アルゼンチン代表に灯った黄色信号…ロシアW杯への厳しすぎる見通し

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先日行われたロシアW杯南米予選で、強豪アルゼンチンはベネズエラに引き分けという痛い結果を残した。チリがボリビアに敗れたことでアルゼンチンの順位に変動はなかったが、下手をすればアルゼンチンの予選敗退もあり得る状況だ。

ワールドカップ南米予選が行われた火曜の夜、アルゼンチンにあるエスタディオ・モヌメンタルスタジアムはお祭り騒ぎとなっているはずだった。同グループの他チームの結果は全てアルゼンチンにとって有利なものとなり、すでに予選敗退が決定しているベネズエラに勝利さえしていればアルゼンチンはワールドカップに大きく前進するはずであった。しかし結果は1-1のドロー。アルゼンチンはホームでの一戦でありながら、勝ち点3を奪えなかった。

アルゼンチンが上手く試合を進められなかったのは、ベネズエラ代表の勇敢なパフォーマンスも一つの理由かもしれない。しかしそれよりもっと問題なのはアルゼンチン代表の不安定さで、大方は彼らの方向性の見えないパフォーマンスに原因があるように見えた。このままだとワールドカップ本大会への出場もどちらに転ぶか分からない状況だ。

試合の立ち上がりは素晴らしかった。しかし戦術的なほころびはすぐに顔を見せ、チームは混乱し規律を欠いたカオス状態に陥った。守備陣の混乱からベネズエラにまさかの先制点を許し、勝利が必要不可欠な状況で生まれたのは相手のオウンゴールのみ。アルゼンチンは歴史上最低の敗戦を回避することができたものの、この日は多くのワールドクラスの選手たちが冷静さと規律を酷いくらいに欠いていた。唯一の希望の光は、及第点には達していたメッシのプレーであったが、この試合の後に彼が2度目の代表引退を表明したとしても納得するしかないほどチームの状態は悪かった。

ただ、立ち上がりは悪くなかったのは事実である。キックオフから激しい攻撃を仕掛け、ディフェンダーのハビエル・マスチェラーノとニコラス・オタメンディも中盤まで上がり、7人の選手がベネズエラのペナルティエリアに攻め込むシーンも見られた。マウロ・イカルディは前節のウルグアイ戦よりもボールに触れる回数が増え、実際に先制点を奪えそうなチャンスも数回に渡って訪れている。

Argentina Venezuela Eliminatorias Sudamericanas 05092017

しかし恐れていた通り、序盤の猛攻を凌いだことでその後のベネズエラは、士気を高めていった。後半はペナルティキックが与えられてもよかったシーンや、19歳の守護神、ヴリカー・ファリネスが途中出場のハビエル・パストーレのシュートをセーブしたシーンなど多くの見せ場を作り、彼らは90分間通して息をのむような素晴らしいプレーを続けたのだ。縦横無尽に動き回り続けたメッシという脅威はあったものの、ベネズエラはアルゼンチンをよく抑え、手にいれた勝ち点1以上の価値のある試合をした。

「“メッシ依存”をなくすのは難しいことだ。同じチームに世界最高の選手がいれば、その選手を頼りにしてしまうものなんだ」

試合前のインタビューで、アルゼンチンのサンパオリ監督はそのように話していた。ただサンパオリは“メッシ依存”を克服するためのチーム作りを進め、この日の試合でも何度かその瞬間が見られていた。少なくとも前任者のエドガルド・バウサがチームを率いていた時よりも、バランスが取れてオープンなものであっただろう。

だが問題は、苦しめられ始めた途端にアルゼンチンは元通りのメッシ頼みのチームとなってしまうことだ。メッシも自らボールを運び母国を救うためのプレーをしたが、この日はそれが叶えられなかった。それこそが今のアルゼンチン代表の課題なのだ。メンバーの多くが若い選手たちで構成されたベネズエラ相手に引き分けた今、10月に行われる予選の2試合を前にここから急激な進歩がなければ、来年のロシアW杯を他人事のように見ることになってしまっても不思議ではない。

ウルグアイ、ベネズエラとの2試合が終わった段階で、運よくサンパオリ率いるチームの順位に変動はなかった。チリが痛い連敗を喫したことにより10月を最悪な状況で迎えることは避けられた。しかし今回の引き分けによりW杯出場圏内の4位浮上ならず、来年のW杯本大会への出場権獲得には大陸間プレーオフに回らなければいけない可能性も高い。

これでアルゼンチンは一切の余裕がない状況となった。最後の2戦で待ち受けるのは同じく出場権獲得の望みを残すペルーとエクアドルであり、ベネズエラとの失望を残した試合で見せたパフォーマンスをはるかに越えるものを見せられなければ、アルゼンチンは来年のW杯出場を諦めなければならないだろう。

南米の強豪、アルゼンチンのいないワールドカップなんて誰が想像できるだろうか。そうなればメッシ引退どころの騒ぎではない。

文=ダニエル・エドワード/Daniel Edwards

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