なぜイングランドはセットプレーからゴールを量産しているのか?驚異的な強さの秘訣とは…

“スリーライオンズ”はここまで他のどの国よりもセットプレーから得点を奪っている。果たして何がその秘訣なのだろうか?

ハリー・マグワイアの先制点で始まり、2-0でスウェーデンを下したことで、イングランドは1990年イタリア大会以来の準決勝進出を決めた。流れの中からの得点はこれまでわずか3ゴールのみだが、その代わりに面白いほどセットプレーから得点を奪っている。ハリー・ケインが3つのPK全て決めて得点王争いのトップに立っていることもあり、イングランド代表は1966年の母国大会以来となる通算ゴール数を二桁(11)に乗せた。

何がイングランドのセットプレーを飛躍的に成長させたのだろうか。


―驚異の得点率―


今大会、イングランド代表はセットプレーから8ゴールを奪っている。これは参加国中最多の数字で、それに続くのがコロンビア、ウルグアイ、ポルトガル、そしてロシアの4ゴールだ。66年イングランド大会から数えても最多のゴール数で、当時もポルトガル代表が記録した8ゴールが最多だった。CKからマグワイアのヘッドによるスウェーデン戦での先制点でCKからの得点数は4つ目で、与えられた3本全てのPKはケインが決め、残り1本はFKから生まれたものだ。トッテナムのスターは6ゴールを挙げて得点王争いをリードしているが、大半はPKを沈めたことによるもの。チュニジア戦ではボックス内で明らかなファウルを受けていたこともあり、さらに2ゴールは取れたはずだったが、ファウルによるPKは与えられなかった。流れの中での全3ゴールはパナマ戦でのジェシー・リンガードのミドル、スウェーデン戦でのデレ・アリのヘディング、そしてケインのパナマ戦でのラッキーゴールの3つだ。


―セットプレーの質向上の立役者―


Gareth Southgate Allan Russell England Sweden World Cup 2018

イングランドでオフェンスのコーチを務めるアラン・ラッセルはセットプレーの質向上に一役買っている人物だ。“スリーライオンズ”はW杯ではセットプレーにおける不名誉な記録が続いていた。2010年南アフリカ大会のベスト16ドイツ戦で記録したマシュー・アップソンのヘッド以来、メジャートーナメントではCKから得点を奪えずにいた。だが、今大会ではこの弱点を強みに変えた。PKを勝ち取るプレーが向上したのがそれを物語り、事実、ラウンド16でPKによる先制点とPK戦でコロンビアを負かしている。2018年までは本大会でもつれ込んだPK戦で勝利することができなかったが、コロンビア戦でその呪縛を打ち破った。ラッセルはスコットランドとイングランドを拠点にプレーしていた流浪のストライカーであり、今はUEFAライセンスA級を持つコーチだ。サウスゲートのスタッフとして1年近くをともにし、自身の経験を元に最適なポジショニングを見つけるにはどうすればいいか選手に指導した。

MFのルベン・ロフタス・チークも「セットプレーには多くの時間を割いた、詳しく言うとどう走りこむか、どうブロックを形成するか。とにかく練習で学んだことを試合で発揮できたのは素晴らしいことだ」と認めるところ。エースで、その恩恵を最も受けているケインもこのように語る。

「アランは仕上げの作業を施しただけだ、相手DF、GKの位置、そして恐らく弱点として使えるところを教えてくれた。彼は技術的なことには走らず、どうゴールを奪うか教えてくれる。僕らを高みに連れていくほんの少しのことだ。だからこそセットプレーは今のところとてもうまくいっているし、練習でも手は抜かない。W杯のレベルに必要な小さな修正をしてくれたんだ」

サウスゲート監督自身もわずかなスペースを有効活用するために、NFLやNBAのプレーを分析し、使える技術をセットプレーに組み込んでいるという。


―ロシア大会でセットプレーが多い理由―


そもそも今大会はセットプレーからの得点数が歴史上最多を記録しており、ここまで59試合で66ゴールが生まれている(準々決勝までのデータ)。歴代2位のフランス大会でも62ゴールだったため、VARの導入は多大な影響を及ぼしたと言える。ゆえに、グループステージだけで前回大会の合計より6も多い24ものPKが生まれた。審判もペナルティーエリア内で起こるわずかな反則行為を見逃さず堂々とジャッジできるようになった。例え出た判定に疑問が出ようと、このおかげでファウルかそうでないかをリプレイで確認することができ、間違っていたとしてもそれを覆すだけなのである。VARが頭によぎるからこそDFはボックス内で慎重になってしまい、それが相手に得点を奪えるだけのスペースを与えてしまう。イングランド対スウェーデンの試合で見たように、選手たちはトーナメントを勝ち進むほど自陣に籠り、それが試合の流れの中から得点を生みづらくしている。だからこそ、得点を奪えるかどうかはセットプレーがカギになり、ただのCK、FKでさえも今まで以上にデザインする必要があったというわけだ。

舞台が上がれば上がるほど、ディティールが勝敗を分ける。イングランドの52年ぶりの戴冠をセットプレーが決める可能性は低くない。

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