3試合目にしてゴールを奪えたことも大きい。「たまたまです」と本人は苦笑したようにミスキックではあったが、今後リラックスしてプレーできるようになるだろう。

ハリルホジッチ監督が大迫のバックアップとして、タイプの異なるストライカーを求めるなら岡崎や武藤になるが、前線で収められる選手を求めるなら、杉本は候補に入ってくる。11月の欧州遠征でベルギー、ブラジル相手にどこまでやれるのかを見たい選手だ。

小林のプレーも興味深かった。ダイナミックに展開してサイド攻撃を促し、中盤で一瞬タメを作ることで、攻撃のリズムに変化を生み出していた。もっとも小林は自身のプレーがどう評価されるか、確信を持てていない。

「それが俺の特長ですけど、そのタメのせいで『プレーが遅い』って監督が思っていたら、それはズレになる。評価するのは監督だから、俺には何とも言えないですね。そのズレが前半に関して、相手が嫌がっていたと俺は思っていて、後半はもうちょっとダイナミックなプレーを増やそうと思っていたところで(負傷のために)交代になっちゃったのは残念ですけど」

果たして、ハリルホジッチがどう評価したか。それは、11月の欧州遠征のメンバー発表時に明らかになる。

後半から出場した車屋紳太郎も、左利きのサイドバックであるという利点を発揮したように見えた。相手に流れが渡り、逆転を許したため、守備に意識を割かなければならなかったが、それでも攻撃に参加した際には縦への突破から際どいクロスを連発した。香川の同点ゴールも車屋のクロスから。正確なトラップからの抜け出しは、車屋の得意とするところだ。試合後には「球際のところで負けるシーンが何度かあった」と課題を挙げたが、「トレーニングで改善できると思う」ときっぱりと答えている。初招集での日本代表デビュー戦だったことを考えると、継続して見たいと思わせるプレーは披露していたと言っていい。

11月の欧州遠征はおそらく長谷部や岡崎、本田を加えた現状のベストメンバーで臨むことになるだろう。サバイバルではなく、これまで積み上げてきたチームがブラジル、ベルギーとどれだけやれるかが焦点になる。ヨーロッパに乗り込むメンバーの中に、果たして今回のメンバーが何人選ばれているだろうか。

文=飯尾篤史

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